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【エッセイ】ICLやってみた【感想】
前置き
あくまでも主観の感想なので、手術を検討するときは必ず医師に相談してくださいね!
感想は主観でしかない、というつっこみはさておき、感想文として読んでほしい。
目が悪い、どのくらいかというと
私は目が悪い。
裸眼は0.01以下としかわからない。
どれほど悪いかというと、眼鏡ではこれ以上度数がないといわれ、コンタクトレンズもお店ですぐ買えるわけもなく毎回注文せねばならない度数だった。
数字でいえばマイナス16。
目が悪いという芸能人の方でさえマイナス一桁台のことがあるし、今のところ自分より目が悪い人に会ったことがない。
加えて乱視もある。
小中学生のころは、半年ごとの視力検査のたびに眼鏡を買い替える必要があった。
両目2.0なんて異次元の存在である。
それが今や朝から晩までぱっちりだ。
お風呂の汚れまですっきり見えるぜ、いえい。
最高。
今まで見えないことで色々不便だったんだなあと改めて思う今日この頃である。
さて、ICLについて書いていこうと思うが、あくまでも主観的な話ではあるし、手術なのでやたらに薦めるものでもないと思っている。
だから、ICLとはなんぞやと思ったら眼科医に相談してほしいし、もしかしたら違うことを言われるかもしれない。
そして、書いていることもフィクションを含ませるし、記憶違いで間違ったことを書いているかもしれない。
ちょっとした私の感動を共有したいだけなので、それ以上の責任はもたない。
決断は自分でしてほしい。
ICLに興味がある人向けの情報
自分の記録が参考になれば。
ただ、これはあくまでも個人および医師によっても変わると思うので、一参考程度に留めて欲しい。
・通院期間……11か月(術前検査~術後検査まで)
・手術費用……65万
(乱視がなければ60万らしい)(術後検査込み)
・手術前後の日程……
木曜:いつも通り仕事。
金曜:有給取得。午後から手術。術後は近くのホテルに宿泊。
土曜:午前通院。帰りに美容院でシャンプーしてもらう。帰宅。
日曜:安静。美容院にシャンプーしに行く。
月曜:念のため有給取得。ひきこもる。
火曜:仕事(在宅)
レーシックができないのは知っていたさ
その日は、いつものように眼科に行っていた。使い捨てコンタクトレンズの処方箋をもらうために。
その時にICLというものがあることを知った。いや、その前から知っていたのかもしれないが、この時に先生から聞いたことでぐっと身近なものだと知った。
ところで、同じように視力回復系のものとしてレーシックも認識としてあった。
しかし、私の目はどうやら角膜を削るレーシックができないらしいので、一生この目で生きていかねばならないと思っていた。
しかし、しかしだ。ICLはなんと私でもできるらしい。正しくはできるかもしれない、だけれどレーシックよりも可能性があるらしい。
無意識に諦めていたあれやこれやができるかもしれない。
生活がより豊かになるかもしれない。
高額といえども、使い捨てコンタクトレンズ(ワンデイ)を6年間毎日つけるのと同額でできる。
方々に相談しつつやろうと決め、事前検査もパスできた。
そして、手術当日を迎えた。
手術中に話し声が聞こえるのはちょっと怖い
事前検査から半年後、いよいよ手術だ。
手術の前にしたことは、ホテルの手配、美容室の予約、手術の同意書の準備など。
そして忘れちゃいけない、点眼。
資料を受け取ってから時間が経つので、手術何日前から点眼をするのか、うっかり忘れてしまいそうだった。
せめて一週間前には資料の読み直しは必要だった。
眼科に着いてからは目薬の嵐。
15分ごとに3種類くらいを点眼、点眼、点眼。
散瞳の目薬があったので、見え方もふわふわして眼鏡などかけていられない。
眼鏡をはずした状態でひたすら点眼をしつつ待つことトータル1時間以上。
いよいよである。
当たり前だが、眼鏡のない状態で控室から手術台まで歩く。
視界が覚束ない中、手術の椅子に座る。
目以外が覆われるようになにか顔に被せられる。
改造手術のようだな、なんてまだ気楽に思えた。
まずは右目。
瞬きしないように器具が取り付けられたものの、瞬きがしたくて仕方がない。
瞬きの代わりに度々水をかけられる。(おそらく水じゃない。)
消毒液もかけられる。
麻酔がされているのは眼球のみ、つまり、瞼等目の周りをこじ開けて目を開かれている感覚はあるし、医師たちの会話もしっかり聞こえている。
眼球の切り方について話しているのもばっちり聞いてしまった。
個人的には面白かったが、人によっては恐怖になり得よう。
続いて左目。
右目と変わらず消毒液を掛けられる。
しかし、少し時間が経っていたからか、眼球に異物が入る感覚がある。
痛い。
切られるよりも、押されているような痛み。
一言も発しなかった自分えらい。我慢した。
終わった。
終わって立ち上がる時にはまだよく見えず、左側に限っては視界が赤く染まって見えた。
あとから知ったが、どうやら出血していたらしい。
視力が落ち着くまで、もらった水分を取りながらぼんやり待つ。
左側の出血はすぐに止まり赤かった視界はだいぶ安定して見えるようになった。
しかし。
今度は右側がおかしい。
左側は待てば待つほどはっきり見えてきたが、右側はぼんやりしか見えない。
見えない不安。
しばらく経って術後の診察では、角膜が傷ついているからとのこと。
目薬をもらった。
視界が片方ぼやけている中、帰路についた。
痛みは残っている。
ホテルって素晴らしい!
その日は眼科の近くのホテルに泊まった。
風呂は入れないし、翌日の検査の時間が早いからだ。
この判断は正しかったといえよう、なぜなら視界が不明瞭だったから。
加えて、風呂には入れないが、体は拭きたかった。
誤算だったのは、術中にかけられた消毒液が黄色かったこと。
風呂に入れないのに、髪が洗えないのに、消毒液が顔はおろか髪にもかかっていた。
なんてこった。
ホテルの風呂場は広かったのに、そこでせっせと濡れタオルで消毒液を拭き取っていた。
術後力を入れることは避けるように言われていたので、だいぶゆっくりとタオルを絞った。少し力を入れると目が飛び出そうで怖かった。
何度もタオルを絞り、拭い、なんとか拭き取った。
その間も点眼を忘れずに行い、徐々に視力が回復するのを感じた。
そしてこの日からしばらく保護眼鏡生活が始まるのだった。
保護眼鏡といえど、単に花粉症用の眼鏡である。
目の周りは覆われ、さらにマスクからの呼気も防ぐためマスクの上部を肌に優しいテープで留めていた。
その夜は、目の保護のため、仰向けで保護眼鏡をして寝た。この体勢はしばらく続いた。
しばらく目の痛みとお友だち
手術翌日には視力はだいぶ安定し、見ることは普通にできた。
けれども、常時保護眼鏡をしていたので、顔の感覚は今までと大して変わらなかった。
目の痛みはしばらく残る。
1週間、2週間、そして1か月経つ頃には痛みはなくなっていた。
アイメイクも極力せず(今までもノーメイクで外出していたのでそのあたりは問題なかった)、常時保護眼鏡をつけ、点眼をひたすら行った。
1ヶ月検診で常時眼鏡が不要になった。
3か月検診で問題ないことが確認でき、通院不要になった。ここまでが費用分である。
ICLをした理由
ICLしてよかった、と個人的には思う。
目の悪さによる漠然としためんどくささと一生付き合っていくことはある程度覚悟していたが、一時でもそれから解放されたのならこんなに喜ばしいことはない。
手術というリスクがあったものの、それと比較しても自分にとってはメリットの方が大きかった。
いくつか挙げてみる。
費用面
だいぶ大金ではあったので、コンタクトレンズ代と比較してみた。
ICLは老眼に対応していないため、老眼が始まるまでコンタクトレンズを購入し続けた場合で試算した。
結論、ICLの方が安かった。
もしもの時
災害等で眼鏡やコンタクトが使えなくなったとき、なにも見えないのはとても困る。
予備の予備の眼鏡も残していたが、全部無事とは限らない上、予備を持ち歩いていないので眼鏡が壊れた場合、コンタクトレンズをなくした場合を考えると裸眼がやはり安全に思えた。
日々の見えないイライラ
仕事柄、パソコンをよく使う。使うのだが、眼鏡をしていても画面が見づらかった。
友だちと温泉やらにいくとき、ずっと不安だった。裸眼は見えないしコンタクトは外れる可能性があるし。
コンタクトレンズをしている場合でも、一日中付けっぱなしにしていると昼過ぎにはもう疲れていた。
そのような日々の不便を解消したかった。
手術のリスク
昨今広まっているとはいえ、手術である。
ICLを知るきっかけがかかりつけの眼科の先生から話を出されたことだが、その先生のもとで手術を行っていた。
今までの自分の目の状態を知った上で話をしてきたこと、手術経験があること、疑問を聞きやすい関係であったことからだいぶハードルは下がっていった。
そのため、手術のリスクを鑑みてもこの先生であれば大丈夫だろうと思い決断した。
上記以外にも決断の要素はあるが、大まかにはこんなものだろう。
おわりに
手術自体はもう1年以上も前のことで、今では見える生活にだいぶ慣れた。
それでも今も目が良い人は羨ましいし、簡単に手術しなくていいとも思っている。
それでも、夜道を歩いて月の模様が肉眼で見えた感動を、わたしは忘れない。