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甘野書店

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noteの本屋さんです! 小説、詩、絵、音楽、動画を販売してます! あなたは本を買いますか?  あなたは本を売りますか? ルールは以下です。 ・自作の小説・詩・絵・音楽・動画の…
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#掌編小説

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 こんにちは、甘野充です。  noteで小説を書いてる人はたくさんいると思います。  noteで小説を販売していますか?  売れていますか?  noteで小説を売るのはなかなかに難しいのではないかと思います。  小説を売るには、KindleでKindle本を作って売る、本を作って文学フリマで売る、ボックスで貸し出しているシェア型書店で販売する、などが現実的ですよね。  Kindleは電子書籍であれば気軽に読まれるし、文学フリマはネットで知り合った人などと交流して買ってもら

(掌編小説)たよりになる猫

「私、これ以上は無理です。無理ですよ!」 私は職場の給湯室で叫んだ。上司のMはなだめるように何かを言い続けていたが、私は彼の顔も見ずに給湯室を走って出ると、会社を早退した。 乗客のまばらな電車の中で、我慢しても流れてくる涙をハンカチで押さえながら、私は会社を辞めようかと考えていた。私は小さな印刷会社のデザイナー。32歳、女。もともとデザインのPC作業の他に、ちょっとした印刷ぐらいはやっていたが、それに加えて製本の仕事もやるように言われたのだ。デザインの部署のチーフとしての仕

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(掌編小説)続・バイクに乗って猫を拾った

バイクで転んで猫に助けられて入院中。現状を説明すれば、なんとも冴えない。でも、もう松葉杖で歩けるようになったから退院が近いようだ。 4人部屋は僕ひとりだけ。白い部屋の窓の外からこぼれる午後の日差しは、僕には眩しすぎる。昨日両親が田舎から見舞いに来てくれて、初めて親のありがたみが分かった。恥ずかしいけれど、32年間生きてきて初めてのことだった。 明るい日差しが陰って夕暮れに包まれる。僕はカーテンを開け放ち、暮れゆく街並みを見下ろしていた。ふと思い立ちベッドに戻りスマホを見る。そ

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(掌編小説)バイクに乗って猫を拾った

その日は天気だけが良くて、僕はイライラしたままバイクに跨ると、街を離れてとにかく山へ向かった。小さな排気量のオフロードバイクは、重い気分の僕を人里離れた林道に運んでくれた。僕は30歳を過ぎてフリーのwebデザイナーをしているが、最近は仕事が減り、とにかく滅入っていた。 狭い林道を抜けたところに小さな公園のようなものがあり、僕はそこにバイクを停めてベンチに腰掛けた。人気のない山の上で緑の木々を楽しむでもなく、ぼんやりとスマホをいじっていると、後ろの茂みでか細い鳴き声が。 「猫だ

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(掌編小説)JKの黒猫バトン

 彼女と話をすると元気になる。そんな噂を聞いた私は、彼女から元気と黒猫のぬいぐるみを受け取った。  私は今日もほとんど喋らなかった。話したことといえば、授業で先生に聞かれたアメリカの湖の名前を答えたのと、前の席の子が渡してくれたプリントで手を切った時に「痛い」と言ったことくらいか。あとは何も話してない。  やっと帰りのHR。私の隣のいかにもJK達がわちゃわちゃ話をしている。聞こうとしなくても聞こえてくる。 「3組の工藤美緒って子知ってる?あの子と話をするとすごく元気になるん

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