「いじめられる方にも原因がある」とかいう意見、本気でダサいから今すぐやめよう。
今朝noteを開いたら、こんな記事に目が止まった。
読んでみたら、とても強くて優しいお子さんであること、お子さんへ愛情持って接するお母さんの想いが、文章から伝わってきた。とても素敵で、ものすごく価値深い記事だと思う。
記事内で紹介されていた、2年生のときの先生が残した言葉がとても印象的だ。
『破けた袋はもとにはもどせません。テープで破けたところをはっても、もとの袋には戻せないのです。人を傷つけるのはそういったことです』
そして、もう一つ。いじめをしていた子のお母さんの態度、卒業作文の書き直しを要求した学校の対応を読みながら、思い出した言葉がある。
『大人がカッコ悪いから、子供がグレるんだよ』
いじめをするやつが悪いのは当たり前。だけど一番悪いのは周りの大人たち。
『大人がカッコ悪いから、子供がグレるんだよ』
この言葉は伊坂幸太郎さんの小説『チルドレン』のセリフを借りたもの。印象的なセリフが多い伊坂幸太郎さんの作品の中で、最も好きなセリフの一つ。ちなみに、ちょっと覚え違いをしていたようで、正確には以下の通り。
『そもそも、大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ』
― 伊坂幸太郎『チルドレン』の主人公・陣内の台詞より
僕はその通りだと思っている。当然、いじめる方が悪いし、するべき理由もメリットもない。だけどそれ以上に、いじめに気づかなかったり黙認したりしている先生が10倍悪いし、いじめてる子供の親が100倍悪い。というのが僕の持論だ。
そもそもだ。「いじめをする」という行為は間違いなく、圧倒的に格好悪い。人として未熟で、なおかつ未熟であることを認められないからすることだ。また、自分が満たされていないからしてしまうことでもあるのだろうとも思います。
でも、そんなこと小さな子供が自分で分かるはずはない。そして、子供たちが「いじめなんて格好悪い」とか「そもそもなんでいじめをするのか分からない」と感じられるかどうかは、周りにいる大人たちにかかっている。特に、両親や先生の影響は計り知れない。
周りの人に感謝したり、自分と違う意見を尊重したり、人の素敵な部分を見つけようとする態度だったり。そういうイジメとは正反対な態度を周りの大人が日々ナチュラルに示し続けていれば、いじめをしようだなんて思わないはず。
それに、もし子供がいじめのような行動をしていたとき、あるいはそれに繋がるような本質を見せたときには、しっかり叱ってあげるのも大人の責務だ。そのようなことを周りの大人たちがしてやれなかったから、いじめをする子供が生まれてしまうんだ。
もう一度言いたい。
『大人がカッコ悪いから、子供がグレるんだよ』
よく見かける「いじめられる方にも原因がある」という意見について
いじめに関して、「いじめられる方にも原因がある」という意見を目にすることがある。かつて、僕の周りにもそんなことを言う人がいた。こんな意見だ。
「もちろんいじめる側が1番悪いけど、いじめられる人にも何かしら理由がある場合が多いよ。それに、いじめに負けない強さとか、いじめられない強さを身につけないとだめじゃない?」
もっと強い意見だと「いじめられてるのに努力して見返そうとしない甘えた奴が一番悪い」なんて極端なことを言う人すらいる(というか、昔僕の周りにいた。離れてほんとよかったと思う)。
このような意見を言う大人にハッキリ言いたい。それ、本当ダサいからやめな。大人がそんなんだからいじめをするような子供が育つんだよ。
「いじめられる方に原因がある」かどうかなんて、そんなのそもそも関係ない
そもそもだ、いじめられる子供に何かしら原因があったとしても、それがどんな理由であれ「いじめてよい理由」にも「いじめる理由」にもなってよいはずがない。当たり前のことだと思う。
最初にいった通り、他人をいじめることほど格好悪いことはない。たとえ相手が嫌味な奴だったり、ちょっと面倒くさい人だったりしても、そんな人は本気で相手にしなければいい。自分にとって価値のある素敵な人たちだけに目を向けていればいいわけだ。
だからどんな理由も、その人をいじめる理由、いじめていい理由には一切ならない。ましてや、生まれ持った容姿や障害などを理由としたイジメなんて問題外の外だ。
いじめられている側に何かしらの問題があったとしても、そんなことはまったく関係ない。「いじめ」が発生する原因は、100%いじめる側の心が持っている。そして、人をいじめるような子供にしてしまった周りの大人が一番悪いのだ。
いじめられてしまう子供は、いじめに関して「いつだって100%悪くない」。
(唯一の例外は、誰かをいじめてた人が今度はいじめられる側になった場合。これだけはちょっと擁護しようがない。これを機に学んで、自分の子供には同じ思いをさせない大人になって欲しいと思う)
「いじめられる方にも原因がある」なんてダサいことを口にする大人など論外だ。それはいじめを助長し、加担するのと同じことだとわきまえて欲しいと思う。
(そう思えば、ある意味いじめをしてしまう子供もまた被害者なのかも知れない。子供は親も先生も選ぶことはできない。
だからといって容認はできないけど、周りに格好良い大人がいてくれなかったのはかわいそうなことだよなぁ、と思う。)
ただし、世の中は理不尽だ。それは、確かに事実だ。
「いじめられる方にも原因がある」なんてダサいかことを口にする大人など論外だ。
しかし残念ながら、格好悪い大人が多いせいでいじめはなくなりそうもない。そして、世の中は理不尽なものである。とっても残念なことに。
だから、「いじめられる方にも原因がある」という意見は甚だ間違ってはいるけど、ほんの少しだけ学ぶべき点もある。
それはやっぱり、「心の強さを身につけよう」ということ。冒頭で紹介した記事の女の子は、いじめられてしまった理不尽さを通して「強く生きる強さと優しさ」を学んだんだと思う。つらいときを支えてくれた、素敵なご両親たちの力を借りながら。
この理不尽な世の中じゃ、誰しも何かしらの理由でいじめられてしまうことがあるかも知れない。もしかすると、到底納得し得ない理不尽な理由でいじめられる可能性だってゼロじゃない。
そんなとき、まずはこれだけは忘れないで欲しい。「100%いじめる方が悪い。君は決して悪くない」。
そして、その子の周りにいる大人たちは、子供たちと大きな愛で向き合い続け、支えてあげて欲しい。また、同時に少しだけ、世の中の理不尽さを優しく教えてあげて欲しいと思う。
そしたらきっと、いつかはちゃんと乗り越えてくれるはず。紹介した記事の女の子のように。彼女が書いた作文の中から、少しだけ引用させて貰います。
"母が前に言っていた「どんなによくふるまっていても嫌われる人には嫌われる。だから自分らしく生きるといい」私はそんな母の言葉に救われた。
そうだ、自分らしく生きて行こう。私はさなぎから蝶に変わる。"
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いじめに苦しむ子供がいなくなって欲しい。そう思うけど、きっとそれは難しいこと。だからせめて、いじめで悩み続け、その後の人生まで閉ざしてしまう子供がいなくなってくれたらな、と願います。
そのために大事なのは、やっぱり周りの大人たち。大人がカッコ悪いから、子供がグレてしまう。裏を返せば、周りの大人たちが素敵だったらいじめをするような子供にはならないし、どんな状況でも乗り越えられる子供になってくれるはず。
そんなカッコいい大人が、日本に溢れてくれたらな、そして自分もそうでありたい、と願います。
― 2021.01.27. 充紀