【資金調達編】奈良クラブの拠点は事業として成立するか。
前回はグラウンド敷地の確保、自分が描く構想のマックスバージョン、ミニマムバージョンを想定し、事業計画をベースに考えるという話を書きました。
今回は、資金調達や、事業のカラクリ、スケジュールについて話をしたいと思います。
僕が奈良クラブの経営で常に頭にあるのは、将来奈良クラブを誰かにバトンタッチするときに迷惑をかけないということです。100年続くクラブにしたいと公言してる以上、歴史の中で必ず誰かにバトンタッチするタイミングがくる。その時に抜き差しならない問題が多数あっては、クラブが前に進めなくなる。
自分が奈良クラブの社長になるとリリースされたのが、2019年12月26日。そこから、胸スポンサーが撤退し、また、1月30日に100年構想クラブの資格失格のニュースが出たこともあり、背中スポンサーが撤退。実際に公式に引き継ぐことになった2020年2月1日(2020年シーズン初日)には、2020シーズン想定営業赤字が8000万、債務超過、グラウンド、クラブハウスなど、ハード面は何もない状態でした。正直、本気でやばい状況でした。
だから、自分がバトンタッチするときには、少なくとも黒字がでる体制になっていて、債務超過ではなく、クラブハウス、グラウンド、スタジアムなどのハードが整った状態、かつ理解のある長期保有を前提とした株主がマジョリティを占めているというのが理想だと思っています。
そう考えたときに、資金調達を奈良クラブでやってしまう(できたとしても)と、万が一事業が回らなくなった場合、奈良クラブを潰してしまう可能性があると考え、奈良クラブのリスクをできる限り減らす仕組みを考えました。
そこで考えたのが、僕が運営している株式会社Amazing Sports Lab Japan(2021年4月期売上5,5億)で土地を取得し、土地の担保+事業計画の合わせ技で長期融資を引き出すという方法です。とはいえ、銀行3行に断られました。とりわけ融資期間が15年希望だったため、融資額と、融資期間両方ともに懸念され、なかなか資金調達は苦労しました。特にメガバンクは10年以上の設備投資をそもそもあまり想定していないということが一つ。あと、気を付けなければならないのが、営業サイドはノリノリで話を前に進めていくのですが、このあたりは全く当てにならないということです。結局は審査部にかけてみないと何とも言えないということが全てでした。もちろんそんなことは過去の経験からもわかってはいたものの、今回は特にそのあたりを痛感しました。
最終的には、地域未来投資促進法 をベースにした金融支援を利用して、政策金融公庫からの借り入れを狙いつつ、大和信用金庫に融資をお願いするという形を並行して進めていきました。そして、先月、話がまとまり、20年という期間で融資していただけることとなり、さらに奈良クラブに対して100万円のスポンサーを20年続けていただけるという形で着地しました。利子としては、20年で9000万ですが、奈良クラブにスポンサードいただき、今後の奈良クラブを応援していただけるということで、すごくいい取り組みになったなと思っています。
仮に大和信用金庫さんの融資が出なかったらどのような手が考えられたかというと、①地域未来投資促進法を活用し、国からの先進性確認を取り、政策金融公庫で全額資金調達 ②第三者割当増資を行って1億程度資金を調達し、最低限の形で成立させる。③不動産ディベロッパーと組み、土地、建物を作ってもらい、リース(かなり高くなるけど)で月々支払っていく。このあたりでしょうか。
今回の資金調達は6億でしたが、例えばサッカー専用スタジアムとかを作ろうとするとこの10倍以上の資金調達が必要な上に事業化させ、黒字でまわさないといけないので、現実的には困難と言わざるを得ないかなとは思っていますが、いつの日かトライしてみたいなとは思います。そのためには新拠点をしっかり黒字化させ、キャッシュフロー的にも問題なくまわるようにしなければならないと考えています。