出産体験記-陣痛とビスコ-
ふと気がついたら、外がうっすら明るくなっていた。
短時間でも眠れたらしい。
時計を見ると5時半過ぎ。あと30分で朝食が来る…
頭の中はとにかく「お腹空いた」であった。
検診日の近くだったので、夕食も軽めにして体重調整をしていたのだ。
「少しは眠れた?」
昨夜とは違う助産師さんが来た。
夜勤の人が交代になったのだろうか。昼間の健診で何回か見たことがある人だった。
「少し…寝ました」
「そっか。体重計ろっか。起きれる?」
体重計に乗る。
最終的に、妊娠前から9キロ増だった。
ぬるくなったマミーを口にする。
やっぱりマミーの気分ではない。小さなブリックパックが全く無くならない。マミー強すぎる。
夫に、朝こちらに来るときに飲み物と食べ物を買ってきてほしい旨をLINEで送る。
お茶かなにかと、チョコレート系の何かが食べたい…と具体的に書いた。(マミーで学習した)
6時過ぎても朝食は来なかった。
実母にメールを送る。
実家の父母は早起きなので、もう起きているだろう。
実家は電車で3時間ほどの距離である。すぐに返事が来て、こちらに来るとのことだった。
病院の名前と場所を伝える。
7時過ぎ、夫が来た。
朝食はまだ来ない。
夫が買ってきたものはショコラ味のビスコだった。
……チョコ風味ではあるけども!
もっとガッツリしたものが食いたいんじゃー!!コレジャナイー!!!
たぶん、夫的には「少しでも身体にいいものを」と考えたのだと思う。
だが、今私が求めているのはカロリーであって乳酸菌ではない。
ビスコを口にしたが、口中の水分を持っていかれた。
お茶はあったので口内の渇きを癒すことはできたが、かなりギリギリになっている空腹を満たすことはできなかった。
7時過ぎになってから、ようやく朝食が届けられた。
この病院の食事は和食と洋食が交互になっており、とても美味しいと評判だった。特に洋食が美味しいと助産師さんも太鼓判だったのでとても楽しみにしていたのだ。
朝食は和食だった。
かなり量は多めだったが、綺麗に完食した。
夫は一度職場に寄ってからまた戻ってくるというので、また再び一人で耐える時間が始まった。
陣痛は相変わらず、あまり間隔は一定にはならなかったが、少しずつ間隔は狭まっている感じであった。
陣痛が始まったら、鼻から細ーく長ーく息を大きく吐くと少し痛みがマシになる(ような気がする)。
基本的に体制はずっと横向きに寝ており、痛みがない時は起き上がったり、スマホをいじったり、テレビを見たりして過ごした。
お昼ご飯の頃には夫が戻ってきた。
お昼ご飯はめちゃくちゃオシャレなガレットで、とても美味しかった。
3時過ぎ、動けるうちに移動しようとのことでLDRに移った。
助産師さんの「ほかの妊婦さんに比べて一番進みが早いから、夕方くらいには産まれるかも」という言葉だけを心の支えに陣痛に耐えていた。LDRで出されたオヤツには手をつけられず夫に食べてもらった。
四時ごろ、母親が到着した。
呼吸に集中していたためか、元々忍耐強い方であるためか、私はほとんど声を上げて痛がることはなかった。
それでも陣痛の間隔が短くなっていくにつれ、呻き声が漏れ出るようになった。
夫には陣痛の間隔をアプリで計ってもらっていた。
母親がこうするといい、みたいなことを言っていたが、私は横向きの体制から全く動きたくなかった。
横向きに寝て身体を丸める体制が、個人的には一番楽であった。