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わたし と カメラ、のこと。
物心ついたころ、玩具箱の中にあった壊れたカメラが大好きで、
いつも写真を撮る真似をしていた。
ファインダーから覗いたときの少しかすみがかった世界の色合いと
カメラの質感、シャッターを切ったときの鈍い振動が大好きだった。
中学時代は、親のカメラをこっそり持ち出して撮ってみたり。
インスタントカメラの全盛期で、1本500円で現像できた時代。
はじめて自分でカメラを買ったのは、高校生のころ。
人生で一番大きなお買いものになるだろうと緊張しながら
「わかってますから」みたいな顔をして中古カメラ屋に行って、
(わかってないことなんてお見通しだったんだろうなと思うけど)
見繕ってくれたのが、FM2+Nikkor 50mm。
これからきっと色々なカメラを持つことになると思うけど
まずはこれで好きなように撮ったらいいよ、
毎日が楽しくなるからね、と言って渡してくれた。
それから毎日一緒に過ごして、
どこ行くにも一緒だったのに。
愛用していたフイルムは生産終了になり、
現像代は日に日に値上がりして、同日現像ができなくなり、
現像できる場所がどんどん減っていって、
デジカメの写り具合や仕上がりに違和感を感じながらも、
ゆるやかにデジカメに移行して、いつの間にか出番が減って。
最近9年ぶりにFM2と街歩きをして、
ああわたしが好きだったのはこれだったんだなあ、と。
ファインダーを覗いて、シンプルな動きで景色を切り取りながら、
泣きそうになるくらい、あの頃の気持ちを鮮明に思い出したのでした。
私が好きなのは、これだったんだなぁ。
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