Mリーグで気になった目ナシ問題!ではなくて……レギュラーシーズンの価値軽すぎでは?
先日、Mリーグ2020全日程が終了。ABEMASとサクラナイツの一騎打ちと思われたところ、風林火山が300pt近くあった差を跳ね返して優勝するというとんでもない下剋上を成し遂げました。
最後の試合では、ドリブンズが三着浮上すら厳しい(ABEMASとトップラスの上178,400点差をつける)という、いわゆる目ナシ状態でいつも通り打ったことで賛否両論(ぱっと見賛:否=7:3)でした。が、これに関しては村上プロのやり方は何も間違ってないのではないかなあと思いました。理由は以下。
・黒子に徹してたところで下家が不利だから結局公平じゃない
・常時配牌オリみたいなことしてるといくらプロでも読みの精度が悪くなっていつも通り打てなくなりそう
→普通に打てばこのあたりのことはすべて気にする必要がなくなる
ただ現状のルールのまま目ナシ状態で打たされる人が苦しいので、目ナシだろうと和了に意味があるようなルール構成にしましょうといった提言が複数プロから挙げられているのを見ました。これに関しては大賛成。責めるなら村上プロではなくルールです。
問題提起
私が気になったのは目ナシ問題ではなく、「現状のルールだとレギュラーシーズンの順位があまりに無価値すぎないか」ということ。別に今回のようなプレーオフ形式で下位チームが勝ちあがることについては大して文句はありません。一位が勝てば盤石の戦いだし、下位が勝てば下剋上で面白いし。
ただ、セミファイナルとファイナル合わせて28半荘なのに対してレギュラーシーズンは90半荘。仮にレギュラーシーズンで圧倒的な成績を残したところで、セミファイナルで敗退したりファイナルシーズンで4位なら賞金0というのは、ちょっと報われなさすぎるかなというのが印象です。
比較のため、私がたまに見るプロ野球における話をしましょう。プロ野球は2リーグ制で、各リーグ6チームで構成されています。レギュラーシーズン143試合終了後、それぞれのリーグで代表チームを決めるプレーオフがあり(クライマックスシリーズ)、3位以上であれば参加することができます
レギュラーシーズン143試合で圧勝していようと10戦にも満たないプレーオフで負ければ、日本一を決める頂上決戦に参加することすら叶いません。しかしプロ野球の場合はそこで負けようとレギュラーシーズンの覇者は変わりません。また、2・3位がそのプレーオフを制するには、
・まず、2位と3位で3試合。2勝した方が勝ちぬけ。球場は2位のホーム球場なので、一般には2位が有利。
・その後、勝ち抜けチームと1位で6試合。4勝したほうが勝ち抜け。ただし球場は1位のホーム球場なうえ1勝のアドバンテージがあるので、1位が3勝する前に4勝しなければならない。麻雀に比べて運の要素が少ない野球で1勝差のアドバンテージが最初からついているのは、相当なハンデ。
このように、かなり厳しい条件が伴います。このルールは、他のチームより50回くらい多く勝った圧倒的一位であろうと、ほんのわずかに勝ったギリギリの一位だろうと変わりません(それはそれでどうなんだと個人的に思いますが、主題から外れるのでこれ以上は触れません)。結果、2位・3位が勝ち上がる確率はアドバンテージが追加された2008年から計算すると、6/25=24%。基本的に1位のチームがそのまま勝ち上がることがわかります。
これを受けてMリーグではどうかと考えると、賞金が決まるファイナルシーズンはともかく、それ以外(レギュラー、セミファイナル)におけるチーム順位の価値があまりに軽すぎることに気がつきます。
当然ですが、ポイント差があればチームの状況が楽になったり苦しくなったりすることはあります。今シーズンのセミファイナルとファイナルではそれぞれ1位のABEMASがセミファイナルに327.4 pts,ファイナルに268.5 ptsを持ち越して有利な展開でしたし、反対にレギュラーシーズン6位の雷電は-105.2 ptsから始まって苦しい展開のままセミファイナル敗退となりました。
しかし、このチーム状況の違いは順位の問題ではなくポイント差の問題です。極端な例ですが、これがセミファイナルの持ち越しポイントが1位が5 ptsで6位が-5 ptsの超接戦で始まった場合、この順位の差なんてないようなものです。10 pts差なんて1半荘で着順が一つ違うだけで逆転できます。
今年は大差だったから目立っていないだけで、レギュラーシーズンで7位以下を取らなければあとは1位だろうが6位だろうが大差ないなんて展開が起こりえるのはいかがなものかと。6位になることのデメリットは、単にレギュラーシーズン最終日付近にハラハラすることだけです。
また、プロ野球では優勝チームはクライマックスシリーズで負けようと優勝ですが、Mリーグの場合はレギュラーシーズンの1位なんて全然話題にされません。
私はMリーグを真面目に見始めたのが2019のファイナルシーズン以降でしたが、各シーズンの覇者(2018ドリブンズ、2019パイレーツ)は頻繁に話題に取り上げられる一方で、各レギュラーシーズン1位は全く触れられません。私もこの記事書きながら調べるまでは全く知りませんでした(2018風林火山、2019フェニックス)。各指標の個人トップは表彰するのに。
曲がりなりにもセミファイナル、ファイナルシーズンよりはるかに長く戦って得た1位なのに、あまりに蔑ろにされすぎていませんか?普通の麻雀だって着順一つ違うだけで評価がまるで変ってくるのに。なんだったらMリーグはトップが偉いルールなのに。レギュラーシーズンの1位は偉くないのですか?
解決方法を提案してみる
というわけで、どうするべきかを個人的に考えてみました。
1.レギュラーシーズンの上位チームにも賞金を与える等でしっかり評価してあげる
現状ファイナルシーズンの順位だけに価値があって、レギュラーシーズンとセミファイナルはそのファイナルシーズンでトップを目指すため、シーズン敗退しないためにポイントを稼ぐだけで順位そのものに意味はないというように見えてしまうので、レギュラーシーズンの上位チームも表彰なり賞金なり出して評価する。
2.セミファイナル、ファイナルに持ち越す点数を順位でも差がつくようにする
現状はそれぞれポイントを半分だけ持ち越せますがこれをもう少し少なく(1/5とか1/10とかに)したうえで、順位がひとつ変わるごとに40pts差がつくようポイントを加算・減算してみるのはどうでしょう。
たとえばセミファイナルシリーズに進んだ時、1位はポイントを1/5にしてから+120 pts、2位はポイントを1/5にしてから+80 pts、3位はポイントを1/5にしてから+40 pts……という具合に。こうすればレギュラー、セミファイナルの最終戦まで各チームが順位を1つでもあげるのに躍起になるので、消化試合らしい消化試合も激減するのではないでしょうか。
この提案はただの一例ですが、いずれにしても3年連続でセミファイナル4位(2018シーズンはシーズン4位)でギリギリファイナルシーズン進出したようなチームが優勝してしまった事実がある以上、テコ入れが多かれ少なかれ必要な気がします。