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読書:『絶望死のアメリカ 資本主義がめざすべきもの』アン・ケース、アンガス・ディートン

書名:絶望死のアメリカ 資本主義がめざすべきもの
著者:アン・ケース、アンガス・ディートン
訳者:松本裕
出版社:みすず書房
発行日:2021/01
https://www.msz.co.jp/book/detail/08963/

 ちまちまちまと長いあいだ読み続けていた本。
 ずいぶん時間をかけたわりに……

 絶望死というのは、自殺、薬物中毒、アルコール中毒などによる死のことだと定義している。この死因がアメリカではどんどん増加している。それはなぜか、ということを丹念にデータを示しつつひどく回りくどく書いた本。

 死んでいるのは低学歴層であると。まずこれだけのことを本書の60%くらいが延々と語り続けている。分析データは重要だが、データばかりひたすら示されるとまるで論文か何かを読んでいるようで。

 絶望死が起きている原因は、金で動いている製薬業界・医療業界の闇。貧困層から金を集めてそれを富裕層に再分配するという資本主義が招いている現象。新興企業にしてたちまち世界の支配的な力を付けた大企業たち(つまりAmazonやら)の独占販売問題。安い労働力を武器にして他国の仕事を奪っている中国の侵攻。そして、アメリカのセイフティーネットの脆弱さ。

 そういった話が書かれているのだけど、正直、真新しい話ではなく、むしろおよそ知っていることばかりで、あまり評判ほどの本ではないなあと思ってしまいました。ノーベル経済学賞の人の本ですけど。

 それはそれとして、ここに書かれている話はアメリカのことなのだけど、そのまま日本にも通じるものなのですよね。アメリカほどはひどくないにしても。同じ道を進んでいるような感じはありますね。


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