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大規模修繕工事は何故行うのか

マンションには、「大規模修繕工事」というものがあります。
大規模修繕とは、その名の通りにマンション全体の修繕工事のことで、12年~15年(令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査「国土交通省」)おきに実施している管理組合が多いようです。
では、大規模修繕工事はなぜ必要になるのでしょうか?この記事では、大規模修繕工事の必要性や進め方、相場観について解説します。
 
大規模修繕工事はなぜ必要なのか?

 マンションの大規模修繕工事が必要な理由について、2つ紹介していきます。
 
建物や設備は経年劣化していくから
建物や設備は、時間の経過とともに徐々に傷んでいきます。
例えば、マンション自体は頑丈に造られているものの、真夏であれば強烈な紫外線、秋口であれば強烈な雨風を受けるなど、一年を通じて厳しい自然環境にさらされています。これらを受け続けると建物には、やがてひび割れやが生じ、その部分から雨水が侵入することでコンクリート内の鉄筋が腐食するなど、建物強度に影響が出ます。
よって、マンションに長く住み続けるには、経年劣化した個所の定期的な補修工事が必須となります。また、設備についても同様に経年劣化していきます。
例えば、各住戸に水を供給する増圧ポンプは、長期間使用すると故障のリスクがあります。また、エレベーターについても長期間の使用で籠を支えるロープなどが劣化し、安全性を担保できなくなります。
つまり、マンションに長く安心安全に住み続けるためには、大規模修繕工事は欠かせません。
 
マンションの資産価値を維持するため
大規模修繕工事を行うことで、マンションの資産価値を維持するためです。
大規模修繕工事を行わず、建物や設備の経年劣化を放置すると、日常生活やマンション自体の見た目に影響が出てしまいます。
例えば、屋上部分からの雨漏りや共用部分の空調の故障、見た目にも傷みが激しくなります。このように快適な暮らしが損なわれることでマンション自体の価値が下がり、今後売却や賃貸にするときに価格や賃料を下げなければならないケースも出てきます。
よって、マンションは適切な修繕をすることで建物自体の寿命を延ばし、資産価値の維持に繋がります。
 
大規模修繕工事の相場感
大規模修繕工事の費用は、原則これまでに積み立てた修繕積立金と修繕積立基金を充てますが、建物の修繕内容によっては一時金を徴収するケースもあります。
では、大規模修繕工事では一般的にどの程度の費用が掛かるのでしょうか?
 
H31戸あたりの費用は100万円~125万円が最も多い
令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査よると、大規模修繕工事の金額は以下のようになっています。


 
 
 
令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査「国土交通省」より抜粋
上記より、1戸あたりの費用は「100万円~125万円」が統計上最も多くなっています。
なお、マンションの世帯数や修繕工事の内容等で、工事に掛かる費用は大きく異なる為、参考数値として留めておきます。
 
大規模修繕工事までの流れ
マンションの大規模修繕工事が、どのように進められるかについて紹介していきます。
 
①大規模修繕委員会の立ち上げ
マンションの理事会で大規模修繕工事の実施が決まったら、管理組合内で大規模修繕委員会を立ち上げます。
これは、大規模修繕工事を円滑に進めていくための専門部署です。通常理事会はマンションの管理運営業務を行っているため、大規模修繕工事まで手が回りづらいことから設立されます。
大規模修繕委員会は、理事会の下部組織として大規模修繕工事に関わる業務を専門に活動していきます。
なお、大規模修繕工事には、修繕工事の進め方や施工業者の選定、修繕工事を行うべき箇所など検討すべき項目は山ほどあります。
もし、大規模修繕委員会のメンバーが全員住民で建築工事の知識に乏しければ、修繕工事の目的を達成することや円滑に工事を進めることが難しいケースがあります。
このようなときには、専門のコンサルティング会社への依頼がおすすめです。専門家の助言の下、大規模修繕工事をスムーズに進めてくれます。
 
②建物の現況を調査する
大規模修繕工事を始める前に建物の現況を調査します。
大規模修繕工事には、予め作成された修繕計画はありますが工事の内容は現況を見ての判断です。現況調査は、大規模修繕を専門とする建設会社やコンサルタント会社に依頼し、共用設備の劣化状況や改修が必要な箇所についてチェックしていきます。
これら調査報告書を元に、修繕工事が必要な箇所や最適な修繕方法、見積金額を算出してもらいます。
なお、これら調査や見積もりは、今後の施工会社選定のためになるべく複数社に依頼しておきましょう。事前にどこの会社に調査依頼するかを決めるのが、大規模修繕委員会の役割です。
 
③大規模修繕工事の方針を決めていく
現況調査と見積金額を元に工事の方針を決めていきます。
一般的には、管理組合で予め決めた予算と見積り金額を参考に、話し合いで内容を詰めていきます。
もし、修繕用に積み立てられた資金が足りない場合には、予算内に収まるように修繕箇所を絞り込むことや、修繕工事前に住民から一時金の徴収を検討するケースもあります。
 
④施工会社を選定する
大規模修繕の計画が大筋決まったら、正式な見積もりを複数社より提出してもらい施工会社を選定します。
施工会社の選定では、各会社の施工方法、工事期間、費用などを比較し、大規模修繕委員会で2~3社程度をピックアップします。
その後、管理組合の総会にて施工会社を最終決定していきます。
 
⑤住民に向けて説明会を実施する
施工会社決定後は、住民に向けて大規模修繕工事の内容について説明会を実施します。
説明会では主に、工事のスケジュールや工事内容、工事期間中に日常生活で影響があることや注意点、質疑応答となります。

 


まとめ
大規模修繕工事は、安心安全を担保にマンション生活を送るためと資産価値を維持するために行われます。
また、大規模修繕工事の実施は、マンションにとっては大変なことです。管理組合任せにせずに、居住者全員が当事者意識を持って大規模修繕工事に挑むようにしましょう。

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