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すべてきみのおかげ。

ちょうど1年前のこの日、突然そのひとは眼前に現れた。


これをみてほしい。

(オーラヤバくない?)

このオーラやばい方が、わたしが未来を見たと力説したい、JO1(ジェイオーワン)の、川尻蓮(かわしりれん)くんである。

驚くのが、このときはまだデビューしていない一般人だということ。

さらにこれをみてほしい。


(ギャップヤバくない?)

そう、川尻蓮は、ステージから降りた瞬間、少し高めの声で、JAM(JO1のファンネーム)を楽しませるために、フラワーソープを作ってしまうくらい、本当に“柔らかいひと”なのだ。
わたしは、彼のダンスに惹かれ、オーディション番組を通して、この圧倒的パフォーマンスと人柄に、瞬く間に落ちることになった。


PRODUCE101JAPAN。通称日プ。
蓮くんがいたその場所は、デビュー候補である101人の練習生から、11人が選抜され、グループでデビューを目指す、サバイバルオーディション番組だった。
視聴者である国民プロデューサーは、練習生の中から推しメンをpick(選ぶこと)し、投票を行い、最終順位上位11人がデビューとなる。
調べ始めると、元々は韓国で行っていた番組であり、今回、初めてその日本版として開催されたものだと知った。
わたしが観始めたときにはすでに後半に差し掛かり、ちょうど2pick(推しメンをふたりだけ選ぶこと)投票になっている段階だった。
今までのシリーズも全く知らなかったけれど、とあるきっかけから、101人のいちばん前でオーラ全開に踊る彼のダンスにものすごく興味をもった。
派手な見た目から想像できないくらいの美しい形とリズムのとり方。観ていて気持ちの良いくらい安心できるダンス。なにより笑顔が優しかった。
一般人だということにも驚いたが、今まさに戦いが行われているオーディション番組ということを知って、観るのを少し躊躇った。
正直得意ではない。サバイバル番組はずっと楽しく観ていられるものではないことを知っていたから。
ただ少しだけ。蓮くんのダンスとステージ以外の彼の姿もみてみたいな。
それだけの気持ちだった。


川尻蓮くんは、日プのシンボルのようにわたしには見えた。
番組タイトル曲「ツカメ〜It‘s Coming〜」でセンターに抜擢されてから、もうそれが運命であるかのように、あらゆる場面で、彼は番組の中心になった。彼は大体の曲のセンターで、自分のグループのメンバーを選べる機会が多く、投票順位は1位か2位をキープしていた。決して楽な道のりではない。上位で居続けるということは、時に、本人の思いとは別に、ある種の孤独や周囲の思惑に巻き込まれるリスクもある。並大抵の精神力では、このサバイバルに挑む気持ちを保つことはむずかしいのではないか。
まだまだ成長期の青年が、こころをすり減らせていないだろうか。わたしは嘔気がするほど不安になった。
けれど、蓮くんは、ひたすら前を見据え、高いプロ意識を持って、己のできる努力をし続けていた。
彼が選ぶ言葉は、つねに謙虚で、聡明だった。
彼の表現するダンスや歌は、しなやかで、この青年期にしか出せない美しさや儚さを持っていた。
一度ステージに上がれば、顔が変わり、涼し気な目で観る者を射抜き、釘付けにする。
パフォーマンスが終われば、溢れる優しさをその身にまとって、「れんくん」が帰ってくる。

(この過酷な環境のなかで、)
(このひとは、なぜこんなに柔らかく笑えるのか。)

この頃のわたしは、長年大好きだったグループが休止に向けて歩んでいたり、出会ったけれど過去の映像しか見つからなかったりと、もどかしさや寂しさを抱えている時期であり、そんな暗い夜の中に登場してくれた蓮くんは、まさに光だった。

わたしは武者震いするからだをおさえて確信した。

このひとがいる音楽の未来をみてみたい。
そして、蓮くんの世界に連れていってほしい。

見つけたと思った。



それからというもの、
記憶を辿れば、胃が痛くなるほど必死だった。
自分をさらけだし、周囲へ投票をお願いし、
できる限り時間を作っては応援に費やした日々。
今まで知らなかったアプリや、言葉や、ファンダムの存在。
とくにこの、蓮くんに魅せられたファンダムは凄かった。
とにかく、もう、凄かった。(語彙力)
季節は冬にさしかかり、寒空の下、蓮くんのPRが描かれたティッシュ配りをすると知った日は、尊敬で胸がいっぱいになった。
蓮くん。池どころか海だよ、
蓮の花が咲いた場所。


苦手だったオーディション番組。
絶対に良いことばかりじゃない。
全員の願いは同時には叶わない。
蓮くんだけじゃない。練習生は皆、良い人たちばかりだった。回を重ねるごとにパフォーマンス力や自身の魅せ方を向上させ、実力はどんどん増していく。みんな、この夢を掴みたい。
それぞれ応援しているひとたちも、大好きなひとの夢を叶えるために、全員必死な時間を過ごしている。
101人から11人も選べるのかと思っていたがとんでもない。番組終盤では、11人の枠では足りないと何度悩んだか。
あの頃、見届けるこちらのほうが苦しいこともあった。こころが疲弊した日もあった。
でも、それでも、蓮くんの姿をみると、応援しない選択はなかった。
蓮くんを応援できる時間が嬉しかった。
あの日々は、もう二度とないくらい大切な宝物だ。


たくさんの人の思いを背負って、ついにデビューを掴んだ彼は、「大事なのは、11人で1つであるということ」と言った。
蓮くんは、メンバーが大好きだ。
番組中も、彼はずっとそうだった。
「ライバルだけど、まずは皆と仲良くなりたかった」
後に発売されたDVDでそう微笑んだ川尻蓮の纏う空気が好きだった。このひとにふさわしいファンにならなくちゃな。そう思った。
冷静に熱い彼は、これからも着実に未来を切り開いていくのだろう。
彼が大好きな仲間たちと、あの優しい笑顔を持って。

れんくん、ありがとう。
蓮くんを知って、わたしの心は救われたよ。
パフォーマンスがきっかけだったけれど、
それ以上に、ずっと、ずっと、
蓮くんが柔らかいひとだったから。



そうして選ばれた11人のJO1は、2020年3月4日に「PROTOSTAR」でデビューし、見事シングル売上ウィークリーチャート初登場1位を獲得。
同年8月26日にはセカンドシングル「STARGAZER」を発売し、こちらもウィークリー初週1位となり、雑誌、ラジオ、オンラインコンサート、オンラインレギュラー番組など、あらゆる媒体で活躍をみせている。
わたしたちは国民プロデューサーから、JAMへと変わった。
メンバーの個性は非常に豊かだが、皆素直で、それぞれの優しさがある。とにかく良い人たちだ。
練習量の賜物か、見るたびにグループパフォーマンスが毎回進化していた。とくにメディアでも話題になった、STARGAZERのタイトル曲OH-EH-OHのPracticeVideoでは、そのスピードや角度の揃い具合に驚かされた。

生活に制限をかけられ、毎日の仕事をこなしながら、こんなクオリティーの高いところまで。
本当に頼もしい人たちだ。
そして全員顔が良い。どこを見てもノンストレス。
あらゆる好みを網羅できて、横一列に並べばさらに増す多幸感。
これはJO1の大きな武器といえる。
大きなプレッシャーを駆け抜けた彼らは、踊ること、歌うことを非常に楽しんでいるように思う。楽屋のオフショットをみても、ほど良い緊張感が流れ、それでいて自信に満ちていた。
そしてまさに今日、彼らJO1のファーストアルバム「TheSTAR」のタイトル曲である「Starlight」のMVが公開された(11月25日発売)。全員もれなくかっこいい。蓮くんの魅せ方がしぬほど好き。


JAMとして彼らとともに歩けることがとても幸せで、目頭が熱くなる。
11人の旅路は、始まったばかりだ。



最後に、デビュー後の川尻蓮はというと、パフォーマンスリーダーとしてJO1に還元するだけではない。
自他ともに認めるゲラで、ドッキリにまったく驚かない精神力の持ち主で、ひらめき力はピカイチで、好き嫌いがなかなか激しくて、意外といたずら好きという新しい魅力をみせている。
なにより、彼の愛嬌が想像以上に爆発している。
ある日、JAMには自身のことを「れんちゃん」と呼んでほしいと言ったため、蓮JAM一同が「蓮くん」から「蓮ちゃん」に移行するまで、若干照れる時期を過ごしたのは記憶に新しい。
笑うときは両手で口を覆い、表情もくるくる変わる。はずかしいときなどには「やだぁ(> <)」と言うのが川尻蓮で、メンバーの金城碧海くんがたまにこれを真似してくれる。
本来の彼は、きっとこうなのだ。
それにしても、
「れ、れんちゃんってこんなに年下感あったっけ?」
心臓がもぎとられるような彼のギャップに、わたしや彼のオタクは毎回くらくらと倒れそうになっている。


思えば、あのときから片鱗は見えていた。
11人決定後のインタビューで、メッセージを求められた蓮くんが、少し照れながら瞳を潤ませ、上目遣いでつぶやく。

「これからも、応援してくれんと、こまるけん…」

(白目)

会場から湧き上がる歓声と同じ熱量で、わたしの喉から尋常じゃない声がでた。

薄れゆく意識の中で、どこかで聞いた言葉が流れる。

男性に、「かわいい」を感じると、もう絶対服従、と。