
トランプ敗退!QAnonはどうなるの!?新作デマ「ドミニオン不正選挙陰謀説」は届いたけれども…
2020/11/14 追記2020/11/23
ここ10日ほど、QAnonグループやQAnonウォッチャーたちは、奇妙な落ち着かない日々を送っていた。
Qがいない
米大統領選挙当日の11月3日、突然前触れもなく8kunの管理人であるロン・ワトキンス氏が引退を発表した。
I am resigning as admin of 8kun effective immediately.
— Ron (@CodeMonkeyZ) November 3, 2020
Extensive battles have been fought tooth and nail during a self-imposed civic duty protecting the final fortifications of online free speech, guardedly navigating these tumultuous times.
Today I bring ship to dock.
Farewell. pic.twitter.com/oioSh0TBMW
これを受け、8kunの管理人を引き受けるとツイートをしたのがIs It Wet Yet?という見慣れないアカウントだった。
Thank you for your valiant service and sacrifice, Ron. Best of luck in your future endeavors.
— Is It Wet Yet? (@isitwetyet) November 3, 2020
We will take the con in your stead. Rest assured, 8kun is in good hands. Upward and onward. 🇺🇸 https://t.co/EBCpR2JNX8
このIs It Wet Yet?氏のWebサイト見てみると、8kun関係のTシャツなどを売っているグッズ販売のサイトだった。
https://isitwetyet.com/
米国のジャーナリストであるTravis View氏は、Is it Wet Yet?がロン・ワトキンス氏の父であるジム・ワトキンス氏の所有する会社であるとツイートで報告している。
なんのことはない、ロンから父のジムに8kunの管理人権限が移ったということのようだ。
Is It Wet Yet, a company owned by Ron's father and 8kun owner Jim Watkins, says it will be taking over for Ron.
— Travis View (@travis_view) November 3, 2020
In what I'm assuming is a Freudian slip, the announcement says "We will take the con in your stead." pic.twitter.com/DrTj0q6cOv
しかしどうしたことか、この出来事があった日から10日あまり、激動の米大統領選挙報道が加熱する中、QAnonの活動者が熱望する「Q」の投稿がぱったりと止まっていた。
当初優勢に見えたトランプ氏が、時間と日が経つにつれて劣勢になっていくに従い、世界中に拡がるQAnonグループは目に見えて動揺し始めた。ジャーナリストや研究者、在野の活動家などで構成される各国QAnonウォッチャーたちは、お互いを励まし合い、信仰を保とうと「計画通り」、「ショーを楽しめ」と掛け声をかけつつも絶望を隠せないQAnonたちの様子を逐次ツイッターなどで報告していた。
選挙不正陰謀論
しかし、Qを見失い動揺するQAnon活動家たちからは、また並行して次々にあの手この手の選挙不正陰謀論が発信されていった。
・投票所で投票用紙が捨てられた
・死人が投票した
・登録有権者の人数より投票数が多かった
・有効でないサインペンが投票所に置かれた
これらの一例では収まらない様々な手口がQAnonや極右メディア、トランプ・プロパガンダチームから流され続けたが、それらはすぐさまにメディアのファクトチェックで否定されていった。
ドミニオン不正選挙陰謀説
そんなある日、8kunを引退して木工に専念すると宣言したはずのロン・ワトキンス氏が、長々と米国の選挙投票システムのドミニオンの脆弱性についてツイッター上で長い告発が11日に始まった。
Why does the Dominion Voting System user manual say to not enter a password? Why are they using digital certificates without passwords? pic.twitter.com/CDygrc870p
— Ron (@CodeMonkeyZ) November 11, 2020
さらに、このロン・ワトキンス氏のツイートをOANN(One American News Network)という極右陰謀論で定評のあるメディアのホワイトハウス特派員であるシャネル・リオン氏がリツイートして、彼の主張について記事を書き、それをなんとトランプ米大統領その人がリオン氏の記事を引用して「ドミニオン不正選挙告発」ツイートをしたのである。
“REPORT: DOMINION DELETED 2.7 MILLION TRUMP VOTES NATIONWIDE. DATA ANALYSIS FINDS 221,000 PENNSYLVANIA VOTES SWITCHED FROM PRESIDENT TRUMP TO BIDEN. 941,000 TRUMP VOTES DELETED. STATES USING DOMINION VOTING SYSTEMS SWITCHED 435,000 VOTES FROM TRUMP TO BIDEN.” @ChanelRion @OANN
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) November 12, 2020
OANNのシャネル・リオン氏
Dems said it themselves Dominion NOT secure.@SenWarren on integrity of US voting machines:#DominionSystems - 1 of 3 serving 90% of US voting - "'long skimped on security in favor of convenience,' leaving voting systems across the country 'prone to security problems.'"@OANN pic.twitter.com/4NysvvKPtl
— Chanel Rion OAN (@ChanelRion) November 13, 2020
ウィキペディアによると、OANNは統一教会の文鮮明氏の創刊したワシントン・タイムズと提携して2013年に創設。オバマ大統領の陰謀論や人種差別、イスラモフォビアのニュースで有名とのこと。
また、OANNのホワイトハウス特派員シャネル・リオン氏は今年の4月に社会的距離を取らずホワイトハウスを追い出されかけたが、トランプ米大統領のお気に入りのために席はないが会見で後ろに立っていることが許されているという29歳の女性だ。
話をドミニオン不正問題に戻そう。
NBCニュースによると、誤報を追跡する無党派の非営利団体であるAdvanceDemocracyは、11月5日以降の「 #Dominion 」に関するツイートの7分の1が、QAnonアカウントから発信されていることを確認した。 #Dominionハッシュタグを使用したツイートは 、先週、1日あたり約75件のツイートから1日あたり35,700件を超えた。
バイデン氏が2020年の選挙勝者と予測して発表されて以来、ドミニオン投票システムに関する誤った陰謀説がインターネットの周辺、特に掲示板の4chanとQAnon関連のTwitterアカウントに浮かんできた。
ロン・ワトキンス氏が11日木曜日の真夜中過ぎにドミニオン投票機で票を改竄する方法についての技術的な詳細を知っているとツイートした少し後、同日朝にOANNのシャネル・リオン氏が彼の主張についてワトキンス氏に連絡した。 約10時間後、リオンはドミニオンに関するインターネット陰謀論を要約したネットワークに関するレポートを放送した。 トランプ大統領はその後まもなく、リオンのレポートを引用してツイートした。
ロン・ワトキンス氏のアイデアがリオンの報道に影響を与えたかどうかをNBCニュースから尋ねられたとき、ワトキンス氏は「私ではなく、シャネルに尋ねるべきだと思います」と答えました。 ワトキンス氏のアイデアが大統領によってツイートされた彼女の報告にどの程度影響を与えたかを尋ねられたとき、リオンは電子メールで「全くない」と答えた。
Dominion Voting Systems社は、そのソフトウェアが投票を「切り替える」ために使用される可能性を強く否定している。
「DominionVotingSystemsは、当社の投票システムに関する投票の切り替えやソフトウェアの問題の申し立てに関する申し立てを断固として拒否します。 ドミニオンシステムは引き続き確実かつ正確に投票をカウントし、州および地方の選挙当局はプロセスの完全性を公に確認している」と同社は声明で述べた。 「ドミニオンの投票の切り替えまたは削除に関する主張は100%誤りです。」
Qの復活
そして、その騒動の翌日12日夜、沈黙を破ってQが投稿をした。
Qはトランプ大統領の負けを認めたのか、トランプ大統領にオフィスの閉鎖を進言した。(ここは私の誤読でした、11/16追記にQドロップのmuchonov氏解釈あり)
Either Q conceded for Trump last night, or he's suggesting the end of the office of the POTUS. Either way, pretty rad. pic.twitter.com/I3z1AqlTom
— Joe Ondrak (@TheOndrakGuy) November 13, 2020
ロン・ワトキンス氏の元ビジネス・パートナーで、8chanの開発者であり、今ではワトキンス親子のQAnon事業に関する最も辛辣な告発者であるフレデリック・ブレナン氏は、前述のNBCニュースのインタビューにこう語った。
「QAnonの人々は、新しい物語を探しているので、今では非常に脆い場所にいます。彼らは、ホワイトハウスに司令官がいると必ずしも信じることなく、どうすればこの先成長を続け、このデジタル軍団を支配し続けることができるかを考え出そうとしているのです。」
追記 2020/11/14
トランプがこのOANセグメントをツイートする前に、8kunの所有者であるジムワトキンスの息子で現在は8kunの管理者であるロンワトキンスは、シャネルリオンがこの根拠のない陰謀論を推し進めるために彼に連絡したと主張しました。
Before Trump tweeted this OAN segment, Ron Watkins, the son of 8kun owner Jim Watkins & a now-former 8kun administrator, claimed that Chanel Rion had reach out to him to push this baseless conspiracy theory. https://t.co/LF8uBut7AF pic.twitter.com/QcjIFoCGZy
— Alex Kaplan (@AlKapDC) November 12, 2020
リオンは、ワトキンスの「貴重な洞察」に感謝し、彼の主張を他の人に伝えることを提案しました。
Rion has now thanked Watkins for his "valuable insights" and suggested she passed along his claims to others. pic.twitter.com/0hbT2EunZv
— Alex Kaplan (@AlKapDC) November 13, 2020
そして今、OANはシャネル・リオンがロン・ワトキンスと行ったインタビューを放映し、誤ったドミニオン陰謀説を推し進めました。リオンはワトキンスを「テクニカルアナリスト」とだけ説明し、8chan / 8kunとの関係を明らかにしませんでした。
And now OAN has aired an interview Chanel Rion did with Ron Watkins to push the false Dominion conspiracy theory. Rion only described Watkins as a "technical analyst" and did not disclose his ties to 8chan/8kun. pic.twitter.com/umvYWxrzc9
— Alex Kaplan (@AlKapDC) November 14, 2020
なぜ急にトランプ派報道にOANが急浮上したのか説明する記事
— みつを (@ura5ch3wo) November 15, 2020
Foxニュースの「裏切り」により、トランピストがより怪しい報道機関に殺到!ニュースMax、OAN、パーラーなどが競合
Trump’s media favorites battle for the Trump trophy https://t.co/q1MbSEr5ap @politicoより
追記2020/11/16 Qドロップの解釈
muchonovさん、ありがとうございます!
これは元ツイートの皮肉交じりの読解だと思います。
— muchonov (@muchonov) November 14, 2020
当該Qdropは、選挙関連デマのファクトチェックもやってる米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)のBryan Wareという人物が、数日前に恐らくトランプの粛正人事で辞任した件を、Q陣営の反撃の狼煙のように匂わせてる印象でした。
CISA傘下のNCSWIC(州間相互運用性調整全国評議会とでもいいますか、セキュリティ関連情報の共有促進のための組織のようです)の略称に"nothing can stop what is coming"(今後起こることは誰にも止められない)て挑発をかけているんですが、これもまあ、意味深な匂わせ以上のものではないな…と。
— muchonov (@muchonov) November 14, 2020
Qがどう意味を後付けするにせよ、CISAは今回選挙システムのセキュリティを保全監督する組織でもあるので、ここの人事を今から親トランプ勢に組み換えるのは、不正選挙を主張するトランプ陣営にとって重要な意味があります。CISA長官Chris Krebsもクビを覚悟してるようです。https://t.co/yzOivr4mqJ
— muchonov (@muchonov) November 14, 2020