演劇
3月23日~24日に松本市の信濃ギャラリー
「ハルシオン・デイズ」の公演を行いました。
ご来場いただいた皆さん本当にありがとうございました。
今回の公演でいろんなことを学びました。
毎回チャレンジする事やコンセプトがあるんだけど、今回はダブルキャスト2人でひとつの役を作り上げる事を目標にやりました。
通常のダブルキャストはそれぞれの役者にあった演出を個々につけるんだけど、今回は同じ演出をつけるので、片方しか居ない時はその内容をLINEや電話で伝えて共有してもらう様にしました。
でも、そこが今回の1番の失敗でした。
演出の自分が役者とコミュニケーションを取るべきだったのに、それを役者同士にやらせてしまった。
だから、何を不安に思っているのか?何がうまくいってないのか?今どんな状況なのか?全く見ずに本番を迎えてしまった。
そして追い打ちをかけたのが「役者が稽古に揃わない」という事。本番月の3月に顔を1度も見た事がないと言うキャストもいました。だから細かい演出などひとつもつけてあげられなかった。
1度も通し稽古もやれなくて初めてあわせるのが本番前日のゲネ。しかも、そのタイミングでセリフが入っていない役者が2人。
本来ならこの2人をキャストから外さないといけない。でも、努力してたのを知ってるし、舞台に立たせてあげたい気持ちがそれをさせなかった。
土曜日はキャスト変更するから諦めてもらうけど、最終日は2人にあげるから絶対セリフを入れてきて欲しい!
そう告げて本番に入っていった。
1度も通しを見てない芝居をお客さんに見せるのは初めての経験でした。味見してない料理をお客さんに出す料理人と同じです。
「ありえない」
だから終演後の客出しでお客さんの顔が見れない。よかったかどうか分からないから。
でも、そんな中日曜日のマチネでは少し手応えも出てきた。拍手が鳴り止まない状態が今回初めて起きた。
これはいける!
今までいろんなピンチを乗り越えてきた自負もあったし、何とかなるって本気で思ってた。
そして、最終公演。前半は丁寧に進んでた。でも、中盤で2人のセリフが出なくなる。フォローしても悪循環。ステージから逃げ出す役者。取り残されるお客さん。本来の上演時間を20分近くオーバーしてグダグダの舞台が終わった。
「途中で止めるべきだった」
「公演をやるべきじゃなかった」
「逃げ出したい」
いろんな気持ちが溢れて正常なメンタルではいられなかった。
打ち上げで「自分からは降りる事はできなかった」って「怖かった」って言われた。なんで聞いてあげられなかったんだろ?
そして、自分も「この状態で公演打つのが不安だ」って相談すればよかった。
みんなで話せば違うジャッジが出来てたかもしれない。
今回は本当に自分が情けなかった。
でも、見てくれた芝居仲間に
「それが演劇なんだよ」
って。
本当に勉強になった。
ライブってこういう事なんだよね。
だから好きだったんじゃないの?
逃げたい気持ちもちゃんとあるじゃん。
強くないじゃん。
そういう人間が作る芝居だからいいんだって思って芝居やってるんじゃなかったっけ?
いろんな気持ちを思い出した。
最終日の最終公演を見たお客さんはもう2度と見に来てくれないかもしれない。でも、もう1度見てもらえるチャンスがあったら今度は全力のかっこ悪い芝居を届けたいと思います!それが俺達のやりたい芝居だから。