鶏が星になるとき
1番長く一緒に暮らした雌鳥さんが星になった。
廃鶏としてやってきた最初のグループの中で、1番ボサボサで小柄で落ち着きがなく、人間の持ってきたご飯にジャンプしてくる子。あまりに落ち着きがなく、他の雌鳥に突かれながらも生き抜く力は抜群だった。
卵から孵したゴマちゃんのお母さん候補だったので、名前は「ゴマチのお母さん」。
その最初のグループの中で最後まで生き残っていたうえに、卵も生み続けてくれていて、生んだあとも卵の上に座り込んでいるのは彼女だけだった。
獅子座満月の2024年1月26日午後15時15分頃、
雌鶏のすごい叫び声と、ゴマちゃんの雄叫びで、
【絶対やばい!】と、駆けつけたら、
先に駆けつけた旦那さんが、「ハヤブサに襲われた」と。
お茶の木の下に避難していた鶏を抱きかかえてきた。
ゴマチのお母さんだった。
恐怖で目を見開いていて、お腹に傷があったけど、養生させたら生き延びれそうだったので急いでホメオパシーと、よもぎ、枇杷の葉を取りに。
その間旦那さんは彼女に寄り添っていて、私が戻ると、彼女を仲間に会わせていた。
ほんの数分の間に、彼女の命が死への大いなる流れの中に居て、すでにそれに身を委ねていた。二人でありがとう、よく頑張ったね、偉かったね、本当にありがとうね、と撫でていると、
自力でバタバタと羽ばたき、コトンと首の力が抜け、体から魂が抜けていきました。自分で飛び立ったんだな。。。
なんか、ものすごく強烈だった。
あまりに急すぎたけど、ゴマチのお母さんらしい生き様だったなとも思う。
トンビや鷹はよくみかけるけど、ハヤブサに狙われるのもなかなかだし、
襲われても数分生き延び、仲間に挨拶出来て人間の腕の中で息絶えるって彼女自身の意思の強さも感じる。
大きな声で叫ぶこと、ゴマちゃんがそれに反応して人間に危険を知らせたこと、人間がすぐに駆けつけたこと、それら全てがハヤブサの一瞬の隙を作ったんじゃないかとも思う。
うちに来てからは鶏舎だけでなく、広い敷地内を自由に動き回れて土も掘り放題、砂浴びし放題、健康で逞しくほんと伸び伸び生きれた1年1か月だったんじゃないかな。
この1年で何羽かを看取り、何羽かを山の生き物に連れていかれたのだけど、それぞれの個性らしい最期だった。
ゴマチのお母さんの恐怖の声にショック状態だった雌鶏たちにも、大丈夫だよと声をかけていると、一番賢い雌鶏がそばにぴったりくっついてきた。胸を撫でながら話しかけていたのだけど、私の顔を見上げた目がまさに般若心経。。。
死は必然。
良いも悪いもない。
ただ、そのときがきたということ。
畑から大根を抜くのも同じ。
ゴマチのお母さんを狙ったハヤブサは巣に帰ればお腹を空かせた雛がいたかもしれない。決死の覚悟だったのだろうともおもう。
夕暮れ、ずっと一緒に居た雄鶏のサンは、肉体が帰ってこないゴマチのお母さんへ追悼の哀愁に満ちたコケコッコーを何度か唱えた。ゴマちゃんも呼応し、雄鶏2羽の死を悼む声が響く。雄鶏はこんなに鳴き分けられるのかと、一緒に暮らしてみて初めて知った。
きっと、まだ彷徨っている魂はその声を聞いて安心していると思う。
サンは翌朝も早くからやっぱり彼女を呼んで鳴いていた。
考えても仕方ないのだけど、
だいぶ強烈な出来事だったのでその日の夜は二人で号泣し、
数日脳が痺れていた。。。
涙を流すことでこれもまた命への供養であったり浄化だし、
何度となく状況を想像してしまったり、
まさに、人間っぽい脳の使い方をしているけれど、
鶏って本当に崇高な生き物なので、
書き留めておきたくて記事にしました。
ゴマチのお母さん、うちに来てくれてありがとう。
いっぱい卵生んでくれてありがとう。
いっぱい走って掘ってジャンプして沢山食べて、
うちに来て一番長生きしてくれてありがとう。
選ばれし雌鶏だね。
鶏界のピンピンコロリの殿堂入りです!
生まれ変わっても、そのままの性格で我が道突き進んで
最初からもっと幸せに生きるんだよ💖
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