令和2年3月号

(推薦)【春着】
庚子の麻垂整ふ筆始
着流しに伯母の形見のショール掛く
城郭に日の丸なびく初御空
杜の火を夜通し守る春着かな
近道にいつも居る猫春近し
日本画の透けゐる河豚の薄造り

所感 浅川正副主宰
杜の火を夜通し守る春着かな
氏神への初詣客をもてなすために境内で焚火をするのでしょうが、宮守も春着を着る事があるようです。

(課題俳句 兼題:近松忌)
特選 実と虚に揺らぐ川面や近松忌
こちらも川面の句です。一読は、季語に引かれて、観念過ぎるのではと思いました。今月は、そういう句がとても多かったのです。この季語の強さですね。しかし、掲句は、舟や鳥、芥などの実体のあるものと、月の光やネオンなどが映っている虚とが揺らいでいると写生した句でもあると思いました。両方の意味で二面性の句ですね。

談話室(総合誌・他誌から)
令和俳壇 2月題詠 夏井いつき選
秀逸 木の実手に市内一斉清掃日

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