映画『遊星からの物体X』『遊星からの物体X ファーストコンタクト』
『遊星からの物体X』『遊星からの物体X ファーストコンタクト』を続けて観ました。
観たのは『遊星からの物体X ファーストコンタクト』→『遊星からの物体X』の順。公開年月とは逆だけど、作品中の時系列順にはなる。結論を言うとこの順で正解だったと思う。
『遊星からの物体X ファーストコンタクト』のラストシーンはそのまま『遊星からの物体X』に切れ目なくつながる。『遊星からの物体X ファーストコンタクト』で残された痕跡がそのまま『遊星からの物体X』に出てくる。『遊星からの物体X ファーストコンタクト』で壁に残した斧がそのまま『遊星からの物体X』に出てきたり。まるで最初からそう計画して撮った映画のようで、よくこれだけきれいにつなげたなという感想。時系列の前後が逆なのに。
作品中の時系列順に観ると、年月を経て制作されたふたつの映画がきれいにつながっているこの面白さが味わえる。
登場するコンピュータなどが『遊星からの物体X』はめちゃくちゃ古い……というのは、まあ仕方のないところですね。
作品テーマはどちらも似ていて、これ、ホラーというより、心理的な映画なんですよね(いや、ホラーだけど)。ほかの生物そっくりに複製できるエイリアン、ということで、誰がエイリアンに乗っ取られているのかわからないという互いに疑心暗鬼になっていく状況がこの映画のキモ。
気持ち悪いクリーチャーが売りなだけの映画かとずっと思っていたので、かなり印象が違いました。実際、『遊星からの物体X』のほうはエイリアンのシーンは意外と少ないですし。
ニセモノテーマということで、P・K・ディックの短篇を映画化した雰囲気もあるかもと思いましたが、この原作、ジョン・W・キャンベルなんですね。これも知らなかった。原作本、家にあるのに(読んでいない)。
また、『遊星からの物体X』は今見ても面白い映画ですが、『遊星からの物体X ファーストコンタクト』よりかなり見劣りがすることは否めず、しかし『遊星からの物体X ファーストコンタクト』は当然『遊星からの物体X』を換骨奪胎して完成した作品であるわけで、文化の継承というか、過去の作品を吸収してさらに優れた作品を作る、そうしてどんどん進歩していく、そういう文化のあり方についても少し考えたりなどしました。