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【ポケカコラム】強い「調整チーム」に入るには

こんにちは。密林(@miTSUriN_miri)です。

僕は普段「チーム千里眼」というグループで活動をしていて、現在メンバーが7人います。(そろそろマンパワーの不足を感じてきたので人員を増やしたい)
ただ、僕がポケモンカードを始めたばかりの時は当然一人でした。僕は当初から「やるなら競技として本気でやりたい」と思っていたので、チームとして活動している強者たちがいると知り、どうにかしてそうした人たちと一緒に練習できないかと考えていたものです。

今回は、その頃のことを思い出しながら、

・「調整チーム」とは何か
・強い人は皆調整チームに入っているのか
・どうすれば強い調整チームに入れるのか

といった話をしようと思います。

「調整チーム」とは何か

そもそも、調整チームって何でしょうか。
友人や恋人に、「俺今ポケモンカードの調整チームに所属していて、毎日練習しているんだよね」と話した時のことを想像してみてください。

「えっ……チーム?」(笑)

ってたぶんなるんじゃないかと思います。チームて。プロゲーマーじゃないんだから。
でも、「俺今社会人の草野球チームに所属していて、土日は練習しているんだよね」というと、あまり違和感がありません。
この二つには違いがなくて、「チーム」とはあくまで自称であって、実態としては仲良しグループとか身内とかそういうのと同じです。

ただ、チームを自称することによって、グループ内の所属意識を高めるとか、情報秘匿の範囲を明確化するとか、競技に取り組むということへのモチベーションを得るとか、そういう効果があるんだと思います。とはいえこれは団体間で様々です。

強い人は皆調整チームに入っているのか

では、こうしたチームに所属することは、強くなるうえでは必須のことなのでしょうか。結論から言うと、必ずしもそういうわけではありません。

もちろん、考察を共有する価値は高いでしょうが、皆が皆固定の調整チームに入って練習をしているわけではありません。僕の所属しているチームは、おそらくほかのチームと比較しても明確にPDCAを回そうとしているとは思いますが、そういうチームばかりではないとも思います。

ではチームに所属していない強い人はどういうことをしているかというと、日々PTCGLなどで実戦経験を積んだり、ジムバトルなど店舗に通って店舗内での意見交換などをしたり、あるいは個別の練習会などに出かけていってそこにいる人と質を担保した対戦をしています。

こういう人たちに共通しているのは、「別にチームに入らなくても、強い人や固定の人と意見交換できる土壌は持っていることがほとんどだ」ということです。

先ほども述べた通り、「チーム」を自称するかはその人の問題であって、固定メンバーよりは流動的な対戦相手を求めたり、考察は強い人の間で緩く共有できていれば後は自力でメタゲームを乗り切っていけると考えたり、時と場合によって考察を共有する人間を乗り換えたりできる幅広い強者との人脈を持っていたりするような人は、必ずしも「チーム」に所属しなくても好成績を狙っていける環境を持っています。

こうした強者と意見交換ができる環境は、強くなるうえで、あるいは成績をコンスタントに残し続けるうえではかなり重要だと思います。

調整チームは弱者の戦術

こうした個人で波を渡っていくプレイヤーと比較すると、調整チームというのは弱者の戦術だと個人的には考えています。

自分一人では考察力が追い付かない場合に、マンパワーを加速させることによって研究量を節約したり、誰かが考案したデッキのフィードバックを早い段階で得たり。
こうしたチームでの研究は、極端な話をすれば圧倒的強者には必ずしも必要ではないと思っています。なぜなら、答えにたどり着くまでのプロセスがより速く、少ないフィードバックで多くの知見を獲得できる人は、より少ないマンパワーでも研究を進めることができるからです。

今自分が所属しているチームもそうですが、単体の考察力で劣る構成員が、議論の数と考察の量を重ね塗りすることで、こうした単体でタレンテッドな能力を持つプレイヤーと渡り合うための一つの生存戦略が「チーム」というものなのだと考えています。

チーム千里眼の話をするならば、我々のチームはポケカ歴が長い人が少なく、ポケモンカードに対する知見が不足しています。(個人的見解ですが、XY以前からやっているポケカ老人はゲームに対する見え方が一段階違うと思っています)
我々のチームはディスコードでの議論がかなり活発で、そうした議論が練習時間を補って存在していることで、平日練習をほぼできない社会人チームでもそれなりに頑張れているのではないかと思っています。

もちろん、これは個々人の能力が低いからであって、個人の能力が高いグループがチームを組んだ時の爆発力は、生存戦略としてのチームの比ではないでしょう。
また、一人のデッキビルダーや強プレイヤーを中心としたチームも存在します。単体でもタレンテッドなプレイヤーが、メンバーにデッキを託すことによって全体での好成績を狙う構成です。
上記二例のチームは、生存戦略してのチームより遥かに強力だと考えていますが、実態として世にあるチームの大部分は生存戦略としてのチームが多いのではないかと思っています。

どうすれば強い調整チームに入れるのか

結論から言います。入れません。
より正確に言うなら、よほど巡り合わせがよくないと入れません。変な話ですが、芸能人と友人になることが難しいみたいなことです。
芸能人と友人になることが難しいのは、相手が違う世界の人だからということももちろんあるのですが、よりシンプルに言うならば「画面の向こうにいる特定個人と友人になることを目的にするのは難しい」ということです。

先ほど述べたように、「調整チーム」とはシンプルに言えば友人間のグループであり、そこに参入するには「チームメンバー」である以前に「友人」である必要があります。もちろん、新規チームメンバーを「友人」として広く募集するチームもありますが、強いチームであればあるほど強い友人には心当たりがあるものです。

ですから、ポケモンカードで名を挙げたわけでもなければ、強者に認知されているわけでもない人が強者のチームに入るのは、ほぼ無理だということです。もともと強者と友人関係にあって、モチベがあって、センスがあって……などのめぐりあわせが噛み合わなければ無理でしょう。

当たり前ですけど、地元の草野球チームに新人が入るのは簡単ですが、プロ野球のチームに入るのは難しいですよね。あなたにモチベがあっても、見所があっても、相手はそれを知りませんし、さほどの興味もありません。まだ。

どうすればチームに所属して強くなれるのか

前項で述べたように、「どうすれば強い調整チームに入れるのか」という思考には、構造的に無理が生じています。

強い調整チームに入れば確かに強くなれるかもしれませんが、強者でなければ強い調整チームに入るのは困難です。なぜならあなた自身が強くなく、チームに魅力を提示できないから。
しかし、独力で強者になることができない人は、どうやって強い調整チームに入るほどの力をつければいいのでしょうか。ここに「初心者とチーム」のジレンマが発生しています。

このジレンマを解決するのは困難です。なぜなら課題設定のほうが間違っているから。「強い調整チームの仲間に入れてもらう」ことを目標にするのはやめましょう

ではどうすればよいのか。個人的には、二つアプローチがあると考えています。

① 強くないチームを立ち上げるか参加し、そこを強いチームにする

最もやりやすいのがこれなのではないかと考えています。今の千里眼がどれほど「強いチーム」かはわかりませんが、我々もこれを目指していると思います。

結局、独力で強くなることに困難を抱えている人が強くなるのに必要なのは、「一緒に強くなってくれる他者」を見つけることであり、それがいきなり「既存の強チームに所属している強者」である必要はありません。
もちろん、強者にコーチをつけてもらったほうが効率的でしょうが、強者の目に全くかからない段階ならば、別に一緒に練習する相手が強者でなくても、伸びしろはいくらでもあります。

ここで重要なのは、練習相手がちゃんと強くなるモチベーションを持ってくれることであり、そうした相手を見つけられさえすれば(それがチームという体裁でなくても)きっと強くなれます。

「そんな、一緒に練習してくれる相手を見つけるなんて難しいよ」と思うかもしれません。確かに一定のハードルはあります。しかし、ツイッターで目にする強者を一緒に練習してくれる相手にするよりははるかに簡単です。

ツイッターで目にする強者は強くて耳目を引けるから、あなたにとって「他者を見つける」コストがないだけであって、「その他者と仲良くなる」コストは逆に莫大です。

店舗に通うでも、既存の友人に声をかけるでも構いません。まずは、どこかもっとゆるく参加できるようなコミュニティに参加して、よく対戦する人と顔なじみになって、一緒に強くなってくれる人を探しましょう。
最初から強いチームに所属するのは難しいかもしれませんが、自分が所属するチームを強くしていくことができれば結果は同じです。

そして、こうした過程の末にチームから抜けたりすることがあっても、強くなる過程でほかの友人がきっとできます。誰かと強くなるという工程を繰り返していけば、調整相手に困ることが逆に減っていきます。

② チームに所属せず、自由参加の練習会や自主大会に参加し続ける

強い人と練習するのは難しいかもしれませんが、対戦をするのはそこまで難しくありません。景品が豪華だったり、CL直前だったり、強者が参加する会に足繁く通って対戦経験を積むことで、強さを引き上げてもらうアプローチもあると思います。

こちらの方法はそこそこのお金やある程度の初期段階の実力が必要だとは思いますが、他者の練習機会を自分の練習機会に変換する、という方向性で行くなら、こっちのほうが有効なのではないかと思います。

対戦相手はあくまで一期一会の相手ですので、相手がどこまで親切かに依存する点や、あまりにも基本的なことや話題に上らなかったことは教えてもらえないという欠点もありますが、顔を売るという意味では有効かもしれません。

仲良くなるには声をかけるしかない

実際に仲良くなるにはどうすればいいのか。これはもうポケカとかじゃなくて人間関係の話ですが、自分から声をかけていくしかありません。
そこで仲間に入れてもらえるか、仲良くなってもらえるかは運や相手との相性の問題もありますが、最低限身だしなみに気を使って、悪印象を与えないようにふるまい、善意で行動するようにしていればそうそう嫌われません。

人と仲良くなるにはハードルがありますが、相手から声をかけてくれる幸運にすがるよりは、自分から声をかけたほうがいいです。一緒に練習してくれる相手は貴重です。貴重な相手を得るチャンスはなるべく数多く持ったほうがいいでしょう。

ジレンマが解消されれば焦りも減る

難しい話ですが、チームに所属したいと考える人は、このままだと自分の実力がつかないのではないかと焦りがちだと思います(当時の僕もあせっていました)

逆に言えば、自分が強くなるための方策がおぼろげにでも見えてきさえすれば、チームに所属しなければならない、あるいは強者たちの既存グループに参加したいと思うことも減るのではないかと思います。

僕もポケカを始めたころは、有名なチームの話題を聞いて、そうしたグループに参加するにはどうすればいいのか、と考えることが多かったです。しかし今は、自分のチームを強くできればそれでいいと考えています。

知見を得るために強者と関わりたい、と思う気持ちは今ももちろんありますが、そのために必要な「自分自身が成長する」ということが実践できる環境に立てば、逆に「強者と関わらなければ」と思う割合が減ります。もともともの目的がどこかに行ってしまったようですが、不思議とそういうものなのだと思います。

さいごに

話が長くなりましたが、僕がこのコラムを通して言いたかったことは、「一緒に本気でやってくれる友達を作るほうが絶対にいい」ということです。

年を重ねれば重ねるほど新しい友達を作るのは難しく思えますが、卓の向こうに座っているのは同じゲームを楽しむ仲間です。中にはきっと、一緒に練習をしてくれる人がいます。
そうした人を探して大事にするほうが、実際には胸襟を開いて話したこともない有名強者と仲良くなろうとするよりも重要なことだと思います。

一人でポケモンカードを練習したり、調整相手を求めたりするのは孤独で不安だと思いますが、最初の勇気を振り絞ればきっと道が開けると思います。
僕もその気持ちはよくわかるつもりなので、不安に負けず頑張ってくれる人が増えることを願います。

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