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ある男

 こんにちは、甘野充です。

 先日、この映画「ある男」を観て、何とも言えない気持ちになったのですが、何か書こうかなと思っても、何も書けないなあ、と思っていました。なんだか感じていることがうまく言葉に言い表せなかったのです。
 それがXでたまたまゼロの紙さんが感想を書かれているのを見て、改めてこの映画について考えてみると、自分がこの映画から何を感じたのかがわかってきた気がしました。
 それで、今回ちょっと感想を書いてみたいと思います。

 3年と9か月、愛したはずの男は、まったくの別人でした。
 というお話です。
 幸せな生活の中、夫の突然の死。
 夫の疎遠だった実家の旅館の兄が葬式に現れ、仏壇に手を合わせます。
「写真、置いてやらないんですね? 写真。遺影」
「置いてますけど」
「どこですか?」
「そこです」
「どれ?」
「・・・」
「違いますけど」

 ええええー!
 これはショックですよね。
 じゃあ誰なんですか?

 彼がいったい誰なのか、というのが話の本筋なのですが、この物語はそんな単純なものではありません。だから僕が簡単にこの物語について語れなかったのです。そしてそこがこの物語のおもしろいところです。

 谷口里枝(安藤サクラ)は離婚して実家の文房具屋を手伝っていました。そしてそこである男(窪田正孝)に出会います。結婚し幸せな生活を営むが、ある日夫は事故で死亡する。
 夫が老舗旅館の次男ではないことが分かったため、里枝は以前に離婚したときに世話になった弁護士(妻夫木聡)に調査を依頼する。
 と言ったのがストーリーです。

 この映画ではある男の過去がどうなのか、という話を主軸に、それをとりまく人々の感情が描かれています。
 弁護士は在日韓国人であるがために妻の父から偏見の目で見られています。物静かな性格ですが、そうした偏見に対してふつふつと湧き出てくる怒りのようなものが表情から読み取れます。
 やさしかった父親(義父)が誰なのかわからない、という事実に困惑する小学生の息子。この年でこの事実は耐え難いものがありますね。
 淡々とした物静かな展開の中で、ともかく観ていて悲しみと怒りの感情がこみあげて来ます。
 これは観るべき映画だと思います。


 今日はこんな感じです。
 それではまた。


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