◇第2回「なんではたらくの?」
みなさん、こんにちは。
キャリアコンサルタントの糸井です。
今回のテーマは「なんではたらくの?」です
このテーマをご覧頂きますと、「はたらくなんて当たり前だろ!何言ってんだ!」と思われるかもしれません。
では、ちょっとだけ聞き方を変えてみましょう。
「あなたは何を求めて(目指して)はたらくの?なぜ?」
さて、どうお答えになりますでしょうか?
当社の自己分析セミナー等で就職活動をなさっている学生のみなさんにお伺いすると、多くの方が「生活のため(=お金のため)」「生きるため」とお答えになります。うーん・・・なるほど。まあそれはそれでごもっともですが、言葉だけ聞くとなんか社会人になるイメージがサバイバル感満載ですね・・・
では、例えばその「お金」という動機をベースに考えてみましょう。
「お金はあったことに越した事はありませんが、お金ってどのくらい必要で、なぜでしょう?」
この質問を先の学生のみなさんにお聴きすると、ほとんどの方がお答えに困っておられます。
別にお金を社会人人生の第一目標にする事が悪いと言っているのではありません。そういう方も世の中にはおられると思います。それはそれで良いと思っています(後述します生き様に合っていると言える場合ですが・・・)。
そこで、私はもう少し現実的な視点でお話をすることがあります。某会社が公表している企業の年収ランキングにおいて、上位企業の営業では若くして数千万円とあります。
ただ、当然ながらそれに見合う相応な人材が求められています。実際に同社の経験者採用ページを見ると、募集にはトップセールスとしての実績があるか、難関資格を取得しているかなどといった条件があったり、またインセンティブ(目標達成による報酬)による年収構成であるため、競争に勝つだけの高い能力や資質が求められることがわかります。新卒採用に関しては将来の伸びしろ(ポテンシャル)を見られるでしょうが、当然ながら同様に高い資質が求められるでしょう。
(上記のような企業に入っている人が必ずしもお金だけに動機付けされていると申しているのではありません。しかしながら、高い年収を求めるならば、求められる素養や条件、競争力とそのマインドも必然的に高くなるということです。)
こういった例を挙げてお伺いしますと、「そんなの極論でしょ」と思う方もおられます。でも、「お金が大事だ」という明確な動機がある方にとっては、必ずしも極論とは言えないのではないでしょうか。
・・・ということも学生のみなさんにお伝えしつつ、「改めてお金ですか?」と問うと、多くの方がますます
「うーん・・・」となります。ただ、この「うーん」はとっても大切です。なぜならば、その後更にお考えをお聞きしますと、本当はご自身には、はたらく動機が他にあるということを実感されているケースがほとんどだからです。
就職活動中の学生のみなさんだけではなく、転職を志す経験者のみなさんも同様で、はたらくを考えるに際して、先ずは自身の生き様とは何かを明確にするプロセスが大切であり、その上で、仕事に対する動機や意味付け、価値観などが満たされているかといった内的な要因(内的キャリア要因)を追求していく必要があります。
しかしながら、現実には仕事を探すに際して、外的な要因をベースに理想の世界を頭の中で描く方も多くおられます。良い会社、良い報酬、良い地位、良い人に囲まれる、良い環境・・・などなど。
みなさんも実感されておられると思いますが、世の中はとてつもないスピードで変化しています。更に天災やらなんやらと予期しないこともたくさん起こっています。
こういった複雑な世界において、外的な要因をベースに理想の世界(漠然としたイメージ)を描いて進もうとすることは、よくわかんないけど、とりあえず船の錨(いかり)を外しちゃえーって感じで、方向も分からず大海原を彷徨っていくようなものだと私は考えます。
従いまして、前述のように、内的な要因をベースとして真に自分に合ったキャリアを描くためには、未来を見ること以上に、これまでの自分の人生を振り返りながら、「生き様」を深く考えていくことが大切です。
あなたは何が得意ですか?(能力)
あなたは何を本当にやりたいですか?(興味関心)
あなたは何を行っている自分に意味や価値を感じられますか?(価値観)
現在に至るまでの人生において様々な経験をされてきたと思います。その中で、上記3つが各場面場面で一貫していたものはありませんでしたか?それを見出し、自身で納得すること(更に他人に説明ができるレベルまで持っていく)はキャリアを先に進めるため、言うならば自分らしさを発揮できる島に錨を下すことに繋がってくると考えています。
これらを踏まえて、本質的な「はたらく」とは、以下のようであることが必要と考えています。
・はたらく経験を通じて自分が成長できる。
・将来に向けて自分の可能性を探す。
・組織に対して最大限に自分を活かす。
隣の人と比べてどう、ではなく、自分という存在を活かすことがこれからの時代に求められていく訳です。
敢えて仕事人生に勝ち負けを付けるならば(個人的なホンネでは、人生を勝った負けたと言うのは嫌いなんですが・・・汗)、自分らしく生きている人が勝ちと私は思います。
改めてご自身に問うてみてください。どのように感じられますか?
今回は「なんではたらくの?」をテーマにお話をさせて頂きました。
はたらくのは当たり前!・・・では当たり前って自分にとって何?考えていきたいところです。
これらは就職や転職を志す人だけではなく、働いている人であれば誰であっても常に自問することが大切になってくるように私は思っています。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。不定期ながら次回もご覧頂けますと嬉しいです。