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お地蔵様を轢き逃げした知人
ときどき、ダッシュボードでどういった記事が読まれているのかチェックします。最近上位にあるのは「神仏系」。中でも、粗末に扱ったために起こる祟りのようなものに興味を示す人が多いようです。
そこで、今日は私の知人の話を書いておこうと思います。
その知人とは、KSさんという男性です。ふくよかな体型に目尻が下がった細い目。まるで、髪のある布袋様のような見た目の人で、穏やかで優しい、面白い人でした。
KSさんは、ある晩帰りが非常に遅くなり、いつもより運転がやや乱暴になりながら帰宅したそうです。KSさんの家は郊外で、途中には昔ながらの道も残る長閑な場所にありました。
(とにかく、早く帰って寝たい)
KSさんは、その一心で車を走らせたようです。
ところが、KSさんは途中で事故を起こしてしまいました。狭い道に入った辺りで、何かにぶつけたことに気づいたKSさん。ミラー越しに見ると、人身ではありません。それがわかると、一刻も早く就寝したいためにそのまま走り去りました。
何しろ、遅い時間帯は車も滅多に通らない場所。目撃者もいない筈です。
KSさんが車で当てたもの。それは道端に立っていたお地蔵様でした。はい、KSさんはお地蔵様を轢き逃げしてしまったのです。
さて、こうして何もなかったかのようにやり過ごせたKSさんでしたが、お地蔵様の轢き逃げ事件は思わぬ展開を迎えます。
実は、車も人もいないと思い込んでいたあの晩、お地蔵様の轢き逃げを目撃していた人がいたのです。
決め手はKSさんが当時乗っていたアメ車でした。そもそも所有者自体が少ない車種だったうえに、目撃していたのは知人だったのです。これはもう、間違えようもありません。
あっけなく轢き逃げがばれたKSさんは、後日きちんとお地蔵様の修復をし、逃げ切ることはできなかったのです。
目撃者は飲食店経営者で、私も直接聞きました。
「Kちゃんが、お地蔵さん転がしてっちゃってさあ(笑)」
KSさんの面白い人柄もあって、知っている人の間で暫く笑い話になった事件でした。
悪いことはできないものですね☺️
KSさんの紹介を過去形にしたのは、彼はもう故人だからです。私が結婚する年に亡くなっています。闘病しているのを知らず、私の結婚祝いで皆んなが集まってくれるときに何人かが連絡を取ってくれました。そして、亡くなったことを知りました。当時まだ40代という若さでした。
もともと無茶な生活の人で、体を壊していたようです。お地蔵様とは関係ないと思います。すぐ修復してお詫びしてますしね。
彼が亡くなって暫くした頃、夢に出てきたことがあります。姿はまったく変わらず、人の良さそうな笑顔も生前のままでした。ただ、話しかけても答えてくれません。見ると、口だけがないのです。不思議な夢でした。
お世話になった人ですし、怖さもなく、夢で会えたのは嬉しかったです。