
50年続くジュエリー 工房を継ぐナカツギ物語⑤数字を見る
2024年8月22日
2週間ぶりに甲府へ。
今回は、社員さんたちと数字の話をする。
数字を見ることなくやってきた何十年の蓄積は数字アレルギーというよも、慣れてないだけだと思う。
そもそも会社の風土としてお金の話をするのは「タブー」とされてきたらしいし、父も見ないフリしてきたのだろうか?というぐらいに全体の数字の流れがわからない仕組みになっている(というか仕組みがない、、、)
でも、現実を正確に把握するために数字は大事。
数字には人の営みが現れる
行動した結果としての数字が見える。
人の行動が変われば数字は変わる
どのくらいの数字が必要なのか
そのためには、もともとどのくらいの体力があるのか
1995年からのおよそ30年分をザックリ見ると、時代の変化とともにうねる数字と、よくまぁ、こんなに赤字を続けてきて潰れなかったなぁ、、、と驚くというか感心する。
バブルの頃は、今の3倍ぐらいの数字があった。
よかった時代を知っていると、現実のギャップはしんどい。
本職では売り上げを上げられないから新規の事業へと慣れないことをやろうとして失敗する。
経営者がブレて見ないようにするとどんどん赤字の垂れ流しになっていく
数字を見ながら、それぞれの時代に思いを馳せる
私は何歳で何をしていた頃なのか
父は何歳だったのか
私はその頃は父と喧嘩して絶縁みたいになってた。
社員さんたちをモノみたいに扱うのが嫌だった。
「そっちに行ったらダメだ」といくら言っても聞かなかった。
上から物を言って、人の意見は絶対聞かないところが本当に嫌いだった。
30年の売り上げの推移と利益の推移を見て、上げ幅と下げ幅の振れ幅の数字の感覚や流れを見る。
当たり前だけど、売り上げより使っているお金が多ければ赤字になる。なんで粗利より経費の方が大きいんだ?
そして、なぜそれを改善出来ずに来たんだ???
どこに原因があるのか、結果が出てるからには必ず要因があるはずだなぁ、、、と眺める。
ガクン、と下がり出したのは、リーマンショックとか信頼していた社員が取引先を持ったまま辞めていった時なのかなとか想像しながら見る。
でも、そういう組織をいっぱい見てきた。
いろんなことを経験させていただいた、、、、M &Aで混乱した組織、立ち上げで誰に聞いても何したらいいかわからないとか、社会問題になるぐらいにいろんなことが起こった時にマネジメントしてきた経験は、メンタルを強くしてきたんだな、と思う。
17年ぶりに達成した、とか全国1位になったとか、人もモノもそのままで回復する奇跡のチームも見てきた。
冷静に事実を見る。
社員さんたちに、赤裸々にその30年間の数字の流れを見てもらう。
なぜ、赤字になっていたのか
怖がらずに、しっかりと見ること
モンスターがいるわけじゃないんだよ、と
ちゃんと共有したら、全然怖くないし、みんなでやっていくんだから事実を知ってもらいたい
そして、昨年からの黒字化は何が影響しているのかもしっかり見てもらう
うちの仕事は製造業だから、個数✖️工賃でしかなくて、だとしたら顧客へ値上げをお願いすることが一つの提案だった。
でも、ただ値上げをお願いするのではなくブランディングのお手伝いやHPにどういう価値を伝えていったらいいのかまでも提案して、顧客との関係性を築き直してきたこと
その結果、個数が増えて単価が上がったり、リピートや新商品開発で伸びたこと
これからも薄利多売でやっていくわけじゃなくて、きちんと価値を伝えていきたい
だからこそ、各々の繋がりや何をやっているのか、なんの目的でやっていることなのかをみんなが共有しておく事は大事
ばくさんから教わった「見えない資産経営」について話す。
お金を生み出すことは大事なことで、
それは顧客からの支持だよね、と
顧客にいいモノを届けるから、
顧客はお金を払ってくれるわけで、
その顧客へモノをつくって届けてるのは、
みんなだよね、と
そのみんながイキイキ働くためには、チームとして会社としての組織の力が大事になるよね、と
今やってることは、何を増やそうとしているのか、活動の意味は何なのか、目的は何か
今すぐに結果が出るものじゃないかもしれないけど、その可能性のために点を打ってる
そして、その点がつながっていって大きく面になって「ああ、こういうことだったのか」となる日がきっと来るから、と
機械で正確に同じものがつくれる時代に、わざわざ手で仕上げることは、なめらかさや優しさや柔らかさや目には見えないものがそこに宿るわけで。
人間はそれがわからないほど、馬鹿じゃない。
だから、それをつくる人たちは楽じゃないけど楽しんで面白がって仕事してほしいし、しあわせを真ん中に置いてほしいな、と思う
新しいことをする時にすぐにうまくいくことはない
だから、失敗を恐れるんじゃなくて、やってみる文化をつくりたい
そんなことを話す
従来の風土では「職人は手を動かしてなんぼ」だから、仕事の手離れを恐れる
また、ミスをしてはいけないということが染み付いている
完璧を求めることとクオリティを高めることは違う
ガイドラインとか、共有するものが必要だなぁ
お金と時間が課題
もう一つの時間というものに対しては、「もう何を減らしていいのかわからないんです」という声が出てきたので、来月は一緒に棚卸しをしましょう、と話す
やさしさや善意で真面目に向き合ってるから、ひとつひとつの仕事の手が抜けなくて、残業が常態化する
ちりもつもって自分たちの首を絞めることになる
制約条件は知恵になるはず、と思うから、来月のテーマは「時間」にすることにした
来月から、みんなの未来に向かって経験学習サイクルが回っていくように振り返りをしていくことになった。
みんなの知恵を集めたら強くなれる