【全文無料】ライコオーガポンに関する一考察
はじめに
こんにちは。チーム千里眼の密林(@miTSUriN_miri)です。
今回は、草オーガポンを採用したタケルライコについて、自分の所見を話そうと思います。全文無料ですので、よろしければ最後までご覧ください。
JCS後でも自分の思想と世の構築は一致しませんでしたので、「こんな考えもあるんだなあ」程度に思っていただければと思います。
① 従来のタケルライコとの比較
ライコオーガポンはCL札幌直後あたりから頭角を現してきたデッキタイプですが、「タケルライコ」というデッキタイプ自体は、新弾発売前から存在していたものです。
そして、ライコオーガポンは、特にスナノケガワ型のタケルライコ(ケガワライコ)という型の延長線上に存在するデッキタイプです。
ケガワライコは、基本的にはタケルライコのみをアタッカーとするデッキで、継続的なタケルライコの押し付けを狙います。連続的な高火力や安定性を支えるために、かがやくゲッコウガ・イキリンコ・スナノケガワ・ポケストップなどを採用しています。
しかし、スナノケガワexには構造的な欠点が存在しています。それは、サイドが4枚以下にならないと特性を発動できず、意図的にサイドを取らないようにコントロールされると序盤からの高火力や連続した高火力が出せないという点です。
特に、(それでもドラパルトに対しては比較的有利ですが)、ロスギラやルギア、ドラパルトのようなサイドコントロールから一気取りを狙うことのできるデッキには、面倒な負け筋が存在しています。
そして、これを解決するためのカードとして草オーガポンに白羽の矢が立ったのが現状といえるでしょう。
このカードの特性であれば、相手のサイド状況に依らず場にエネをプールすることができ、序盤から280、350といった高打点を狙うことができます。
そうして生まれたこのデッキは早速テンプレ化し、いろいろな自主大会で使われています。
参考までに、よく見るようなリストを載せておきます。
しかし、現状のこのリスト、ひいてはタケルライコというデッキに対する認識は、草オーガポンの性能に引っ張られすぎていると感じます。ここでは、タケルライコや草オーガポンに対する評価をしながら、草オーガポンのこのデッキに対する役割を整理していきます。
② 草オーガポンというカードの欠点
草オーガポンは、エネルギーを加速しながら山札を引くことができるカードであり、この効果自体は大変強力であるように見えます。しかし、当然ながらそこには「発動できれば」という但し書きがつくことを忘れてはいけません。
手札に草エネルギーがなければ、草オーガポンは何の能力もない210ポケモンですし、オーガポンに付けることを前提としないのであれば、草エネルギーはタケルライコが技を使うためのエネルギーにはなりません。つまりどいうことかというと、草オーガポンと草エネルギーはコンボパーツ、つまりは二枚そろえて初めて意味を成すカードだということです。
二枚そろえて初めて意味を成すカードがデッキに存在するということは、それ自体がデッキの安定性を落としているということです。草オーガポンの特性はエネルギー加速に1ドローがついているため、一見すると採用することで安定した動きができるかのように錯覚しがちです。しかし、オーガポンを採用すること自体がすでに安定性を落としているので、この1ドローは低下した安定性を緩和する程度の効果にしかならないことには留意する必要があります。
③ タケルライコの初動パターンについて
また、タケルライコの、特に序盤の攻撃に大火力が必要だとは限らないことにも同様に留意しておきたいです。
特に進化exのたねポケモンを倒したい場合や、キュワワーのようなポケモンを倒したい場合に出したい火力は70であることが多く、手張り二回できょくらいごうを宣言することが多々あります。
この「手張り二回」というのはかなり重要で、先手だとオーリムに頼ることなく最速の殴りができるので、その分のサポートを裏呼びやエネのプール、妨害に使用することができますし、何より「オーリムに触らないとまともに殴れない」という欠点をも改善しています。
この点はライコの強い初動にかなり重要につながっており、デッキのエネルギーを草に大きく寄せる構築では、この動きをプランの本線としてみることを半ば手放していると言わざるを得ません。(手放しても勝てることを主張点にすることが求められているということです)
④ タケルライコのエネルギーのつけ先について
タケルライコは、
という手順を踏むデッキです。したがって、殴る前のエネルギーや余った火力分のエネルギーは盤面にプールされたまま相手に番を渡すことになるので、どのようにプールしておくべきかはかなり重要な要素になります。
理想的な話をするならば、相手にどのような動きをされた後でも継続的に攻撃できるようにする必要があります。ここで最も警戒すべきは、エネルギーのついていない裏のタケルライコが呼び出されて、そのまま技を打てない状態で先殴りをされ、二回殴られてそのまま倒される、という展開です。
そうなってしまっては、ブーストエナジーをつけていようが、ライコの高耐久を活かすというデッキコンセプトが成り立ちません。
したがって、できるだけ盤面のタケルライコにはすべて「闘・雷」がついているか、そうでなくともどちらかのエネルギーを手張りすれば起動する、という状態にしておくことが望ましいです。
そのことを考えると、デッキの闘・雷エネルギーは絞れば絞るほど、「前のライコにこそエネルギーがついているが、裏のライコはオーリムを打てないと殴れない」という盤面に近づいてしまい、いつでもカウキャ+手札干渉で止まる危険性を抱えてしまいます。
⑤ 草オーガポンと勇気のお守り
草オーガポンを採用する場合、このカードはブーストエナジー古代に対応していないため、耐久を上げるアイテムを勇気のお守りに頼ることになります。
しかし、草オーガポンに勇気のお守りをつけたときの耐久は260であり、この数値は純粋なケガワライコのHPラインに比してかなり脆いものです。
スナノケガワにブーストエナジーを付けた280ラインと比較すると、ファントムダイブ二回で攻撃回数を節約されながらサイドを取られるラインであり、バーニングダーク270で倒されるラインです。
また、当然お守りがつかなければ耐久は210であり、バーニングダーク210で倒されてしまうラインです。
これだけではなく、タケルライコの耐久数値もこれに応じて下がっていることも忘れてはいけません。耐久300と290では、バーニングダーク240+マキシマムベルト50を耐えるかに影響しており、実は耐久低下の影響は草オーガポン単体に留まりません。
もちろん、イキリンコやゲッコウガのHPラインを底上げできるのは独自の魅力ですが、それ以上に負け筋も生じています。
⑥ 草オーガポンの起動回数について
以上、複数の点から、草オーガポン+草エネルギーのパッケージはタケルライコの安定性やコンセプトを大きく棄損してしまうため、絞れるならば絞れるほど良いということは明らかです。
では、どこまでこのカードの採用を制限していけばよいのでしょうか。
そのことを考えるためには、「ゲーム中にオーガポンの特性を何度起動したいか」を考える必要があります。
もし、タケルライコのゲームターンを先2から2-2-2で取ることを理想とし、途中うまく相手にターンを稼がれることも加味するならば、このデッキはおおよそ6ターン目くらいまでにはゲームが終わるデッキです。
すると当然、オーガポンの特性を使う回数は、最大で12回ほどということになり、これで出せる火力は840点分です。
...もちろん、どう見ても過剰です。オーリムと手張りが合わさると最大3エネ(=210ダメージ)を毎ターン加速することができ、相手の二進化exを倒すのは最大でも5エネ分ですから、オーガポンをゲーム中に使いたい回数は、多くても3回くらいになるのではないかと思います。ここに加えて、後半はスナノケガワで代替がきくので、実はオーガポンの効果は、最序盤に2回くらい起動出来ればエネテンポが間に合うということになります。
こう考えると、オーガポンを3枚も採用したり、草エネルギーを7枚も採用したりすることのアンバランスさが分かるのではないでしょうか。
ボールや大地の器を採用している関係上、枚数を絞っても決して2回程度のみどりのまいの起動ができなくなるほどではないので、オーガポンのデメリットも踏まえた上での安定した構築を模索するのが良いのではないかと私は思っています。
おわりに
ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました。個人的にはタケルライコはシンプルな型であればあるほど強力だと考えているので、異物の採用に関してはかなり慎重になりながらの議論が行われるべきだと思っています。
この記事が皆さんの考察の一助となれば幸いです。
最後に、参考リストを提示して今回の記事を終えたいと思います。
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