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【ロシアのイノベーション拠点】ロシアのシリコンヴァレー:「スコルコヴォ」訪問記録

ロシアにシリコン・ヴァレーがあるのはご存知でしょうか?
モスクワ中心部から南西に下ると「スコルコヴォ(Сколково)」という場所があります。
ここはIT技術イノベーションの拠点として、産学官が集積した人工都市です。今回はそんなスコルコヴォについて、ご紹介します。

1. スコルコヴォについての概説

スコルコヴォは2009年メドヴェージェフ政権時代に、ロシアの近代化を目標とする一大プランとして構想が誕生し、2010年に建設が始まりました。2010年末には28名が最初の入居者として生活を始め、現在(2020年)も建設が続いています。

このスコルコヴォは街全体がイノベーションのために設計されています。街内部には企業が入るイノベーションセンターのみならず、大学(スコルコヴォ科学技術大学)・団地・小中学校が併設されており、イノベーションに携わる人の生活が街内で完結しています。

現在スコルコヴォには2300ものスタートアップが入居し、ロシア資本のスタートアップのみならず欧米資本のスタートアップも入居しています。日本も2018年の日ロ交流年に合わせてスコルコヴォ・スタートアップビレッジへパビリオンを出展しています。
(参照: https://www.ru.emb-japan.go.jp/japan2018/jp/event/mo7168-jp.html)

2. スコルコヴォにはどのような企業が参入しているか

スコルコヴォはIT技術イノベーションの拠点として設立されているため、入居する企業はIT技術に関わるスタートアップがほとんどです。

その中でも特に力を入れているのが
・生物医学技術
・エネルギー技術
・情報技術
・通信/宇宙開発技術
・原子力開発技術
の5つの分野です。(通信/宇宙開発技術と原子力開発技術は現在分野統合)

こちらのサイトから入居しているスタートアップを見ることができます。

居例を挙げると、例えばМарвелмайндというスタートアップは、自立型ロボットや無人航空機に必要な高精度ナビゲーションシステムを開発・実装しています。

あるいはИФРАというスタートアップは、潰瘍治療を中心とする医薬品を開発しているようですね。

また企業ではありませんが、スコルコヴォ科学技術大学についても述べておきます。

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この大学はスコルコヴォで求められる高い専門知識を教育する目的で2011年に創設されました。設置の際にはアメリカのマサチューセッツ工科大学がモデルとされ、スコルコヴォ基金・スコルコヴォ科学技術大学・マサチューセッツ工科大学の間には三者協定が結ばれています。

スコルコヴォ科学技術大学への入学資格を持つのは、世界いずれかの他大学で学士号以上を取得している者だけです。そして面白いのがこの大学の入試制度。オンラインでの書類選考、オンライン試験、面接+英語力試験の3段階ですが、選考のメインは3日間にわたるグループワークで、さまざまなワークの課題の中にある技術の事業化を問うようなものも入っています。
(参考: https://business.nikkei.com/atcl/report/16/011900003/021700003/?P=1)

3. スコルコヴォの内部の様子

2019年の9月、スコルコヴォの中心施設であるスコルコヴォ・テクノパークを訪れてきました。
その内部の様子を写真と共にお伝えしようと思います。

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●吹き抜けのホール

中に入るととにかく広い吹き抜けのホールがあります。ここはエキシビションエリアとなっていて、入居スタートアップが作った製品がショーウィンドウに飾られていたり、話すロボットが巡回していたりしており、技術の先進性を強くアピールする作りになっています。

残念ながら写真が無かったのですが、自動支払いのシステムが実装されたコンビニも入っており入居するスタートアップの方はその場でお金を払うことなく、コーヒーや食事を買っていました。

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ショーウィンドウに飾られる製品は、近未来的なものばかりです。1枚目は作業椅子、2枚目は自転車サイズのドローンの写真です。

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●日本のパナソニックの関連企業を発見

1枚目の写真に「PANASONIC」とあることからみ分かるように、スコルコヴォにはパナソニックの関連企業も入居しています。
彼らが取り組むのは、野菜の工場栽培技術の開発・実用化です。
2枚目の写真では、レタスを液体肥料を用いて栽培している様子が分かります。

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●スタートアップゾーン

ブース入構許可証をもらい、スタートアップゾーンに入ると、長い廊下にドアがいくつも並びます。この各部屋にスタートタップ企業が入居して開発に挑んでいます。写真はスタートアップ企業が入居する直前の部屋の様子だったはずです。

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また廊下の一部にはガラス張りの部分があり、そこからは入居するスタートアップが特注する部品を製造する企業の作業工程を見ることができます。

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スタートアップゾーンには共用の休憩所があります。ここでは近未来的なベッドで仮眠を取ることが可能です。

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●ユニークな、技術の展示方法

さてスコルコヴォのホールに戻ってきました。すると目に入るのが自動販売機です。テクノパーク内には通常の飲み物の自動販売機に加え、アイスクリーム・ドリップコーヒー・ブリヌィ(ロシアンクレープ)の自動販売機があります。ちなみにドリップコーヒーは1杯注文して出てくるのに3分ほどかかりました(笑)

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正直技術の無駄使いかな?と思う部分もありましたが、見ていて楽しかったのは事実です。

●外に出る

テクノパークの外に出ると広大なスコルコヴォの様子が一望できます。1章でも述べたようにスコルコヴォは現在も建設中です。そのためいたるところで工事している様子が見れました。1枚目はスコルコヴォ内で最初に建てられた施設です。

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4. まとめ

いかがでしたでしょうか?スコルコヴォがIT技術イノベーションの拠点として存在する様子がご覧いただけたかと思います。ロシアの経済地理学を学ぶ私としては、

①広大な土地を活かして街ごと全て1から作る様子

②先日モスクワ中心部と鉄道で繋がるなど、国が資金を投じて本気になってIT技術イノベーションを目指す様子

が特に興味深いと感じました。

しかしながら、多くの政治学者はこのスコルコヴォ構想には批判的であるようです。その様子は次回のnoteでご紹介できればと思います。

お読みいただきありがとうございました。


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