組織コミットメントで成果をだす
ヨシミツダです。
普段はスタートアップでHRBPやってます。
今日は組織を動かすために重要な組織コミットメントについて感じたことを紹介したいと思います。
組織コミットメント
組織コミットメントとは、組織とそこに所属する従業員との関わり合いに関して、メンバーがそこに居続ける、あるいはそこを去ることに影響する心理的な状態を捉えた概念です。
個人的な目標を追求する個人から、組織はどのように組織人格としての行動を引き出すのか?
個人はあくまで個人の目標(報酬、動機)に従い動くが、組織としての目標に向かいまとまって動いてもらうためにはどうしたらいいのかという課題は、昔から存在する組織行動の課題です。
このようや課題に対してリーダーシップ→モチベーション→成果というルートで実現するやり方の他にこの組織コミットメントを高めるルートがあります。
組織コミットメントの構成要素
ジョン・マイヤーとナタリー・アレンという心理学者は組織コミットメントの構成要素として以下の3つをあげています。
情緒的コミットメント
規範的コミットメント
継続的コミットメント
情緒的コミットメント
組織に対する感情的、情緒的な愛着、あるいは会社と自分との同一化、一体感を感じている。
規範的コミットメント
組織に居続けることへの義務感、忠誠心、恩義を感じている。
これは、例えば「一度入社した会社をすぐに辞めるべきではない」「すぐに会社を辞めたりしたら、周囲の人から何を言われるかわからない」というような義務感や規範的な意識で組織に居続けているような場合です。
継続的コミットメント
組織を去ることによって失うデメリット、組織に居続けることのメリット、代替的な選択肢の欠如を感じている。
他の所属先を探すのが大変だし面倒である、他に良いところが見当たらない、あるいは今の組織に居続けることのほうが大きなメリットがあるといった理由で組織に居続けてあるような場合です。他のコミットメントと比較すると功利的なコミットメントと言えるかもしれません。
情緒的コミットメントはメンバーが是非とも組織に居続けたい(want to)、規範的コミットメントはそうすべき(ought to)と思うこと、継続的コミットメントはそうする必要がある(need to)と思うことにそれぞれ関わっています。この3つのうち少なくとも1つが高ければ、その人は現在所属している組織のメンバーであり続けるというのがマイヤーとアレンのモデルのポイントです。
組織に参加し、そこに居続けるということに関しては、この3つのオプションがあります。
しかしながら、役割外行動を促す場合、情緒的コミットメント以外のコミットメントはあまり影響を与えないことがわかっています。
組織のために創造的提言をする、周囲のメンバーを助けるといった役割外行動をひきだすためには、組織に愛着を持ち、組織の価値観に共鳴している状態をつくりだすことが必要ということです。
かつて日本を支えていたもの
1980年から1990年ころにジェームズ・リンカーらの研究グループが日本の会社組織について、組織コミットメントの調査をしました。
欧米企業に比べて賃金水準が決して高いと言えない日本企業の社員が、なぜ長く組織に居続け、企業が低い離職率をキープできるのか不思議に感じて日本企業の調査に乗り出しました。
そこでわかったのは、組織に所属する個人を定年までの長期にわたって雇用し続け、しかも、彼らのポジションを年齢に応じて序列化するという仕組みによって、多くの社員にとって組織をやめずにそこで頑張り続けた方がメリットが大きくなるような状況がつくりだされ、そのことが社員の帰属意識につながっていたということでした。
つまり継続的コミットメントが作用していたのです。
組織文化
組織への強いコミットメントをひきだすための答えの1つが、組織全体で強い組織文化や価値を共有することです。組織側から強い組織文化や価値を打ち出すことが、従業員のコミットメント、とりわけ情緒的なコミットメントにつながるのです。
組織文化とは、組織のメンバーに共有された価値観、信念、行動規範のパターンと定義されます。
狭義には、経営理念やビジョンのような形で表現され、組織の中で共有されている、種々の価値観や信念、およびさまざまな状況下でどう振る舞うべきかという行動規範を指すわけですが、広い意味ではそうした価値観、信念、行動規範の背後にある無意識の基本仮定、また価値観、信念、行動規範を体現した具体的な文物(たとえば、経営理念が書かれたパンフレット、会社のロゴやオフィスレイアウト)を含みます。
組織文化を表したものとしてネットフリックスのカルチャーデックは有名ですよね。スタートアップはカルチャーデックを作っている会社が多いです。
組織文化の弊害
強い組織や強いコミットメントにはよいことだけでなく、弊害があることもいくつかの研究でわかっています。
組織への過剰な愛着や一体感が、かえって組織の変化を妨げたり、そうした動きに対して心理的な抵抗感を生み出したりします。
安定した状況下で、個人を引き止め積極的な貢献を引き出すためには、強い文化とコミットメントが必要であるにも関わらず、組織が変革を求めるときには、かえってコミットメントを減じてしまうのです。つまり、組織にコミットする人と組織へコミットしない人達を一定数排除せずにキープし続けるようなバランスの取り方が組織のマネジメントには求められます。
これは情緒的コミットメントにもマイナス面があることを示しています。組織に強い愛着を持っているので、もはや組織を冷静にみられなくなっているのです。
組織コミットメントについては以下の書籍を参照しております。詳しく勉強したい方はこちらをご参照下さい。
組織のカルチャーを打ち出すときは、情緒的コミットメントの変化を捉える必要があります。
また、近年の転職市場の活発化により以前よりも継続的コミットメントが働きにくくなっていることも認識しておくべきことかなと思います。
労働環境(衛生要因)についても、各社横並びな印象もあり、組織コミットメントに与える影響はそれほど大きくない印象もあります。
組織のメンバーの組織コミットメントを強化するために組織文化を発信することの重要性はどんどん高まってきています。
私も改めて組織文化の強化に向けて動きたいなと思います。
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