日本の「大奥」を超える「ハレム」
私は「大奥」と聞くと、金ピカの襖が開いて「将軍様の御成〜」で将軍が現れて、長い通路に女性たちがズラ〜っと並んでるイメージ。志村けんさんのバカ殿のコントでも見たことある。「そち、名は何と申す」てか。
日本だけでは無い。昔はどこの国でもそういうシステムがあったと思う。大好きな韓国ドラマでも見た。要は、誰がお世継ぎを産むのか。それが物語の最重要である。お世継ぎ(君主の子供、男児)を産んだ瞬間その人は皆が羨む最高権力者となり、ゆくゆくは母后となるのだから、本人も周りも必死になる。この手の物語はそこが面白い。
オスマン帝国とは
世界史を齧った方なら聞いたことがある”オスマン帝国”。
14~20世紀初頭まで存在した、現在のトルコ共和国アナトリア地方に建国されたイスラム教の大帝国。
アナトリアからバルカン半島、地中海にも進出し、領土を拡大。15世紀中頃にはビザンツ帝国(東ローマ帝国)を滅亡させ、第10代皇帝スレイマンが治める16世紀に最盛期を迎える。帝国の躍進は「オスマンの衝撃」と呼ばれ、西欧キリスト教世界に大きな脅威を与えた。
今日はそのオスマン帝国最盛期にして最強の第10代皇帝スレイマンを軸としたトルコのドラマ、『オスマン帝国外伝』をご紹介したい。
海外ドラマといえば
日本でも海外ドラマの人気は高い。一時大ブレイクした『24』、私も好きだった『ER』『スーパーナチュラル』、それに韓国、中国、台湾ドラマもファンは多い。
3年ほど前に海外ドラマファンの友人が、面白いよと勧めてくれたのがロシアの『エカテリーナ』とトルコの『オスマン帝国外伝』。
ドラマ好きな私、早速調べるとなんとたまたま『エカテリーナ』がBS日テレで放送中だった。回が進んでいたので結構後半からではあったが、最後まで観た。確かに面白かった。日本や韓国の時代劇は見慣れていたがロシアのドラマはとにかく美しかった。ロケは実際のお城で行われていたし、何よりも女性たちはロングドレス姿がよく似合うし、よく映える。日本女子だと自身の結婚式の時くらいしか着る機会の無いドレス。観るだけでワクワクした。そしてもう1つのたまたまが、この『エカテリーナ』の後番組がなんと『オスマン帝国外伝』のシリーズ2だった。
教えてくれた友人はその事を知らなかった。
はじめまして、トルコのドラマ
皆さんはトルコドラマを見たことがあるだろうか。私はもちろんなかった。シリーズ2からの参戦なのでとりあえずシリーズ1のダイジェスト映像を観てから観始めた。ダイジェストを観ただけで私は既にこのドラマにハマっていた。
こちらもやはり女性はロングドレスだ。皇帝スレイマンの活躍は描かれるが、ドラマの大半は大奥、いやハレム(後宮)が舞台だ。ここでも女たちの争いは誰が皇帝から1番の寵愛を受けるかだ。
ヒロインはヒュッレム妃。家族と祖国から引き離されて奴隷(下女)として献上された。その美貌と賢さで皇帝に見初められ、先に皇子を産んでいたマヒデブラン妃や皇帝の母、妹(皇女)から疎まれ、嫌がらせだけでなく命まで狙われるが、5人の子(うち皇子4人)を産み寵妃となる。このヒュッレムが只者では無い。周りは何処を向いても敵だらけ、でも屈しない。彼女はとにかくしたたか。根回しと脅しが得意。スレイマンに近づく女への嫉妬がハンパ無い。人の弱味を利用する。策略や陰謀に鼻が効く。窮地に陥った時の対応が早い。‥いや、どんだけ嫌な女なんだ‥。とにかく彼女の野望は天井知らず。
スレイマンの寵愛を受ける
→皇帝の後継者となる皇子を産む
→皇帝と婚姻関係を結び奴隷の身分から解放される
→母后亡き後ハレムの統治者になる
→‥
シリーズ3での彼女の次なる野望は自分の息子を玉座に就かせることだ。
自分の邪魔をする人には容赦無いが、自分に忠誠を誓う者のことは守る。ここが彼女の良いところであり強みだと思う。彼女に従う人たちはどんなに危険で難儀で残虐な命令であっても彼女のために成し遂げようと頑張る。もし何かあった時には彼女が必ず守ってくれると信じているからだ。そのおかげで何度も窮地を脱する。
1話1時間の間にハラハラやドキドキ、ビックリする展開が3、4回はある。そして毎回ラストは「えー、ここで終わるの?早く次が観たいよー!」なのだ。実によく出来ている。
不思議なことにずっと観ているとこのヒュッレム妃が、なんとも可愛いらしく思えてくる。とにかく真っ直ぐなのだ。自分がこうと決めたら絶対ブレない。スレイマンへの愛も真っ向勝負だ。だからスレイマンがちょっとでも他の女に関心を持とうものなら、もういてもたってもいられないのだ。平気で相手の女を亡き者にする。
他の者たちがスレイマンの愛や信頼を自分に向けたいのは権力を手に入れたいという下心が見えるが、ヒュッレムは違う。ただただスレイマンに愛されたいのだ。自分が常に1番じゃないと我慢ならない。それがわかっているからヒュッレムの少々悪い噂を聞いたとしても、少々我儘が過ぎようと、スレイマンはそれはそれは愛おしそうにヒュッレムを抱きしめるのだ。
ひとまず観てください
もう、ひとまず観てください。後悔させませんから!『エカテリーナ』より『オスマン帝国』にハマったのは、前者の男社会で颯爽と政を行うエカテリーナより、女たちの足の引っ張り合いの中で泥臭く生き残って行くヒュッレムに心惹かれたからだ。悪女ではあるが人を惹きつける魅力的な王妃である。こういう人のことを魔性の女というのだろう。何を隠そう女の私も心惹かれたのだから。実際スレイマンがヒュッレムを寵愛したというのは歴史的にもよく知られているらしいので、その魅力はホンモノだったと思われる。
1シーズン80話くらいあるので興味が持てないとなかなか観る気がしないだろうが、世界80ヵ国で放送され8億人が観たと言われているので、”全米が泣いた”よりは信用できるのではないだろうか。
何と言ってもイスラム圏の文化や考え方も興味深い。トルコ語の響きもクセになる。とにかく今はYouTubeという便利な物があるので、とりあえずダイジェストを観て、いける!と思った方は是非ご覧いただきたい。絶対面白いですし、後悔させませんから!(↓気になる方は下のリンクからどうぞ)