出産体験記-破水-
早めにベッドに入ったものの、まーーーったく寝付けません。
でもこの日は胎動が激しいわけではありません。たまにおへその奥らへんが少し痛いような気がする……くらいのもので、特別すごくお腹が張っている感じもしません。
それでもなぜか全く眠れないのです。
あまりに寝付けないのでブログで出産レポ書いている人を漁っているうち、日付が変わってしまいました。
38週4日午前2時頃。
寝付きのいい夫は既にスヤスヤ眠っている中、何とか眠ろうとスマホを枕の下に押し込み目を閉じました。
ジョロロ
…ん?
なんか出た…?
ジョロロロ
やっぱなんか出てる!
慌てて飛び起きてトイレに駆け込みました。
血ではない。尿でもない。透明な何か。
これって……
破水?
尿漏れとは違う感覚でした。
全く力も入れてないのに勝手に出てくる感じ。
生理2日目でドバドバ出てきちゃう感じとも違くて、サラッとした何かがお股からスルーっと流れ出てくるような感じでした。
トイレに入っても多少は出ましたが、ずっと出続けているというわけでもありません。
しばし便器に座ったまま、わかりやすく頭を抱える私。
どどどどどうしよう……
と、とりあえず病院に電話した方がいいよね…
夫を起こして…いや、電話が先かな……二時だしな…
病院に来いってなったら入院準備はできてるからそれ持って行って……
もし勘違いでただの尿漏れだったとしても、まぁそれはその時ということで、やっぱり電話はしとくべきよね?朝まで待つとかあり得ないよね…?
トイレで心を落ち着かせ、ひとまず夜用ナプキンをあてて服を着替えました。
病院からもらったテキストを広げて、夜間窓口に電話します。
「はい、Aクリニックです」
「えっと……すいません、そちらにかかってる者です。診察券の番号は〇〇で、今38週です。たぶん…破水したみたいです」
「そうですか。病院すぐに来れます?お家の方はいる?」
「はい、夫がいます。」
「夜間の入り口わかる?何分くらいで来れそうかしら?」
「30分くらいで行けると思います。入り口もたぶんわかります」
サクッと電話が終わり、入院準備のカバンをチェック。
それから夫を起こしました。
「ねぇ、起きて。破水したっぽい。病院行くから車運転して」
夫はえ?と少し驚いたようでしたが、のんびりと起き上がりました。
寝付きはいいのですが、寝起きはあまりよくありません。
「え?俺どうしたらいい?」
「とりあえず着替えて。もう病院電話したから」
夫がのんびり着替えている間、私は正座で待ちます。
そして車に乗り込み、出発。
その時はまだ陣痛らしきものは来ていませんでした。
やはり寝ぼけているらしい夫は、いつもとは違うコースで病院に向かいます。
何でこの道?遠回りじゃない?と思いつつ、深夜に叩き起こしているので黙っていると、夫は急にハンドルを切りました。
「え!?」
私は気づかなかったのですが、大通りをゆっくり走っていたので、どうやら後ろのトラックに煽られたようなのです。
それに煽り返した夫。
大通りは反対車線も含めて私たちとその車の2台しか走っておらずガラーンとしているし、信号も点滅表示になっています。
煽る方もどうかと思うけど、てめぇ妻がこれから出産って時に何て運転してんだこの野郎とカチンときた私。
「ねぇ…安全運転してくれない?陣痛始まってきて痛いんだけど(ウソ)」
「…ごめん」
仕事柄運転技術に自信がある夫は、運転が荒いです。
でも今、今このタイミングでそれやるか?
今一番やっちゃいけないことだろうが?
一生根に持つぞこの野郎。
(お気付きの通り私は口が悪いです)
と、口には出さないもののイライラし、さらにやっぱり若干遠回りのルートを通ることにもイラつきながらも無事Aクリニックに到着しました。
夜間入口に着くと、何故かドアが少し開いていました。
もしかして鍵を開けておいてくれたのかな?といいように解釈し、中に入ります。
病院は一般窓口が一階なのですが、当然のように真っ暗。二階にナースステーションがあるのは病院案内で教えてもらっていたので、階段で二階に上がりました。
二階に上がっても非常灯が付いているだけで薄暗く、どこかで赤ちゃんの泣き声が聞こえるものの人の気配はありません。
「すいませーん!電話した者ですけど…」
何度か呼びかけると、どこからか助産師さんがにゅっと現れました。
「え!?下開いてた!!??」
あ、やっぱ開いてちゃマズイやつだったのね。
本当はインターホンを鳴らして開けてもらうのが正解だったようです。
LDRに通され、内診されました。
「いっっったい!!」
内診めちゃくちゃ痛いんですけどぉぉぉ!!!?
「破水してるね。このまま入院しましょう」と言われ、個室に通されました。
という訳で、入院することになりました。
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