娘夫婦、家を建てる〜その③上棟式〜
8日、この日は娘夫婦の新居の上棟式だった。俗に言う棟上げだ。地鎮祭からひと月半くらいで迎えた。私は参加できなかったが、滞りなく無事に終わったらしい。
私が住んでいる所は田舎だからか、子どもたちが小さい頃、棟上げは一大イベントだった。幼稚園のお迎えの時に「今日4時から○○(場所)の△△さん家で棟上げがある」という謎の”棟上げ情報”が入ってきて、皆でビニール袋を持って参戦する。何故なら一連の儀式の最後に施主の家の人がお餅やお菓子を投げる”福まき”があるからだ。2階建のお家なら2階からお菓子やらが降ってくる。私たちは下でそれを拾う。ビニール袋を持参するのはそのためだ。実は私の戦略としてはビニール袋より紙袋のほうが拾ったお菓子を入れ易いという結論に至った。拾って入れてまた次のを拾って、という一連の動作がスムーズにいく。降ってくる物を下に落とさず空中でキャッチするという技も覚えた。まぁこれはなかなか上手くいかないのだが。袋の口を大きく開いて空中でキャッチしようとしている人もいる。
お菓子の他に、角餅(かどもち)という縁起の良いお餅がある。家の4隅にお供えした大きなお餅だ。私も一度それを取る事が出来た。お餅の袋の中にご祝儀袋が入っていて、中に500円玉が入っていた。縁起物だから施主も太っ腹だ。他にも副産物として、”ジュース”とか”すいか”などと書かれた紙が入っていたり、お菓子の袋に貼り付けられたりしている場合もある。それらは投げる事ができないため、後からもらえる。
さすがに最近では安全面も考えてか、福まきをする家はほとんど無い。大人が皆必死で上ばかり見ていて、小さい子どもたちが足元にいる事を忘れてしまう。子どもにぶつかったりする事もあるし、大人同士がお菓子を取り合ったり。結構ハードだ。一度うちの旦那さんは、棟上げでズボンを破って帰ってきた事があった。それぐらいハードで危険なのだ。
田舎には”嫁菓子”という風習もある。私もお嫁に来た時嫁菓子をご近所の子どもたちに配った。私が生まれ育った所も都会ではなかったが嫁菓子などという風習は無く、初めて知ったのだった。嫁菓子はお嫁さんの実家で用意して、結婚式当日に配るため、配る要員が必要で、式に出席しない親戚の方にお願いする。
そこまでして配る嫁菓子、「これからよろしくお願いします」という意味だが、式後、新婚旅行から帰ってから今度はお嫁さん自身がご近所への挨拶まわりもするのであるから、念には念をという感じだ。
都会では考えられない風習かと思うが、ご近所の顔が見えるのは、お互いこれから長い時間をご近所同士として付き合っていくには案外良い事かも知れない。