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l'hiver 2001 à Paris

2年振りにやって来た冬のパリ。いざとなったら連絡出来る人がいると言うだけで急に身近な街になった気分になる。そんな訳でちょっと余裕な心持ちで空港に降り立った。

ホテルはマガジンハウスOliveのパリ特集に載っていた、サンジェルマンのプチホテル。
当時、オシャレなフランス文化伝道師でもあったカリスマ的エッセイスト、パトリス・ジュリアンがOlive読者に是非泊まって欲しいホテル!と薦めていたのだ。

空港からオペラ座裏に到着するシャトルバスに乗り、そこからタクシーを拾って何とか雑誌で見た通りホテルに辿り着いた。

朝食付きで当時日本円で一泊¥7,000前後の破格だったのだ。
そう、サンジェルマンのド真ん中にしては…。

入口正面の小さなレセプションで、毛玉付きセーターを着た学生風のお兄さんが受付をしていた。ノートブックPCを覗き込みつつ、チェックインの手続きを済ますとレトロなでっかい鍵を渡してくれた。

階段を登り、言われた階の部屋の前に立ち、鍵を回すが…ムムッ開かない。

反対に回したり色々やったがやはりダメ。

この辺りでイヤな予感が…。

仕方がないので受付に戻り、さっきのお兄さんに鍵が開かない!と、訴えると「え〜?」と渋々面倒くさそうに部屋の前までやって来た。ガチャガチャ2回位鍵を回転させ、ほらよ!と開けた。(なんか開けるコツがあるのだ。そんなら最初に教えといて欲しい…)

ドアを開けると…

中庭に面した小さな小さな窓1つ。大きなチェーンホテルと違ってテレビも冷蔵庫も無い…。壁紙も剥がれ落ちてるしベッドのマットレスにも穴が開いてる。なんと言うか牢獄のようなお寂しさ。明かりも確か裸電球だった気がする…。

有り得ない。どうしよう…。
でももう夜遅いし今から部屋を探す訳に行かない。部屋、部屋を替えてもらうか。

持って来た辞書片手にメモに訴えるべき内容を幾つかフレーズにして、もう一度受付に突撃した。

窓が小さい、部屋が暗すぎる。部屋を変えて欲しい、シルブプレ!と訴えた。

スッタモンダのあと、シャワーだけの部屋で良ければ通り側の部屋があるけど…とセーヌ通りに面した部屋にどうにか替えて貰った。

部屋は小さくなったけど、広い窓から向かい側にスーパーとパン屋さんが見えた。
ホッとしたところでMさんに電話をかける。
(着いたら電話下さいと言われていたので…)
Mさんと翌日のランチの約束をし、待ち合わせのメトロの駅をメモしてからシャワーを浴びた。シャワーも…水圧低…ぬるい…時々水…。

もう明日に備えて寝よう!と、ベッドを見ると、先程の部屋よりはマシだが、マットレスの角もほつれてる。上掛けも清潔とは思えない毛布1枚だけ…

あとから調べると、そのホテルは1968年の五月革命の時に学生達が盾籠って学生運動のアジトとしていた伝説のホテルだったらしい。…(今はかなり現代風にリニューアルされて過ごし易いらしいです)

朝ごはんは地下の食堂で食べたが、美味しいクロワッサンとコーヒーに新鮮なオレンジジュースでホッとした。

約束の時間までまだ時間があったので、サンジェルマンのマツキヨ的なファーマシーに行き、シャンプーや保湿クリームを買い込んだあと、少し先にルイ・〇ィトンのサンジェルマン店があったので、この旅の記念に1つ、両開きの小さなお財布を買おうと鼻歌混じりで店に向かった。

私はPコートにジーンズの学生ルックに、手には緑色のファーマシーのビニール袋を提げており、不審に思われたのか入口の強面のドアボーイに止められた。
袋の中身を見せろと言われ、今買ったシャンポアンやアンブリオリスのクリームを見せると、よし入れとお許しが…あ、ここは日本じゃ無かった。
日本でも流石にビニール袋持ってハイブランドには入らないよな…

欲しかった財布の有無を聞いたがその日は品切れと言われたので、OK,I'll be back と決め台詞を告げる(一応フランス語で...)

慌ててホテルに荷物を置きに戻ったあと、Mさんとの待ち合わせの駅に急いだ。

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