いなせな祖母とわたしの服について
2020.8.15 終戦記念日
小学生のとき、祖父母などに戦争体験をきいてくるという宿題がでた。
紙とえんぴつもって、近所に住む祖母に話を聞きにいった。
祖母は戦争のことを話したがらず、あの手この手できいてみたけれど、宿題がなかなか進まなくって、泣きそうになったことを覚えている。
学校では戦争体験をたくさん聞いているのに、なぜ何も話してくれないんだろう…わたしにはわからなかった。
20歳ぐらいのときに、ミリタリー風のジャンパーを着て、祖母の元を訪ねたとき、「おばあちゃん、その服、戦争思い出すからいややわぁ」と言うので、慌てて脱いだけれど、帰り際まで何度も何度も言った。
いつもニコニコしている祖母が小学生の宿題のときと同じで、わたしをみていながらもその奥の何かを見ている顔をしていた。
わたしはそのときから、お洋服もおしゃれも大好きな、いなせな祖母のために、きれいな色の服を着るようになった。
ミリタリーものはかっこよくても絶対買えない。(知らなくて買って、あとから知ってしまったものも一つだけあるが、おばあちゃんごめんなさいと思って大切に使っています)
痴呆症になってしまった祖母はわたしを認識していないらしいが、必ず「その服、ええ色やなぁ」と何度も何度もほめてくれる。
結局、わたしには祖母がどんな思いで生き抜いてきたのかを知る術はないのだけれど、これからも大好きな祖母が喜ぶ笑顔をみたい。
派手な服をきていると、揶揄されることもあるけれど、堂々と華やかな服を着れるのは平和であり、幸福で、誰かを喜ばせることがちょっぴりでもできるかもしれないなぁと思っている。