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心理的契約をふりかえる

こんにちは。ヨシミツダです。
普段はスタートアップでHRBPやってます。

今日は心理的契約についてお話したいと思います。心理的契約とは、文書化された契約あるいは法できめられた契約内容だけでなく、従業員が会社組織に期待する文書化されない期待を含んだ契約のことをいいます。

これらの契約は、文書化・明文化されているとは限らないですし、文書化されたものでもその解釈は個人の認識によって異なります。

なので、心理的契約は一般に「当該個人と他者との間の互恵的な交換について合意された項目や条件に関する個人の信念」と定義されます。

心理的契約の要素

心理的契約には4つの要素があります。

1.個人の信念
契約でありながら、組織の側の認識は問わず、個人の側のみの認識・信念であるということ。

つまり、自分と組織が相互にこのような期待を抱いているという認識、信念を持っているとすると、それで心理的契約は成立します。

2.合意
心理的契約が個人のある種勝手な期待であっても、そこには合意が成立しているという認識が必要であること。

3.心理的契約の中身
どのような項目について互いに契約していると認識しているかということ。

4.双方向の期待 
心理的契約は互恵的な交換関係、すなわち相手に対して何かを求める代わりに、自分も相手に何かを提供するつもりだという、双方向の期待を示すものだということ。

契約の不完備性

心理的契約という概念がなぜ必要かというと、契約が不完備性を持つからです。
人間の情報探索能力には限界があり自分が組織に期待することを文書化するための想定ができなかったり、想定するために必要なすべの情報を得られないために契約の不完備性が発生します。また、将来状況が変わる場合にも、想定が変化してしまうことも契約の不完備性が生じる原因の一つです。

心理的契約の内容

心理的契約に含まれる契約の内容は、取引的契約と関係的契約の2つに分けることができます。

・取引的契約
経済的な条件的側面に主眼を置いた短期的に更新される可能性がある契約のことを指します。

企業と個人の関係に関して考えれば、会社は業績に基づいて賃金を払ってくれる、休日出勤や残業は特別な場合を除けばない、などといったことが含まれます。

・関係的契約
金銭、あるいは経済的な側面にとどまらず、心理的な側面をも含んだ長期的な契約のことを指します。

長期的に雇用を保障してくれる、個人的・家族的な配慮といったことなど。

心理的契約は、相互期待なので、従業員が会社に期待することだけではなく、個人が認知する会社が従業員である自分に期待することも、内容に含まれます。したがって、心理的契約の内容は、従業員への期待、会社組織の期待に対して、それぞれ取引的契約と関係的契約があります。

関係的契約を認識する従業員と取引的契約を認識する従業員では、関係的契約を大事に考える人ほど、仕事や組織に対して意欲的で、長期的な勤続を望み、取引的契約を大事に考える人ほど、より高い地位を望むといった立身出世的な態度を示すことが指摘されています。

契約の不履行・違反

心理的契約が破られることは、契約の不履行あるいは違反と呼ばれます。
心理的契約は、会社と個人の間できちんと文書化された契約ではありません。それは、従業員が想定する、会社への期待と会社から自分への期待です。なので、契約の不履行は従業員側の知覚にすぎないのですが、職務満足、組織コミットメント、業績、離職などネガティヴな影響を与えることがわかっています。

心理的契約が破棄されたと感じた従業員は離職や転職を検討する可能性もあります。

またネガティヴな結果には、公平性、不履行理由の正当性、組織コミットメント、組織への信頼などの知覚状況も影響を与えます。これらの状態が比較的ポジティブな状態であれば、契約の不履行が発生しても、さほど大きな問題とは認識されません。

心理的契約からの乖離

何かの出来事が起こったり緩やかな変化が自身や組織に生じる中で、自分のありたいイメージと現状あるいはこれからの組織や仕事のイメージとの適合を考えて離職の意思決定をします。

今回はこの本を参照しました。心理的契約についてもっと詳しく知りたい方にはこちらの本をご参照ください。

一人一人の心理的契約

容易に想像できますが、従業員一人一人の心理的契約は、過去よりもバラエティに富んだものになってきている気がします。

組織への信頼、組織コミットメントに対する各メンバの状態や、取引的契約、関係的契約どちらを優先する人なのかなどパーソナリティを意識することで、やるべきことの解像度がグッと上がるような気がしています。

また、自分が一体どんな心理的契約を結んでいるのか改めて言語化し、認知することも棚卸し的にやってみるといいかもしれません。

ではまた。

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