ヘンドがエールディヴィジにやって来る
半年で終わった“偉大なプロジェクトの一員としての挑戦“
あれだけ理屈を並べてこの顛末は、フィットするしない以前にまずめちゃくちゃ馬鹿にされるだろうなと真っ先に感じた、ジョーダン・ヘンダーソンのアヤックス行きHere we go。
あの言い分を真面目に本心から言っているとは信じてないし、仮に本気で言ってるなら救いようのないアホというのが、夏のThe Athleticに載った独占インタビューに対する反応の多くだったように思います。
その決断をLGBTQコミュニティへの裏切りと刺されまくった彼が、カタールW杯で話題になったOneLove腕章の発祥であるオランダに自身の再興のためにやってくるなんて、なんと皮肉の効いたイングリッシュジョークでしょうか。
彼自身の選択が招いた事態ながらこの半年は本当に散々だったね、と少し同情を覚えてます。
あのスティーブン・ジェラードがこの一端を担ってるというのも少し悲しい。
アル・イテファク、この夏はマティプとチアゴを狙うようですが、果たして。
ヘンダーソンは今のアヤックスが必要としていた選手
一方、ヘンダーソン本人並みか、それ以上に最悪な気分で過ごして居たかもしれないアヤックス。
ヘンダーソンは、今のアヤックスが必要とする選手のプロフィールに当てはまる部分がとても多い選手だと思います。
ミスリンタットが現場の意向ガン無視補強からの復興にはまだ数人の選手が必要に思いますが、彼は間違いなく候補の中でも必要だった選手の筆頭でしょう。
タディッチ、クラーセンの退団で居なくなった、若手の庇護者となれるベテランであり、間延びする中盤を運動量で埋められる点にそれを強く感じます。
流石にアヤックスのユニホームを纏うくらいなので、目に見えて悪い選手はいないんですが、今の彼らはとにかく打たれ弱い。
同点に追いつかれただけか、一点のリードを許しただけでもう負けが決まったかのように気落ちする様子には、いつもの傲慢な我々はアヤックスという自信たっぷりな感じが全くありません。
この状況で、リバプールというクラブ、特にクロップ政権下でキャプテンを背負った選手がもたらすものはかなり大きいと信じています。
プレー面は、サウジの半年で何がどれだけ錆びついたのかという点に大きな不安を抱いてますが、少なくとも、叩きに叩かれまくった昨季のリバプールでのプレー水準を見せてくれれば、エールディヴィジなら指折りのMFの1人に間違いなく、特にインテンシティやパスに関しては随一でしょう。
今季の残りを預かっているファントスキップ監督は、ピッチ上の混乱をひとつひとつ解いて、ようやくフラットにし終えたところで、適応に苦労しそうなスタイルがないことも彼には追い風のはずです。
フリンソンとテイラーの後ろのカバー、ベルフハイスやベルフワインの内外の追い越し、ボールの引き取りと、中核たちの負担を減らしてくれるんじゃないでしょうか。ファンデンブーメンが復帰した時の中盤の構成は楽しみです。
正直、最後は面倒ごとを避ける為に失意の招集外の憂き目にあうんだろうなという気がしますが、EURO本戦のメンバー入りに向けて相当高いモチベーションで臨むでしょうし、もう中東で半分引退した人扱いであった彼がまた身近なところで見れるのは楽しみです。
ヘンダーソンは、リバプール時代、常に逆風の中でプレーし、何度も外野の声を黙らせてきた選手だというのはリバプールファンであればよく知っています。
しばらくは多くのレッテルを貼られながら、また逆境に挑むのは変わらないねという懐かしさを感じながら、プレーで周囲の声をひとつずつ黙らせて欲しいなと思います。
2/3、PSV戦以外での大活躍を期待し、ヘンド、ようこそエールディヴィジへ。
<了>