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サメ大全:古代から現在まで地球上に生息するサメの分類と知られざる雑学

サメは、地球の海で何百万年も進化を遂げてきた魅力的な生物です。
その歴史は古代に遡り、今でも海洋生態系の中で重要な役割を
担っています。

本記事では、サメの分類、系統、学名、ロレンチーニ器官、生息地、
そして一部の研究者しか知らないマイナーなサメの雑学について、
詳しく解説します。


サメの分類と系統

サメは軟骨魚類に属し、軟骨魚類にはサメの他に
エイやギンザメなどが含まれます。

現在知られているサメの種類は約500種に及び、
古代から生き続ける「生ける化石」
としても知られる種も多く存在します。

サメの分類は以下のように分類されます。


メジロザメ目(Carcharhiniformes)

メジロザメ科(Carcharhinidae)

  • メジロザメ (Carcharhinus leucas)

  • イタチザメ (Galeocerdo cuvier)

  • オオメジロザメ (Carcharhinus obscurus)

  • オグロメジロザメ (Carcharhinus plumbeus)

  • ヨシキリザメ (Prionace glauca)

  • ナガエメジロザメ (Carcharhinus longimanus)

  • ドタブカ (Negaprion brevirostris)

シュモクザメ科(Sphyrnidae)

  • アカシュモクザメ (Sphyrna lewini)

  • シロシュモクザメ (Sphyrna mokarran)

  • コビトシュモクザメ (Sphyrna corona)

  • アメリカシュモクザメ (Sphyrna tiburo)

  • ヒラシュモクザメ (Sphyrna zygaena)

ネコザメ科(Scyliorhinidae)

  • トラザメ (Scyliorhinus torazame)

  • ネコザメ (Halaelurus buergeri)

  • カスリネコザメ (Cephaloscyllium umbratile)

  • ヨゴレトラザメ (Scyliorhinus retifer)

  • オオセ (Hemiscyllium ocellatum)

トラザメ科(Proscylliidae)

  • チビトラザメ (Proscyllium habereri)

  • アフリカチビトラザメ (Eridacnis radcliffei)

ドチザメ科(Triakidae)

  • ドチザメ (Triakis scyllium)

  • トガリドチザメ (Mustelus griseus)

  • トラフドチザメ (Triakis semifasciata)

  • アカドチザメ (Galeorhinus galeus)

カマストガリザメ科(Leptochariidae)

  • カマストガリザメ (Leptocharias smithii)

  • この科にはこの1種しか含まれていません。

ヘラザメ科(Hemigaleidae)

  • ヘラザメ (Hemigaleus microstoma)

  • バナナヘラザメ (Chaenogaleus macrostoma)

  • ブチヘラザメ (Paragaleus pectoralis)

ミツクリザメモドキ科(Pseudotriakidae)

  • ミツクリザメモドキ (Pseudotriakis microdon)

  • イタチダマシ (Gollum attenuatus)

メジロザメ目(Carcharhiniformes)は、全体として約290種ほどが
含まれており、サメの中で最も多様なグループです。

これらのサメは多様な生態系に適応しており、
熱帯から温帯の沿岸域や深海まで生息しています。

特に、メジロザメ科とシュモクザメ科には、
海洋生態系において非常に重要な捕食者が多く含まれます。


カスザメ目(Squatiniformes)

カスザメ科(Squatinidae)

  • カスザメ (Squatina squatina)

  • チヒロカスザメ (Squatina aculeata)

  • トゲカスザメ (Squatina oculata)

  • ヨロイカスザメ (Squatina africana)

  • メキシコカスザメ (Squatina californica)

  • ヒメカスザメ (Squatina japonica)

  • クビワカスザメ (Squatina argentina)

  • アフリカカスザメ (Squatina africana)

  • ペルーカスザメ (Squatina armata)

  • フィリピンカスザメ (Squatina caillieti)

  • コロンビアカスザメ (Squatina david)

  • イベリアカスザメ (Squatina guggenheim)

  • イタリアカスザメ (Squatina occulta)

  • チリカスザメ (Squatina tergocellata)

  • ブラジルカスザメ (Squatina heteroptera)

カスザメ目には、約20種ほどが知られていますが、
上記はその中でもよく知られている種です。

この目に属するサメは主に海底に生息し、砂や泥の中に隠れて
獲物を待ち伏せすることで知られています。

カスザメの独特の形態と生活様式は、
サメの中でも特に興味深いものとなっています。

テンジクザメ目(Orectolobiformes)

ジンベエザメ科(Rhincodontidae)

  • ジンベエザメ (Rhincodon typus)

  • この科にはジンベエザメのみが含まれます。

トラフザメ科(Stegostomatidae)

  • トラフザメ (Stegostoma fasciatum)

  • この科にはトラフザメのみが含まれます。

カスミアザラシザメ科(Hemiscylliidae)

  • オオセ (Hemiscyllium ocellatum)

  • カスリオオセ (Hemiscyllium halmahera)

  • バンカオオセ (Hemiscyllium galei)

  • チュウゴクバンカオオセ (Chiloscyllium plagiosum)

  • インドネシアオオセ (Chiloscyllium griseum)

ナヌカザメ科(Parascylliidae)

  • ナヌカザメ (Cirrhoscyllium expolitum)

  • コモンナヌカザメ (Parascyllium collare)

  • ヒトツナヌカザメ (Parascyllium ferrugineum)

テンジクザメ科(Orectolobidae)

  • テンジクザメ (Orectolobus japonicus)

  • オーストラリアテンジクザメ (Orectolobus maculatus)

  • フィリピンテンジクザメ (Orectolobus ornatus)

オオセモドキ科(Brachaeluridae)

  • オオセモドキ (Brachaelurus waddi)

  • この科にはオオセモドキのみが含まれます。

ノコギリザメ科(Pristiophoridae)

  • ノコギリザメ (Pristiophorus cirratus)

  • ヒメノコギリザメ (Pristiophorus nudipinnis)

  • シロノコギリザメ (Pristiophorus schroederi)

テンジクザメ目(Orectolobiformes)は、
サメの中でも比較的おとなしい種が多く、
底生生活をしているものが多いのが特徴です。

ジンベエザメはプランクトンを主食とする巨大なサメで知られていますが、他の多くの種は小型で、沿岸のサンゴ礁などに生息しています。

ネズミザメ目(Lamniformes)

オナガザメ科(Alopiidae)

  • オナガザメ (Alopias vulpinus)

  • ミナミオナガザメ (Alopias superciliosus)

  • ヒメオナガザメ (Alopias pelagicus)

メジロザメモドキ科(Cetorhinidae)

  • メジロザメモドキ (Cetorhinus maximus)

- 別名: バスキングシャーク(ウバザメ)

  • メジロザメモドキはこの科の唯一の現生種です。

ネズミザメ科(Lamnidae)

  • ホホジロザメ (Carcharodon carcharias)

  • アオザメ (Isurus oxyrinchus)

  • クロヘリザメ (Isurus paucus)

  • ヨシキリザメ (Lamna nasus)

  • ミナミヨシキリザメ (Lamna ditropis)

ミツクリザメ科(Mitsukurinidae)

  • ミツクリザメ (Mitsukurina owstoni) - 別名: ゴブリンシャーク

  • ミツクリザメも、この科の唯一の現生種です。

メガマウスザメ科(Megachasmidae)

  • メガマウスザメ (Megachasma pelagios)

  • メガマウスザメも、この科の唯一の現生種です。

ウバザメ科(Odontaspididae)

  • シロワニ (Carcharias taurus)

  • シロワニモドキ (Odontaspis ferox)

  • バンドウワニ (Odontaspis noronhai)

ワニトカゲザメ科(Pseudocarchariidae)

  • ワニトカゲザメ (Pseudocarcharias kamoharai) -

別名: クロヘリトカゲザメ

  • ワニトカゲザメも、この科の唯一の現生種です。

ネズミザメ目(Lamniformes)は、主に捕食性の大型サメが多く、
冷水域や深海に適応しているものも多いのが特徴です。

特に、ホホジロザメやアオザメのように高速で泳ぐ能力に優れた
サメが多く、魚類や海獣を主な餌としている種類が目立ちます。
また、メガマウスザメのようにプランクトンを食べる種も存在します。

ツノザメ目(Squaliformes)

ツノザメ科(Squalidae)

  • ツノザメ (Squalus acanthias)

  • トゲツノザメ (Squalus blainville)

  • スリランカトゲツノザメ (Squalus megalops)

  • カリブトゲツノザメ (Squalus cubensis)

  • ホシツノザメ (Squalus suckleyi)

  • その他、多くのツノザメ属 (Squalus) の種

ヨロイザメ科(Centrophoridae)

  • ヨロイザメ (Centrophorus granulosus)

  • ミナミヨロイザメ (Centrophorus uyato)

  • ツバメヨロイザメ (Centrophorus squamosus)

  • カラスヨロイザメ (Centrophorus niaukang)

  • その他、ヨロイザメ属 (Centrophorus) の種

ゴマフザメ科(Dalatiidae)

  • ゴマフザメ (Dalatias licha)

  • ヒカリツノザメ (Isistius brasiliensis) - 別名:クッキーカッターシャーク

  • ミナミヒカリツノザメ (Isistius plutodus)

  • カラフトツノザメ (Euprotomicrus bispinatus)

  • クロハラツノザメ (Heteroscymnoides marleyi)

キクザメ科(Somniosidae)

  • キクザメ (Somniosus microcephalus) - グリーンランドシャーク

  • ニホンキクザメ (Somniosus pacificus)

  • ヨコワザメ (Centroscymnus coelolepis)

  • アカリキクザメ (Scymnodon ringens)

カラスザメ科(Etmopteridae)

  • カラスザメ (Etmopterus spinax)

  • ヒメカラスザメ (Etmopterus pusillus)

  • シンカイカラスザメ (Etmopterus lucifer)

  • クロカラスザメ (Etmopterus brachyurus)

  • ニホンカラスザメ (Etmopterus splendidus)

コロザメ科(Oxynotidae)

  • コロザメ (Oxynotus centrina)

  • シロコロザメ (Oxynotus paradoxus)

  • クロコロザメ (Oxynotus caribbaeus)

ツノザメ目には他にも多数の種が存在し、
主に深海で発見されることが多いです。

この目には、ユニークな形態や深海適応を示す種が多く含まれ、
特にゴマフザメのように興味深い捕食方法を持つサメや、
深海での環境適応能力が高い種が多く存在します。

カグラザメ目(Hexanchiformes)

カグラザメ科(Hexanchidae)

  • カグラザメ (学名: Hexanchus griseus)

  • ヒレタカカグラ (学名: Hexanchus nakamurai)

  • ビロウドカグラ (学名: Hexanchus vitulus) – 小型のカグラザメとして近年区別された種。

エドアブラザメ科(Chlamydoselachidae)

  • エドアブラザメ (学名: Chlamydoselachus anguineus)

  • アフリカエドアブラザメ (学名: Chlamydoselachus africana) –

アフリカ周辺で発見された新しい種。

カグラザメ目(Hexanchiformes)は、サメの中でも原始的な特徴を持つ種が含まれ、現生のサメの中で最も古いグループの一つです。
この目には、少数の種しか含まれていません。

ノコギリザメ目(Pristiophoriformes)

ノコギリザメ科(Pristiophoridae)

  • ノコギリザメ (Pristiophorus cirratus)

  • シロノコギリザメ (Pristiophorus schroederi)

  • ヒメノコギリザメ (Pristiophorus nudipinnis)

  • バハマノコギリザメ (Pristiophorus peroniensis)

  • 南アフリカノコギリザメ (Pristiophorus nancyae)

  • フィリピンノコギリザメ (Pristiophorus lanae)

このサメたちは、その独特の「ノコギリ状の吻」を持ち、
海底で隠れて獲物を待ち伏せたり、
砂に潜んで餌を探すことで知られています。

特に、ノコギリザメは沿岸の浅い水域から深海に至るまでさまざまな環境に適応していますが、比較的珍しいサメとされています。

学名の由来

サメの学名は多くの場合、ラテン語やギリシャ語に由来しており、
その特徴を反映しています。

例えば、ホホジロザメの学名である Carcharodon carcharias は、
ラテン語で「鋭い歯」を意味します。

ジンベエザメ (Rhincodon typus) は「鼻のような突起を持つ魚」
という意味があります。

サメの驚異の感覚器官「ロレンチーニ器官」

サメには、非常に特殊な感覚器官である「ロレンチーニ器官」が
備わっています。これは頭部や吻に存在し、
微弱な電気信号を感知することができます。

獲物が動いたり筋肉を動かす際に発生する微小な電流を捕らえ、
視覚に頼らずとも獲物を発見できるのです。

特に深海に生息するサメにとって、光が少ない環境下での狩りにおいて
非常に有利なツールとなっています。


ロレンチーニ氏器官

サメの生息地

サメは地球上のほぼすべての海域に生息しています。
浅瀬から深海まで、冷たい極海から温暖な熱帯の海域まで、
広範囲に分布しています。

以下は代表的なサメの生息地とそれに関連するサメの例です。

浅瀬のサメ:メジロザメ (Carcharhinus属) などは、浅い海や河口、
      さらには淡水でも見られる。
深海のサメ:ヨロイザメ (Centroscymnus coelolepis) やミツクリザメ          (Mitsukurina owstoni) は、
      1000メートル以上の深海で生活しています。
海洋の表層に住むサメ:ジンベエザメ (Rhincodon typus) などは、
           表層付近でプランクトンを捕食します。


マイナーなサメ雑学


ここでは、一般的にはあまり知られていないサメに関する雑学を
いくつか紹介します。

サメの体内温度調整能力

ネズミザメ科のサメ、特にホホジロザメやアオザメ
(Isurus oxyrinchus) などは、「温血」の性質を持っています。

これは、筋肉を動かす際に発生する熱を体内に保持することによって、
冷たい水域でも機敏に動けるようにしているのです。

サメの妊娠期間は驚異的に長い

ヨロイザメなど、一部の深海サメは妊娠期間が3年にも及ぶことが
確認されています。

この長い妊娠期間は、深海という過酷な環境で子孫を
確実に生き延びさせるための戦略とされています。

サメにも社会的行動がある

メジロザメなど一部のサメは、群れを作って行動することが
観察されています。

これは、協力して獲物を追い込んだり、群れの中での順位を決めることで
効率よく狩りを行うためだと考えられています。

ゴブリンシャークの「飛び出す顎」

ゴブリンシャーク (Mitsukurina owstoni) は、
顎を驚くほど前に飛び出させて獲物を捕らえることができます。

この特異な狩りのスタイルは、
深海の闇で獲物を捕らえるための進化の結果です。


ゴブリンシャーク捕食

おわりに

サメは地球上の海洋において、古代から現在まで驚異的な進化を
遂げてきました。ロレンチーニ器官などの高度な感覚器官や、

広範囲にわたる生息地への適応力など、
その多様性は私たち人間にとっても興味深い研究対象です。

さらに、知られざるマイナーな情報も含めて、サメはまだまだ多くの謎に
包まれており、今後の研究によって新たな発見が期待されます。

サメは単に恐ろしい海の捕食者というイメージだけではなく、
海洋生態系の中で非常に重要な役割を果たしている存在です。

今後も彼らの保護や生態研究が進むことを期待しましょう。

メジロザメの群れ


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