#2 サックスはどんな楽器?
楽器について
サックスは、木管楽器に属す管楽器です。
音色は人の歌う声のようであり、トランペットのようなきらびやかさやダイナミクスレンジの広さと、クラリネットのような温かさを持ち合わせており、セッティングや自分のイメージ次第でさまざまな音が出せます。
管楽器の中では歴史が新しく、1840年代頃にベルギーのアドルフ・サックスさんによって作られました。
名称は、サクソフォンや、サキソフォンとも呼ばれます。発音方法は、マウスピースに取り付けたリード(葦のヘラのような物)をサックス本体に取り付け、息を吹き込み振動させて音にします。
その音を出す発音方法から管体は金属製ですが、木管楽器に部類されます。フィンガリングはリコーダーに近い単音楽器で、倍音の性質を巧みに利用した設計です。運指を覚えれば比較的容易に上達しやすいです。 (アコースティックな楽器は口や手、身体全体を使って音を出すので、人によって体型や筋力、声が違うように、音色にもその人の個性が現れやすいです。)
・サックスは600個程のパーツ(金属、フェルト、コルク、皮)からなる精巧な楽器ですので、時間が経つとパーツが劣化したりずれたりすることがあります。そのため定期的にリペアの専門家に点検や調整を依頼することが大切です。
・サックスは約25個の穴(トーンホール)を開け閉めすることで音程を変えます。トーンホールはタンポ(パッド)で覆われており、キイを押すとタンポが開きます。(ただし、音程だけでなく音質や音量も変わります)上達するためには、舌の位置やアンブシュア(口元)の微調整、息の流れなどもコントロールする必要があります。
サックスにはどんな種類がある?
・サックスは音域や形状によって約9種類に分けられますが、一般的に使われるのは4種類です。
・高音から低音まで順にソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスと呼ばれます。
・どの種類のサックスでも基本的な指使い(フィンガリング)は同じです。
上記4種類以外にも、ソプラニーノサックスやバスサックスなど高音域や低音域のサックスも存在しますが、あまり一般的ではありません。
バイオリンと違って、サックスは子供用や大人用という区別はありません。ただし楽器を持つ姿勢や指の長さなどによって合う合わないはあります。私が教えている生徒さんでは、早い方では、小学生3〜4年生(9〜10才)くらいから始めています。楽器を自然に持てて、キーに指が届く(特に小指)ことが演奏の条件です。
クラリネットとの比較と構造的な音色の特色
クラリネットとソプラノサックスは、見た目や吹き方が似ていますが、実際には様々な違いがあります。 まず共通する点としては、マウスピースにリードを取り付けて息を吹き込み、リードを振動させて音を出すという発音方法です。 次に違う点としては、管体の形状や材質です。クラリネットは木製や樹脂製で円筒形(えんとうけい)の管体をしており、トーンホール(音孔)も筒状に並んでいます。一方ソプラノサックスは金属製で円錐形(えんすいけい)の管体をしており、トーンホール(音孔)もテーパーに沿って配置されています。この違いがサックスの明るく鋭い音色とクラリネットの柔らかく温かみのある音色を生み出しています。
※アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスは、ネック部分や低音部分が曲がっていますが、基本的な構造はソプラノサックスと同じです。
サックスのレンジ(音域の幅)と、記譜音と実音(実際の音)
サックスは音域が広く、種類やモデルによっても異なります。一般的には約2オクターブ半の音が出せますが、低音や高音のキーが付いているものもあります。また、特殊な指使いでさらに高い音を出すこともできます。
サックス用の楽譜はト音記号で書かれていますが、実際に出る音は移調されています。例えば左手中指だけでドと吹くとき、アルトサックスやバリトンサックスではピアノでいうミb(Eb)の音が出ます。ソプラノサックスやテナーサックスではピアノでいうシb(Bb)の音が出ます。