キーボード沼に足を突き刺した話
#買ってよかったもの というタグがあったので1ヶ月前限定でキーボード沼に足を突き刺した話をしてみようと思う。普段はnoteでこんな記事を書かないので思いのまま好きなだけ書いてみたいと思う。
キーボードには沼があるらしい
マツコの知らない世界だったかな。最初は意味がわからなかった。
だってキーボードが変わってパソコンの動作が速くなったり、画質が良くなったりしないじゃないですか。いや、確かに謎に湾曲して「人間工学的にフィットする」とかいうと体にいい気もする。
そもそもキーボード使って困ったことがない。困ったことといえばキーボードにジュースをこぼして動かなくなった事くらいだ。そもそも自分は理学療法士という病院で患者さんにリハビリをする職業だ。超絶なタイピング技術を持っているわけでもないし、このキーボードだとタイピング速度が50msec早くなった!みたいにデバイスの差が必要になるような使い方はしていない。大会に出る気もない。なのでマツコさんが番組のゲストに向かってするシュールな顔を自分もしていたかもしれない。
ただ、仕事後にプログラミングを勉強するようになってもうすぐ5年。きっかけは臨床研究で統計を使う必要があったから。ただ既に子供もいて家計的に大学院に行くお金がなかった。調べたところ、CouseraやEdxといった海外の大学や企業が開いている講座があり、課題を提出することで修了証ももらえるらしい。きっかけは統計の勉強だったが、途中からプログラミングのRにハマり始めてデータサイエンスのコースを受講するまでに至ってしまった。英語できないのに英語のコースを受講し、DeepLもChatGTPもない時代、google翻訳で頑張って英語レポートを書いていた。その甲斐あって修了証をもらうだけでなく職場でもデータ分析を行うようになり、今では業務の半分がパソコンの前に座る働き方になった。
それでも特にキーボードを欲しいと思ったことは無かった。仕事に困らなかったから。必要だったのはZOOMで講師をするためのマイクだったし、macのマウスパッドを触り続けて指先が痛くなることはあったのでトラックボールのマウスを買ったりもした。何よりも家に自分の書斎もデスクがないんよ!食卓のテーブルにmacbookを置くしかないんよ!和室のテーブルに乗せるしかないんよ!キーボードいらんやん!っていう気持ちでいっぱいだった。
きっかけって重なるものだよね
しかし転機が訪れたのは2022年12月。楽天スーパーセールでふと見かけたゲーミングモニター。家にswichがあってsplatoonをすることもあるんだけど、ずっとちっちゃい画面だった。置く場所ないのに仕事用のセカンドモニター欲しかったのだけど、楽天スーパーセールのゲーミングモニターが思った以上に安かった。これ以上安くなることないんだから妻には「仕事に使う!」といって買ってさえしまえば何とかなるんじゃね!?という安易な気持ちでポチってしまった。
当然ゲーミングモニターを置く場所に困ったんだけど、実行してみたら何とかなるもの。和室に置いても家族が困らないポイントを発見!
そしてIKEAで買ったものの誰も使ってないポエングも発掘!これでついに自分の書斎ができたではないか!最高だ!!!ビバ書斎!!!
すると困ったのがノートパソコンの置き場。畳に座るならパソコンとモニターは横に置ける。しかし腰が痛い!それならポエングに座ってノートパソコンを太ももに置く?これぞLaptop!とも思ったが、キーボード買った方が便利じゃね?と思うようになってきた。
その心をAIに見透かされたのか…なぜかtwitterのタイムラインに上がってくる「キーボード買いました!」「このキーボード最高!」「研究室のキーボードはこれにしました」の嵐!嵐!嵐!
なぜだ!今までタイムラインにキーボードなんて出てこなかったぞ!googleでキーボードなんてワード入力してないぞ!どこからサジェッションしてきたんだ…?
そうなると欲しくなるのが人の心。モニターを買ったことがきっかけで物欲が膨れ上がったのかもしれない。周りの人もキーボードは良いと薦めてくる。これはもう情報を調べるしかない!と沼に足を突っ込むのは時間の問題だった。
自分に合うキーボードって何?
せっかく買うのだから自分に合ったものが欲しい!しかし知識はゼロ。こういう時は先人の知恵を借りるのが1番。先人とはChatGTPではない。Twitterの叡智に決まってる。
すると神からたくさんのご信託を頂くことができた。ふむふむ…何が良いの前に判断する軸が必要なことがわかってきた。
キーボードの大きさ
100%とかテンキーがないTKLなど。75%や65%になるとファンクションキーがなかったり十字キーまでなかったりするらしい。
キーボードの形式
普通のキーボードで使われるメンブレン式やmacで使われるパンダグラフ式、キーを1つずつ変えられるメカニカルキーボード、静電容量無接点方式などがあるらしい。
日本語配列か?英語配列か?
プログラミングをする人にとっては英語配列がいいという情報が多い様子。
プログラミングでよく使う:とか”が使いやすいらしい。
英語配列って日本語が打てないキーボードだとずっと思ってた…
ローマ字入力してる人にはあまり影響がないのね。
有線か無線か
無線の方がカッコ良さそう
軸
代表的なもので赤軸、青軸、茶軸などあるらしい。音やキータッチが違うらしい。普通の人からするとふーんである。キーキャップまで替えることができるらしい。確かに見た目がいいものもありそう。
カスタマイズ性
キーの位置を変えたり、マクロ機能があったりする
ブランド
有名なものでHHKBとか東プレのリアルフォースとかKeychronとかあるらしい。そしてHHKBの値段!!!
わからないのでASMRの世界に浸ってみる
流石に情報が多すぎてわからなくなってきた…そもそもそれらの違いがどの程度の違いというのだろう?でも脳生理学もプログラミングも一緒だ。わからないときはわかったふりしてとにかく情報を浴び続ければいいのだ!いつかはわからんが、ずっとやってたら何かに気づくことを経験的に知っている。
方法は簡単。フォローワーさんからキーボードやガジェット関連に詳しいやまカフェさんのyoutubeを教えてもらった。動画を浴び続ければいいんよ。キーボードは音の好みが分かれるらしいから聴き続ければええんよ。キーボードの動画見て知ったんだけど、ほぼタイピングテストなる時間があるらしい。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ………….
コトコトコトコトコトコトコトコトコトコトコトコト………….
もうASMRの世界やん!
宇宙兄弟のムッタが宇宙で雨の音を聞いていたかの如く、自分は何かが降りてくるまでASMRの世界で軸の音が聞き分けられるまで潜ってみることにした。レビュー動画を見るとキーボードを打つオノマトペの代表格はカタカタ, コトコト, スコスコらしい。スコスコって何?
見えてきた判断軸
数日ASMRの世界に浸り、いろいろなレビュー動画を見て見えてきたことがあった。少なくともキーボードがスコスコ聞こえるくらいは成長した。
せっかく買うなら今までと全然違う体験をしたいよね!
これに尽きると思った。同じ体験なら安いのでいい。どうせ何種類も買う事ないんだから今までと使い勝手が違いそうなものがいい!と思った。
まず英語配列はマストにした。職場のキーボードと競合するけど知ったことではない。せっかくなら職場と家でタイプミスしちゃうよーとか言ってみたい。
そしてキー配置のカスタマイズもマスト。キーの位置を替えることでどんな体験が得られるのかとにかく気になる!
またメカニカルキーボードか接点式のどちらかにすることにした。パンタグラフじゃmacと一緒や。
サイズは75%か65%が興味を持った。よくキーボードの右上にあるやつ、ほとんど使ったことがない!ファンクションキーもほとんど使ったことがない。そんなことを言うとExcelのF2とか押してなかったんかい!とお叱りを受けそうだが、そもそもmacでfnキーを押しながらF2を押さないといけないこと、設定で変えられることはmacを買って5年経って今知った事実である。
十字キーがあるものも欲しかった。十字キーが無いキーボードはFnキーを押しながら使うらしい。そもそもFnキー使ってなかった人が十字キー無しで使えるのか気になったのもあるが、多くの75%, 65%キーボードは十字キーが他のキーと隣接していてタイプミスしそうで不安だった。そうなるとTKLしかないのか…と矛盾した気持ちになっていた。
無線もあるに越したことはない。だってポエングに座るんだもん。
キータッチだけはわからないからビッグカメラに行ってみた。HHKBはなかったが東プレやゲーミングキーボード、メカニカルキーボードが並んでいて赤軸、青軸、茶軸、銀軸を試すことができた。好きなのは茶軸だった。青軸想像以上に音が大きかった!
キーボードと家の物件探しは同じなんよ
条件が決まったところで改めて探すと無い!無い!無い!
全部の条件に合うものが見つからない!
まず英語配列ということで東プレのリアルフォースは除外した。ゲーミングのキーボードはいろいろありそうだったけど種類が多すぎてこちらも一旦除外。logicoolのG915 TKLは英語配列があったけど日本で売ってなさそう。
ブランドとして残ってきたのがHHKBとKeycrhon。しかしHHKBは十字キーがない!KeychronはだとK Proシリーズ。欲しい機能は揃っているが、十字キーが隣接しすぎている。できることならKeychron Qシリーズがいい。こっちは十字キーがいい具合に離れている。でも高いし重いんよ!
ここまでくるともう決めちゃえよ!とツッコミが入りそうだが、自分は妥協したくないんだ!だってそもそも絶対に買わないといけないものじゃないし、決して安くはない。長く使うものなんだから安易に決めて後悔はしたくなかった。キーボード探しと物件探しは似ているとまで思ってしまった。
しかしそんなに簡単に見つかるはずもなく、やまカフェさんの動画も同じものを4,5回ずつ見てしまった。ここまで来るとスペックだけでなく、音も使用感も使った時に良いと感じそうなところも「ここが残念だよな…」と感じそうなところもイメージできるところまで来てしまった。元々仕事でも「もしこうならあれがこうなってこうなるから…」とイメージして課題になるポイントを整理するのは得意な部類である。具現化系なのかもしれない…
そして海外サイトまで探し始めて見つけた1台!
それでも妥協したくなくてもう少し探してみた。
種類が多いKeychronだが、日本の代理販売のKopecだけでなくKeychonの現地のサイトまで見るようになってしまった。改めて製品一覧を覗いてみたら知らないシリーズが目に入った。
???やまカフェさんの動画ではKeychron KシリーズやQシリーズのヴァージョン2という意味ののV2は見てきた。でもKでもQでもないVというシリーズは見たことがなかった。
英語配列、メカニカルキーボード、キーカスタマイズ可能、十字キーありの75%, 65%で十字キーも離れている、謎のつまみでボリュームや拡大・縮小が可能、光る(どっちでもいい)、有線。
全部あるやん!!!!!!!(無線以外)
そしてQシリーズと比べてリーズナブル!
お値段以上!!!!!
ココロオドル瞬間だった。何かの間違えかなとも思った。だって日本のユーチューバー誰も紹介してないんだもん。
無線に関しては目を瞑ることとした。というよりそもそもバッテリー型の無線だとバッテリー分重たくなってしまう。いくら書斎ができたといっても仮の姿。家の中をパソコンと一緒に重たいキーボードを持ち歩くのは避けたかった。そして無線は規格適合なるものがあるらしく、輸入品だと日本で使えないことがあるらしい。有線になったとしても十字キーが離れている方がストレスは少ないのではと判断した。
日本で情報がないとなると、もう少し海外の情報が欲しいと思うもの。
Keychron v2と検索するとKシリーズやQシリーズのV2が引っかかるからちゃんとKeychron V2 QMKと丁寧に打った。すると海外のyoutuberのレビュー動画が見つかったので見れるだけ見た。
やっぱり自分が欲しかったものに1番近い!ここまで調べた甲斐があった!仕事の時間以外はASMRしていたからようやく元の世界に戻ってこれる!
日本に在庫がない!?そして海外の方が安いだと!?
そこで買おう!と思ったが問題が1つ。欲しいのはKeychron V2 QMK(ノブあり)。軸は茶軸。しかし日本のサイトでは売り切れているではないか!Amazonは意味のわからない値段で売っている!本当に手に入るのか?メルカリも探したがVシリーズ無い!
しょうがなく海外のサイトを見るとKeychronの本家サイトには在庫があるではないか!そもそも英語配列だし、有線だから規格適合の問題もない!しかし問題は値段である。2022年の後半は円安がすごいんよ!なぜなん!このタイミングで!
????送料込みで輸入盤の方が安くないか?
どう計算しても本家サイトから空輸した方が安かった。少し円高方向に動いたからか?今が最強のタイミングではないのか?これはもう買うしかないのでは?
と思っていたら既に注文してしまっていた…俺じゃない。手が悪いんよ。
初めての空輸にワクワク
twitterの叡智を借りてから10日間、ついに注文まで漕ぎつけることができた。まだ10日なのかもう10なのかはわからない。思い切って注文しちゃんと届くのか気になる日が始まる。
注文した翌日メールが届く。どうやら荷物の追跡もできるらしい。Keychronはイギリスと香港の会社。中国から来ることは想定できていた。スタートは広東省からだった。でもコロナやら何やらで中国を出るのは遅いのでは?と腹を括っていた。しかし想像以上の速さで日本まで届けてくれた!(後になってわかったが、少し遅れて春節に入ると大幅に遅れたらしい。なんという強運!)
しかしそこからが更に日がかかる。空港→集配センター→最寄りの配達所→我が家なのだが、途中で家を素通りしてるやん!いつ着くん!という気持ちでいっぱいだった。
開封の儀というものをしてみたかった
そして届いたKeychron V2 QMK!本当はやまカフェさんのような渋い声でレビューをしてみたかったが、既に奇声をあげている自分には無理であった。せめて写真だけは残すことにした。
使用感は想像以上だった
使用感は想像以上に良かった。まずキーの位置を変えるのが良かった。自分が使うプログラミングのRでは:(コロン)と"(ダブルクォーテーション)を使うことが多いのだが、英語配列だと;(セミコロン)と'(シングルクォーテーション)がデフォルトで毎回Shiftキーを押す必要があったらしい。それをカスタマイズしてデフォルトを:”にすることができたのでそれだけでも作業効率の大幅アップに繋がった。
65%キーボードなのに十字キーが使える安心感。そして65%はファンクションキーすらない。しかしようやく慣れてきた2つのファンクションキーを使うことで遠くに指を伸ばさなくなった事から、逆に使う頻度が増えてきた。
65%はパソコンのサイズにも近いから見た目的にもホームポジションとパソコンの対称性にも都合がいい。テンキーがないのでマウスとも距離が近い。
右上のノブはカスタマイズして拡大・縮小にした。そのおかげでExcekやPowerPoint、pdfを読むときなど自由に拡大・縮小ができるので便利である。そしてキーボードが別になったことでノートパソコンをスタンドに乗せることができ、視線が高くなった。ポエングに座ると太ももにキーボード、肘置きにトラックボールマウスを置くという完全体な使用方法も見つけてしまった。ポエング最高。そして子供たちが「光るー!ゲーミングやー!触らせてー!」と近づいてくるようになった。決してゲーミングのつもりで買っていないのだが、なんて最高なんだ!キーボードは親子関係まで改善させてくれるのか!?
沼に足を突き刺してみたら楽しかった
ということでキーボード買って何か良くなるんか?と思ったら想像以上に快適な環境が手に入ってしまった。ぶっちゃけていうと、これ以上求めるものがないし、他のキーボードは別の何かを諦めないといけないから他のを試してみたい欲まで無くなってしまった。今後より軽くて無線が付いているものが発表されれば気になるかもしれないけど、とりあえずこの沼は一旦終了。とかいってチェリーの黄軸を買ってみた!とか言ってたら笑ってやってください。