去年は『カメ止め』今年は『新聞記者』 byみつばち1号
映画『新聞記者』観ました。鑑賞後一週間を過ぎても、胸を熱くさせるので、ここに書こうと思います。
もっと好きな映画はいろいろあるんです。ですがこれはなにか、別フォルダに保存された一本のようです。
みつばち社・えいが部活動、わたしは足繁く映画館に通っています。6月は16本観ました。そのうちの1本が、『新聞記者』です。
異論のある人もいるでしょうが、観終えたとき、これは今年の『カメラを止めるな!』だと思いました。
言うまでもなく、まったく異なる二作です。が、つくり手の熱、超えてきた壁の高さ、あとゲリラ性?とでも言えばいいでしょうか、共通していると思ったのです。
『新聞記者』に寄せて俳優の古舘寛治さんが、「こんな日本映画観た事ない!」とコメントされています。どちらも、いろんな意味でそうだと思います。
もっと好きな映画はいろいろあるんです。だけどわたしは、別フォルダにしっかりと保存されたこの二本を、忘れることはないでしょう。
わずか300万円の予算でつくられたインディペンダント映画の快進撃、『カメ止め』のミラクルは実に痛快でした。あれほどヒットさせると企画段階で豪語したとして、まず100%「無理でしょう」と笑われる案件でした。
一方の『新聞記者』。わたしは業界通でもなんでもありませんが、この作品を成したあれもこれもまた、「無理でしょう」と苦笑されたに違いないと思うのです。とりわけいまの日本で、つくるの無理でしょう、よしんばつくったとしても、上映無理でしょう、まぁ、単館ですねと。
実際、エグゼクティブプロデューサーの河村光庸さんが、インタビューでこう語っています。「スタッフ集めが難しかったですね。『テレビ業界で干されるかもしれない』と断ってきた制作プロダクションが何社もありましたし、『エンドロールに名前を載せないでほしい』という声もいくつか上がりました。映画館や出資者など協力してくれた人たちは口には出しませんが、いろいろと風当たりがあったと思います。」(日刊ゲンダイDIGITAL 2019/06/29)
いやぁ、そうでしょう、と思いました。
資金調達から制作、配給のプロセスに、どれだけのエネルギーが必要だったかを想像すると、胸が熱くなります。松坂桃李がこの話を受けたとき、制作陣がどれほど喜んだかを、勝手に想像するだけで、じーんときてしまう(彼の出演は間違いなく、この作品のメジャー感を押し上げ、届く範囲を大きく大きくひろげたはずだ)。
「無理でしょう」を越えてきたみなさんの映画人としての矜持には、尊敬しかありません。これは作品の内容にも通ずるものですが、大組織や権力がその力で可能にすることを知るほどに、個がいかに無力か、個人の思いなどなにになるのかと感じてしまう。寄る辺のなさ、抗うことへの恐怖。では諦めるのか。諦めなかった人たちが光を見せてくれた。
劇中、「(それであなたは)自分を納得させられるんですか?」といったやりとりがある。根源的な問いだと思います。何者でもないわたしたちであっても、これをいまいちど、胸に刻んでやっていこう。
みつばち社は、自らを実験台に、“働く”のとらえ直しを実践しています。
・しごと部(部費を稼ぎ、お金を回す経済活動)を中心に、以下の、ひととしてありふれた活動を、本業の一部に据えています。
・ぶんか部(文化にふれ、味わう活動)
・ものづくり部(手作り、手仕事する活動)
・えいが部(映画館で映画を観る活動)
・てがみ部(手紙文化を広げる活動)
・うんどう部(健康でいるための活動)
それぞれが、大なり小なり相互にリンクする活動でもあります。もちろんすべて会社公認、オフィシャル部活動ですが、すべて不定期、自由参加(といっても、みつばち社はもとよりふたりのユニットです)。自分たちが豊かになっていくことで、強い会社であれるよう、これからもチャレンジしていきます。
●みつばち社公式サイト
http://mitsubachisha.com/index.html
●えいが部ツイッター(こっそりつけてた鑑賞記録です)
https://twitter.com/38eigabu