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私的読書(劣化復活版)

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個人的読書メモ、読書記録、読書感想です。 かつて、1997~2003年あたりに、『私的読書』というタイトル付けでけっこう力を入れて読書レビューを書いていました。その劣化復活版です。
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読書:『ある女の子のための犬のお話』ダーチャ・マライーニ

書名:ある女の子のための犬のお話
著者:ダーチャ・マライーニ
訳者:望月紀子
出版社:未来社
発行日:2017/10
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624610418

 何度か迷いつつも、いや、これは読まないといかん、買わないといかん、とつぶやきつつ買った本。
 タイトル通り、女の子に語り聞かせる形式の犬の短篇集ですが、甘ったるい話ではありません。犬

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読書:『アナログ』ビートたけし

書名:アナログ
著者:ビートたけし
出版社:新潮社
発行日:2017/09
http://www.shinchosha.co.jp/book/381222/

 今まで出した本を書いたのはすべてゴーストライターで、今回初めて自分で書いた、と言っていたけれど、本当かもしれないと思いました。
 素人くさい。
 読むに耐えないほど下手というわけではないのだけど、文章表現、展開の仕方、場面転換、そういった

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読書:『ジニのパズル』崔実

書名:ジニのパズル
著者:崔実
出版社:講談社
発行日:2016/07
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062201520

 在日韓国人のジニ。中学から朝鮮学校に通うことになったのだが、朝鮮語はまったく話せない。しかし朝鮮学校では日本語は禁止されている。金日成と金正日の肖像画が正面から居丈高に見おろす教室で孤立していくジニ。
 一方

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読書:『存在感のある人』アーサー・ミラー

書名:存在感のある人 アーサー・ミラー短篇小説集
著者:アーサー・ミラー
翻訳:上岡伸雄
出版社:早川書房
発行日:2017/01
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013445/

 村上春樹が好んで訳しそうなタイプの作品集。わかりやすいということはないのだけど、一筋縄ではいかないその奥にある味わい深さ。
 つまり、とてもよかった

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読書:『影裏』沼田真佑

書名:影裏
著者:沼田真佑
出版社:文藝春秋
発行日:2017/07/28
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163907284

 ぶっとんだ書き方をしているわけでもなく、むしろ堅実な作風なのに、いろいろと理解できなくて、しつこく5回ほども繰り返し読んでしまいました。よくわからないので、こんなはずはないと思って。芥川賞で高く評価されているし。

 そ

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読書:『ポクスル・ウェスト最後の飛行』ダニエル・トーデイ

書名:ポクスル・ウェスト最後の飛行
著者:ダニエル・トーデイ
翻訳:武藤陽生
出版社:早川書房
発行日:2017/03
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013487/

 半分あたりまではどうも進展が遅く先が読めない感じだったのだけど、後半に入ると一気に面白くなりました。
 ポクスルが軍隊に入るあたりから。
 時は第二次世界大戦期

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2017年上半期読んだ本ベスト:『天使の鐘』リチャード・ハーヴェル

 2017年も上半期終了ということで、上半期に読んだ中でのベスト本について書きます。
 まあベスト本がどうとかは口実で、どうしてもこの本についてどこかに書きたかっただけなのだけど。

書名:天使の鐘
著者:リチャード・ハーヴェル
訳者:栗原百代、北沢あかね
出版社:柏書房
http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b244531.html
発行日:2016/10

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読書:『世界と僕のあいだに』タナハシ・コーツ

書名:世界と僕のあいだに
著者:タナハシ・コーツ
訳者:池田年穂
出版社:慶應義塾大学出版会
発行日:2017/02
特設サイト:http://www.keio-up.co.jp/kup/gift/coates.html

 タナハシ・コーツです。全米図書賞受賞、ピューリッツァー賞、全米批評家協会賞のファイナリスト、マッカーサー基金から天才助成金、2016年の「世界で最も影響力のある100人」。

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