読書:『ブルックリンの死』アリッサ・コール
タイトル通り、ブルックリンが舞台。この町で生まれ育った黒人女性シドニーと、最近この町に越してきた白人青年のセオ。正反対の立ち位置にいるとも言えるこのふたりの視点で物語が進んでいく。
冒頭からこれは人種差別問題を扱った作品だとすぐにわかる。それはその通りで、随所で人種差別問題がえがかれる。シドニーはむろんそれに憤っており、セオはそれに理解を示す立場。
セオがブラック・ライヴズ・マターを派手に謳ったシャツを着てきて理解をアピールするものの、シドニーがそれにあきれて、すぐそのシャツを脱ぐように言うシーンが興味深い。
この町では、昨今、古くからの住民が次々といなくなり、代わりに新しい住民が引っ越してきている。が、それがどうもおかしい。いなくなった住民の行方がわからない。いなくなるはずのない人間が突然いなくなる。ぶきみな違和感がじわじわ増大していき、やがて疑いのない形で現れてくる。
サスペンスだが、最後には大ブレイク大暴走してちょっとしたSFホラーのような展開になる。言ってしまえば、かなり大味だが、それも含めておもしろくはあった。映像映えしそう。クーンツあたりが書いていてもおかしくなさそうな小説。個人的には、ジョナサン・キャロルの『死者の書』などを思い起こしたりなどしましたが。ていねいに書いてきた前半を突然裏切るような展開、そして町の話、といったあたりで。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートしてええねんで(遠慮しないで!)🥺