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私的読書(劣化復活版)

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個人的読書メモ、読書記録、読書感想です。 かつて、1997~2003年あたりに、『私的読書』というタイトル付けでけっこう力を入れて読書レビューを書いていました。その劣化復活版です。
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2022年6月の記事一覧

読書:『ミシンと金魚』永井みみ

読書:『ミシンと金魚』永井みみ

 認知症を患っていると思われる女性のひとり語り。と読み始めてすぐわかって、これはアレかな、他人が知るよしもない老人の頭のなかを若い作者が好き勝手に妄想した小説かなと意地悪な目線で読み続けたのだけど、確かにそれはそうに違いないと思うのだが(これもまた自分が患わなくては知る由もないことだけど、認知症の人の頭のなかはもっと混沌としているような気がする)、そんな意地悪に読んでもなおこれは面白かった。

 

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読書:『塞王の楯』今村翔吾

読書:『塞王の楯』今村翔吾

書名:塞王の楯
著者:今村翔吾
出版社:集英社
発行日:2021/10
https://lp.shueisha.co.jp/tatexhoko/

 戦国時代、穴太衆と呼ばれる石工集団が活躍していたという。石を切り出し、運び、積む。城の石垣を組み上げたのが彼らだ。
 石垣はただ積み上げているだけなのになぜ崩れないのか? 何百年ものあいだ。そんな疑問をもったことはないだろうか。それを可能にしたのが穴

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