黄金の破片
猫ちゃんへ。
月日が過ぎるのは早いもので、とうとう半年が経ってしまいました。
今朝は夢に出てきてくれてありがとうございました。
久しぶりにあなたの毛皮に触れることができて、とても幸せです。
毎日あなたのために祈ってきましたが、最近は同じことばかり願うようになってきました。
あなたが快適な場所にいて、美味しいものを食べ、誰か優しい人の膝の上にいてブラッシングをしてもらって、夜はぐっすりと眠っていますように。それから毎日ひとつ胸を踊らせるような出来事が必ずありますように。
細部は違っても、大体こんなことをお祈りしています。
私は天国や地獄だとか、宗教というものをよく知りません。なので、あなたが今こうだったらいいなと、お線香を立てて毎日手を合わせて願っています。そういうささやかな祈りに救われているのは、きっと私の方なのだと思います。
お線香の煙をぼんやり見つめながら、あなたの美しい毛皮が夕日を浴びて金色に光るところを思い出しては幸福な気持ちに浸っています。何せ、あなたはたくさんの幸福を私に遺していってくれましたので。
話は変わりますが、季節の変わり目ですので冬物を出し始めました。
冬物と一緒に出てくるあなたの毛という毛!思わず笑ってしまうほどでした。
今はもうずいぶん掃除をしてしまったのですが、時々ふっとあなたの毛が一本何かの拍子に落ちてきます。それを指で転がしながら、あなたの黄金の被毛を思い出すのが最近の小さな幸福です。
あなたの体を少し残していってくれて本当にありがとう。
何かにつけて、あなたの形を思い出しては悲しみと愛しさの混ざった感情を抱いています。あなたほどの猫を誰が忘れるでしょうか。
どうぞ今日も明日もこれからずっと、ありったけの幸せを浴びてお過ごしください。あなたの幸せを一番に祈るかいぬし、ミツビシより。