立春と初午とぼく。
今日は『立春』。暦の上では今日から春だけど、とにかく冷え込んだ今日の京都。外に出ると手がかじかみ、ポケットから手が出せない。
令和3年の春のはじまりは、晴れてはいるけど「手袋、つけてくればよかったな」とつい思ってしまう、ひんやりとした空気とともに迎えました。
2021年の『春分の日』は『初午の日』
立春の日である2021年の2月3日。今日という日は『初午』の日でもあります。『初午』とは「2月で初めての午の日」のこと。全国に3万以上ある稲荷神社において、一年で最も大きな祭り事のひとつ「初午祭」の日です。
もともとは五穀豊穣を祈る初午祭でしたが、現在は商売繁昌、家内安全、諸願成就などさまざまな願いを込めた祭典となっているそうです。
そもそも『午の日』ってなんだろう
ところで『午の日』ってそもそもなんなのでしょうか? 聞いたことはあってもちゃんと知っている方は少ないように思います。僕も知らなかったので、この機会にちょっと調べてみました。
昔の人は、10の『干』と12の『支』によって今日という日が一年のどの日に当たるのか把握していたそうです。『干支紀日法』といいます。
いまで言う『月』に当たるのが、
子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)
の『十二支』。昔の人は『冬至』がある11月を始まりと考えたようで、子が11月、丑が12月、寅が1月、・・・・となります。
そして『日』を表すのに使ったのが10種類の『干』です。
甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)
この10の『干』と12の『支』の組み合わせにより、60の干支を作ることができます。(ちょっと本筋と逸れるので省略しますが、詳しく知りたい方はこちらのページとかWikipediaとかで調べて見てください!)
つまるところ、どの月にも『午の日』とか『丑の日』とかが3回ずつ現れるわけです。そのうち、2月の1回目の午の日が『初午』と呼ばれています。
なぜ全国の稲荷神社で『初午』にお祭りが行われるのか?
さてさて、なぜ全国の稲荷神社で『初午』が祝われるのか。それは僕が毎朝訪れている稲荷神社の総本山『伏見稲荷大社』に由来があります。
言い伝えによると、奈良時代の和銅4年(711年)、2月最初の午の日に稲荷大神(いなりおおがみ、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)とも)が稲荷山の三ヶ峰にご鎮座になったそうです。
(↑伏見稲荷大社・三ノ峰)
この言い伝えがもととなり、2月の初午の日に「稲に宿る神様・稲荷大神」に豊作を祈ることが慣習となったようです。
建国の歴史が神話まで遡る日本って、面白いよね
伏見稲荷の『初午大祭』をはじめ、令和の時代まで残る文化の歴史を辿っていくと、起源が神話にまで遡ってしまうものが日本にはたくさんあります。これは世界広しと言えども、日本以外ではあまり見られないものです。
実は、現存する世界の国の中で建国が最も古い国は日本だそうです。建国の歴史を辿っていくと、そのルーツは『古事記』にまで遡ります。古事記によれば、天照大神(アマテラスオオミカミ)の命によりイザナギノミコト、イザナミノミコトが日本の国を生み出したとされています。そして、現在の天皇もその天照大神の子孫とされています。
日本の次に歴史が古い国はデンマーク王国ですが、その建国は西暦1536年。日本とは大きな差があります。
はるか昔から現在に至るまで、途切れることなく数珠繋ぎとなった歴史と文化を持つ日本はという国は、世界でも類まれな存在。加えて、季節によってまったく違った姿を魅せてくれる、色とりどりの四季に恵まれたこともまた世界の中で稀有な存在です。
そんな日本に生まれ育ったと思うと、もっと日本のことを知りたくなってきますね。
歴史の勉強をしてみるもよし、今に残る文化遺産や伝統芸を楽しむのもよし、四季の美しさを愛でるのもよし。日本の好きなところ、もっと見つけてみてはいかがでしょうか。
少なくともぼくは、そんな日本がやっぱり好きだな、もっと知りたいな、と思う、令和3年の立春の日でした。
― 2021.02.03. 充紀