誰が生成AIプラットフォームを所有するか? (a16zより)
こちらの記事のポイントを抽出して整理しています。
0/誰が生成AIプラットフォームを所有するか?
生成AIにおいて、現状インフラベンダーが勝者であり、モデルプロバイダーやアプリ企業は収益を上げているが、継続率、差別化、粗利率に苦戦。
1/生成AIの技術スタック
技術スタックとして以下の三つに分類できる。
・アプリ
独自のモデルパイプライン or サードパーティAPIで、生成AIモデルをユーザー向け製品に統合
・AIモデル
独自のAPI or オープンソースとして利用可能なモデル
・インフラ
AIの学習・推論の実行
それぞれに関して見ていく。
2/アプリ
現状
・エンドカスタマーが重要だったが生成AIアプリも同様かは不明
・長期的にネットワーク効果やデータ/ワークフローに価値があるのか見出せておらず、かつ類似AIを利用するため技術的な差別化ができていない
・生成AIアプリは、モデル推論のコストにより粗利益率50-90%ほど
今後、生成AIアプリが直面する大きな問題
1. 垂直統合(モデル+アプリ) AIをサービスとして利用することで、適宜モデルプロバイダーを変更できる反面、製品はモデルであり、独自データで継続的に再学習することが重要。ただ、コストはかさみ、機動力は低下する。2. 機能構築vsアプリ 生成AIの製品は、UIがテキストなので統合は簡単。どこが独立していき、どこがマイクロソフトのような類似生成AI製品に吸収されるか
3. ハイプ・サイクルの管理 生成AIが、誇大広告の沈静化とともに下火になるのかどうかは明らかではない
3/モデルプロバイダー
現状
・生成AIはOpenAIなどのモデルプロバイダーによって実現されたが今はまだ収益が小さい
・より多くのアプリが構築されると巨大ビジネスになりうる
・一方、Anthropicなど、オープンモデルの性能向上にといった対抗勢力も出てきている
・モデルプロバイダー(Hugging Faceなど)にとってホスティングが商業化の鍵
・オープンソースモデルのホスティングサービスは、モデルを簡単に共有・統合するための有用なハブ
・モデルの生産者と消費者間のネットワーク効果が重要
・チューニングや企業顧客とのホスティング契約を通じて収益化
モデルプロバイダーの他課題
・優位性が、資本、製品インタラクション・データ、希少なAI人材に基づくもので持続性がない
・規模拡大に伴う独自モデル開発により、利用率が下がる可能性
4/インフラベンダー
現状
・生成AIにおける総収入の10~20%がインフラベンダーに
・ほとんどはGPU等を安定的に供給するAWS, GCP, Azure
・しかし、Coreweaveのような新興企業も、大規模モデル開発に対する製品で急成長
・最大の勝者は、23年度第3四半期に38億ドルのデータセンターGPU売上を計上したNvidia
・新しいチップ開発が進んでいるが、大きなシェアを獲得していない
・ただ、Google開発のTPUは一部の大規模なGCP取引で人気
・TSMCという企業が、GoogleやNvidia GPUなどのチップをすべて製造しているとされる
インフラ企業にとっての問題
・GPUはどこで借りても同じで、モデル推論に付属のDBを必要としないため、クラウド間での移植性が高い
・チップの希少性問題があり、新しいハードウェアプラットフォームの採用が進む可能性
・より専門的なサービスを提供するバーティカルクラウドの台頭
5/まとめ
・アプリは類似のモデルを使用しているため製品差別化に欠け、モデルは類似のアーキテクチャで類似のデータセットで学習されるため長期的な差別化が不明確で、インフラは同じGPUを実行しているため技術差別化がなく、ハードウェア企業も同じ工場でチップを製造
・以下のような標準的な優位性もあるが、長期的ではない
-スケール(資金の所有)
-サプライチェーン(GPUの所有)
-エコシステム(ソフトウェアの所有)
-アルゴリズム(人材の所有)
-流通(チームと顧客の所有)
-データパイプライン(データ量)
・長期的に勝者総取りにならない可能性もあり健全な競争が予想される
・最終製品の主な差別化がAIそのものである場合、垂直化(ユーザー向けアプリと自社開発モデルの緊密な結合)が勝利する可能性が高い
・一方、AIがより大規模で機能セットの一部である場合、水平化が起こる可能性