読書:『吾輩ハ猫ニナル』横山悠太
書名:吾輩ハ猫ニナル
著者:横山悠太
出版社:講談社
発行日:2014/07
http://book-sp.kodansha.co.jp/topics/wagahaiwanekoninaru/
日本と中国のハーフ(ダブル)の青年ということだけど、どちらかというと中国のほうに寄っているのかな。日本の記憶はあまりなさそう。飛行機の中ではなぜか韓国人と間違えられたりするけれど。
そういう青年が中国から日本に小旅行をする。日本で食べるラーメンごときであれやこれやしゃべりまくって、うわ、なんだこの渦巻きはとか言いつつ、最後には秋葉原に行って猫になってしまう。そういう話。このオチは映像で観れば爆笑できそう。
さんざん迷って「自分」という一人称に決めて書き出したのに、最後には「俺」になってしまうし、タイトルは「吾輩」だってあたりのユーモアはわりと好きではある。
面白かったけれど、中身がないといえばない。このへんは芥川賞の選考委員たちが言っていたとおりですね。
文体が命の作品で、その文体を取っ払ってしまえばものすごく単純な話になってしまう。
ところで、評判になった特異な漢字とふりがなは、まともに読もうとするといちいち目が単語のひとつひとつにとまってしまってストーリーが頭に入ってこなくなってしまう。漢字はあまり気にせず、ふりがなを基本にしてさらさらっと読んでいくと普通に読めますよ。
日本語を習う中国人のための日本の週説、というコンセプトで書かれているわけだけど、これ、単なるネタだとかアイデアとかではなく、本気でそのつもりで書いたんかな、と思いました。
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