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Stones alive complex (Andesine)
すべてが静止している。
電磁パルスを食らってフリーズさせられた夢の第二層の風景は、立体的な静止画に見えた。
ここには、球面上にいるならあるはずの地平線が無い。
せりあがる頭蓋空間の内側にいるので、遠近感を感じられないからだ。
地母神の手のひらに着地した戦闘機から、亜火ノ聖命は顔を突き出す。
キョロキョロっと首を回して、制圧した世界を見回した。
今度は落ち着いた動作でコクピットから這い出し、手のひらの地面へ降りた。
軽く足踏みしてみると、感触は猫の腹みたいにむにむにしていた。
ここへ落ちてきたとたん地母神から反撃されたので、第二層の様子はまったく観察できなかった。
塔のてっぺんから見下ろす視野で、聖命は周囲をゆったり眺める。
様々な事物が静止して、あちこちに浮かんでいた。
物だけではなく不思議な現象も、見える化されて浮かんでいた。
『リンゴの形そっくりな地球磁場がハープと合唱する』
『インビジブルウォーからのインポッシブルウォール』
『トーラスエネルギーのデクラス、で暮らす』
『ニュータイプの自己承認欲求を得る部分準備制度』
それらの出来事は少し先の、ある一箇所から発生していた。
そこには巨大な天使がおり、キーボードを叩こうとしているポーズで止まっていた。サイズは、自由の女神くらいある。
「どうやらあれは・・・ここから外の世界で起こる出来事を余さず記述し創造している、ネフィリムのようだな。
有り体にいえば神だが、流れ弾でうっかり止めてしまったか。てへぺろ・・・古っ!」
急ぎ足で尾翼へ向かう。
平将門は、ピクリとも動かない。
垂れ下がってるふくらはぎを突っついてみたが、動かない。
「おやおや。気絶しておるのか。
潜在意識が停止してしまったから、
本体がそうなるのは当然か・・・」
尾翼から平将門の身体がずりさがり、どすんと落ちた。
猫の腹の弾力でぽよぽよ弾む。
(おわり)