見出し画像

イヤリングひとつ60円の世界に行ってきた

駄菓子屋でおもちゃのアクセサリーが売られていたのを覚えている。
あれはひとつ60円ぐらいで買える小さな夢だった。
プラスチックのチープな輝きは、子供の心を捉えて離さなかった。

それは遠い夢、懐かしい思い出と共に消失するものだと思っていた。

だが今現在、イヤリングやピアスがひとつ60円で買えたなら、あなたはどうするだろうか。

世界の闇市、AliExpress

AliExpressというサイトがある。中国最大手のアリババグループが展開する通販サイトのひとつだ。デジタルガジェット、工芸品からファッションブランドのコピー品、全てが並ぶ玉石混淆のカオスなマーケットだ。
そこではイヤリングやピアス、ネックレスといったものが駄菓子屋価格で売られていると聞いて、さっそく飛び込んでみた。
結論からいうと、イヤリング20個で3000円前後(150円/個)、配送は1週間〜1ヶ月前後だった。

AliExpressを利用する際に、わたしが気をつけたこと
・ブランド物は偽物なので買わない(ただし複数のブランドを魔合させたキメラバッグは近所のお散歩用に買っても良い)
・化粧品は買わない(偽物だった場合成分がとんでもない可能性がある)
・洋服は買わない(表記されているサイズと届く実物が異なることがある)
・支払い方法はすぐ止められる物を選ぶ(万が一に備えるため)
・トラブルが起きても泣かない程度の金額にする
・不良品が届いても泣かない(安いので)

まずはアプリをDLする

AliExpressのweb版は本当に心からやめてほしい。辛くなるほど使いにくい。アプリの方が操作性がいいのでそちらを使って欲しい。アプリクーポンも発行されるのでお得だ。

「イヤリング」は基本的にイヤリングじゃない!!

AliExpressで「イヤリング」と検索すると、基本的にピアスが出てくる。今回はイヤリングを買いたかったので「Ear clip」で検索をした。もちろん日本語で検索をしてもいい。

画像1

まれに正気ではないボリュームのイヤリングも存在するので、サイズをよく見てから注文して欲しい。何かの儀式に使うのか?というサイズのものが本当に存在する。それはそれで楽しいが、今はその時ではない。

レビューと販売数が少ないものは避けよう

AliExpressは、商品がいくつ売れたかがわかるようになっている。なので、販売数が多いものはある程度信用ができる。逆に、販売数もレビューも少ないものは避けた方がいい。

画像2

送料に気をつける

商品ごとに送料が足される商品と、送料無料の商品がある。送料は微々たる金額のことが多いが、塵も積もれば山になるので気をつけて見ていきたい。
中には高額送料で利益を得ようとする悪質ショップもあるので、本当に気をつけて。

商品はなかなか届かない、それが当然

我々は日本郵政にめちゃくちゃ甘やかされていることを自覚すべきだと思った。彼らは優秀で有能で高速だ。郵便を出したら数日で届く。
一方、中国のエアメールは、荷物をヤギの背にくくりつけて運ばせてんのか?と疑うほど遅い。かと思えば、瞬間移動をしたとしか思えない速さで来ることもある。全ては運だと思ってほしい。

「AliExpressで買い物をしたら、一回注文したことを忘れましょう」
某Youtuberの名言である。そのぐらい届かない。当然である、送料を極限まで削るため、原産国各国の一番安いエアメールで来るのだ。
郵便事故かも?と不安になるかもしれない。安心してほしい、アプリで現在の配送ステータスが見られる。国内に荷物が到着した時はプッシュ通知も来る。

届いたら受取確認ボタンを押そう

安いものには何かしらあるだろう。壊れていたり、不良品だったり、何かが欠けていたりするだろう。わたしは万が一に備えてラジオペンチと接着剤を用意していた。自力で直す気であった。

そんなことも忘れたある日、郵便受けに白くて四角い包みが入っていた。海外からのエアメールである。そう、その「瞬間」がやってきたのだ。

画像3

キャッキャッ!いっぱい届いた!いっぱい届いたねえ!
耳がいくつあっても足りないねえ!

注文した20個中、不良品は1つだけ。簡単に直せるものだった。これにはラジオペンチも少し寂しそうな背中を見せた。

届いたらそれでおしまい、というわけではない。
アプリを開いて、マイページから受取確認ボタンを押そう。これで注文は完了だ。なお、レビューを書くとポイントがもらえる。予めニックネームの設定をしておくと良いだろう。

さいごに

ネットショッピングのトラブルはいつ、どこでも、誰にでも起こり得る。
ただし、AliExpressはトラブルが起こる可能性が非常に高い場所だということは覚えていてほしい。そのかわり、うまく付き合えれば安価でそれなりのものが手に入る場所なのは事実だ。

おもちゃの指輪はもう指にはめられなくなってしまった。
駄菓子屋で見た夢は、本当の夢になってしまったけれど、大人になってから夢の続きを見ることになるとは思わなかった。
素晴らしく美しい商品写真に騙されてほしい。海を渡ってやってきた荷物の旅路に思いを馳せてほしい。届くのはキラキラしたガラスやプラスチックだ。わかっている、わかっていても、そこにはロマンがあるのだ。

大人になってから見るチープな夢は、結構楽しいものだった。
今日もおもちゃのイヤリングを身につけて鏡を見た。
いつかの「ごっこ遊び」が、そこにある気がした。

いいなと思ったら応援しよう!