#6サックスを買うときにチェックすべき要素は?選び方のポイントと注意点を解説
はじめに
サックスは高価な楽器です。種類やメーカー、グレード、個体差など、様々な要素が影響します。自分に合った楽器を見つけるには、何を基準にどうやって選ぶのでしょうか?どんなことに注意すれば良いのでしょうか? 私自身も、音楽教室、生徒さまの楽器選定、友人の選定付き添いなど、多くの機会に楽器を吹いてきた経験があります。この記事では、その際のポイントをご紹介します。参考になれば幸いです。
感覚的な要素
サックスを買うときには、自分が納得できる楽器を選ぶことが一番大切です。そのためには、まずは感覚やセンス(直感やフィーリング)で選ぶことが大事だと思います。具体的には、音の明るさや質感、持った時の感じなど、自分の好みに合うかどうかを感じることが良いと思います。
予算と品質
予算の中で、品質のバランスを考えることが大切です。予算に合わせて、できるだけ高品質な楽器を選びます。相場よりも安すぎる楽器は、設計や音質、バランスなどに根本的な問題がある可能性が高いので、ご注意ください。
メーカーとグレード
販売されるメーカーによっては、グレード分けされているものもあります。初心者だからといって、比較的値段の安い入門モデルを買う必要はありません。サックスは、習得に時間と努力がかかる楽器です。予算の都合で、アルトサックスを選ぶ場合は、個人的には、ヤマハのYAS-280、YAS-380、YAS-480などが、基準を満たしたバランスの良い楽器だと思います。しかし、上達して2〜3年程すると、物足りなくなり、グレードアップを検討する方が多いです。楽器をずっと続ける予定ならば、中級グレード以上のモデルがお勧めです。例えば、ヤマハの62シリーズや、ヤナギサワのWOシリーズ(ライトモデル)などです。ご予算に問題がなければ、上級グレードの楽器や、セルマーなども視野に入れても良いでしょう。信頼できるメーカーの楽器を選ぶことが大切です。品質やサポートが保証されています。パーツが万一破損したり消耗しても、パーツだけ交換しやすいです。
個体差について
同じメーカーやグレードの楽器でも、個体によって音や吹き心地が異なることがあります。できるだけ多くの楽器を試奏して、自分に合ったものを見つけるのが良いと思います。
ジャンルと楽器
演奏したいジャンルについても考えましょう。楽器によっては、ジャズやクラシックに向いている楽器もあります。ヤマハの例では、875シリーズはクラシック、82Zはジャズなどです。キャノンボール社はジャズ、フュージョンに適していると思います。例えば、ジャズ界で人気のあるビンテージのセルマーマークⅥは、元々、ジャズとクラシックの両方に対応できる楽器で、現代クラシック奏者の開祖のマルセル・ミュールが開発にも携わり、ご本人も愛用していました。現代の楽器の中には、マークⅥを手本に作られているモデルもあります。ジャズ志向のモデルが、クラシックに向いていないとは限りません。ジャズやフュージョンなどをやりたい方は、マウスピースを含め、セッティングを変えると良いと思います。クラシック以外のジャンルがやりたい方にも、基礎がある程度身につくまでは、メーカー付属のマウスピースのヤマハ4C、ヤナギサワAC146、セルマーS80C⭐︎などを使うことをお勧めします。もちろん、個人の自由な部分なので、好きにしていただいて構いません。
楽器のチェックポイント
ここまでで、サックスを買うときに考慮するべき要素について説明しましたが、それだけでは十分ではありませんので、以下のようなチェックポイントも忘れずに確認しましょう。
・楽器の状態や機能に問題がないか、よく見て触って確かめましょう。新品の場合は、保護コルクの取り忘れがないか、キーの開閉や開き具合に問題がないか、出にくい音やバランスの悪い音はないか、音が正しく出るかなどに注意しましょう。このような事例は、現場にリペアのスタッフの方がいるお店では、すぐに対応してくれます。
・初めての方は吹けないと思うので、信頼できる経験者の友人や先生に付き添ってもらい、吹いてもらって聴いて判断すると良いと思います。
・より専門的な方がいれば、オーバートーンで響きの整いやバランスを確かめたり、新品の硬すぎるバネを少し柔らかくしてもらって音の具合を調整したりできると思います。各音域の出やすさやバラツキなどもチェックしてもらえると良いでしょう。
中古やビンテージの楽器の注意点
中古やビンテージの楽器を買うときには、以下のような注意点もあります。
・中古の楽器は、新品よりも安く手に入れることができますが、使用歴や経年劣化によって、状態が悪くなっている場合があります。中古の楽器を買うときには、オーバーホールや全分解などの大掛かりな修理が必要にならないかなど、よく確認しましょう。また、中古の楽器は、保証も付いていない場合が多いので、注意しましょう。
・ビンテージの楽器は魅力的ですが、実際に吹いてみると、音や吹き心地が自分の好みに合わない場合があります。ビンテージの楽器を買うときにも、リラッカー品や修理品(事故物件)などの加工されたものではないかなど、よく確認しましょう。また、ビンテージの楽器は、定期点検やメンテナンスが現代の楽器より多くなる場合があります。
まとめ
サックスを買うときには、さまざまな要素を考慮する必要があります。しかし、最終的には、自分が吹いてみて、気に入った楽器を選ぶことが一番です。自分に合った楽器を見つけて、サックスの楽しさを味わってください。
サックスを買うときには、通販ではなく、実店舗で実際に吹いた方が良いです。通販では、楽器の状態や音が分かりにくいだけでなく、返品や交換が難しいケースもあります。一方、実店舗では、自分の目と耳で楽器を確かめることができます。また、専門家に選定してもらい付き添ってもらうこともおすすめです。専門家は、自分のレベルや目的に合った楽器を提案してくれたり、楽器の特徴や注意点を教えてくれたりします。その意見やアドバイスを参考にしながら、自分の判断で楽器を選ぶことができます。
最後に私の体験談
体験レッスンなどで自前の楽器を持って来られる方で、稀に出会うことがあるのですが、「この楽器で大丈夫でしょうか?」と不安そうに聞かれる方もいます。しかし、時として、その楽器が演奏に向いていないことが判明することがあります。どんなに調整しても音が合わない、リードやマウスピースを交換しても改善しないという場合は、残念ながら、楽器自体に設計上の欠陥がある可能性が高いのです。特に、安価で無名のメーカーの楽器には、このような問題が多く見られます。反対に、何十年も前のヤマハやヤナギサワの古いモデルの楽器をお持ちの方もいらっしゃいますが、オーバーホールをすれば(費用はかかりますが)、驚くほど性能が向上することがあります。場合によっては、現行モデルよりも吹きやすくなることもあります。そのような楽器をお持ちの方は、専門家の意見を聞くのも一つの方法です。 私自身も、欲しかったけれど手に入れられなかった楽器に出会った経験があります。 昔、友人のサックス購入に同行してニューヨークに行ったことがあります。色々な楽器店を回った後、街のはずれに住む、ビンテージサックスやマウスピースのコレクターであるボブ・アッカーマンの家を訪ねました。彼のコレクションの中で、私が吹かせてもらったコーンの6Mのサックスは、とても素晴らしい楽器でした。しかし、その日は友人の付き添いだったので、持ち合わせはなかったので仕方なくあきらめたのですが、今でもその楽器が忘れられません。 どんな楽器でも、完璧なものはありません。楽器のクセを理解しながら、根気よく練習して向かい合えば良い相棒になってくれると思います。 楽器は、使い込むことで、1年〜2年ほどで 自分の息に合わせてくれるようになります。納得のいく楽器を見つけたら、長く大切に使ってください。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。