令和2年1月号

(推薦)【受光伐】
冬に入る鍵穴に鍵すつと入る
政治家の世過ぎに冬の風少し
晩秋の雨粒受くる金盥
受光伐終へおもむろに山眠る
窓際のワインに映ゆる冬日かな
月を背に高度下げゆく機影かな

所感 浅川正副主宰
〈受光伐〉は林業用語で、下層の樹木などに光を当てるべく上層の樹木を整理する作業で、間伐とは少し目的が違っています。掲句では、明るくなった森が冬を迎える様子を気持ちよく表現しています。

鑑賞 伊藤たいら
指の跡付けまいと剥く桃の皮
柔らかくて、おいしそうな白桃。それを剥くときの気持ちは、傷を付けまいと、恐る恐るです、そんな微妙な心持の瞬間を、とてもうまく切り取りました。作者の剥き終わった桃をご馳走になってみたくなりました。

(課題俳句 兼題:鰰)
佳作 卸売市場が鰰との出会ひ

誌上句会
名月や居酒屋までの無口達

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