「ジュラ紀の幻」
化石の中に残っていたDNAから生身の恐竜が生まれ、そして大地を闊歩する「ジュラシックパーク」の映像には皆が魅かれたことだろう。スピルバーグの映画作りが見事にはまった作品だった。
ずっと前、確かテレビの特集で見たのだと思う。恐竜の目がだんだんと中心に寄ってくる化石が発見され、もし隕石落下による絶滅がなければ、ひょっとしたら地球の生物の進化の歴史が変わり、今は恐竜人間とでも呼ばれる生き物が地球を支配しているかもしれないと。
目が中心に寄ってくることで、頭部の体積が増え、ひいては脳の体積の増加につながるというのだ。思わず、恐竜人間の姿を想像してしまった。
そんなことを色々考えていたところ、先日NHKの恐竜に関しての番組があり、とても興味深く見た。
ジュラ紀、今の地球とは違う大陸の構成にあり、オーストラリア、南極もつながっており、隕石落下後も、地球規模で自然環境が急激に変化した訳ではなく、生き物は次々と南下し、まだ緑の大地だった南極へ避難したというのだ。もちろん、恐竜も含めて。
隕石が地球に衝突する。かなりの衝撃だったことだろう。そしてものすごい規模で塵が舞い上がりやがては地球を包み、数か月か半年後には日の光が届かなくなる。
そして緑が残っていた南極もしだいに冬の足音が聞こえるようになる。でも、枯れた木の枝も、地中の根もある。そして恐竜は大型だからこそ長らくその体温を維持もできたという。
次の世代への架け渡しもある。地上は寒くても、地熱を利用して、卵を温めた可能性もあるというのだ。
今の技術を駆使した恐竜たちの映像を見ていると、まるでタイムマシンで当時に行ったような錯覚に捉われる。当時の陸の王者だった恐竜たち。
が、やはり疑問は残る。もし、南極へ渡り、長い冬をなんとかやり過ごした彼らは何故結局のところ絶滅の道を辿ることになったのだろう。もちろん、恐竜の一部は、今は鳥となってその遺伝子を受け継いではいるにせよ。
博物館へ行くと、巨大な恐竜の骨の標本がでんと構えている。想像で肉をつけ、色をつけ、当時の生きていたそのものを想像してみる。鳴き声が聞こえる。振動を響かせる足音が聞こえる。なぜお前たちは滅んだのだ、と聞いてももちろん答えてはくれない。NHKの番組でも、隕石の衝突で影響を受けたにも関わらず、南極で生き延びた彼らが何故滅びの道を辿ったのか、その原因はいまだに不明だと説明していた。
もし彼らが生き延びて今は地球を闊歩しているのが恐竜人間だとの説を信じて、頭の中で想像してみる。私は、人間でなく恐竜人間だ。どんな相手に恋をし、どんな相手と結ばれ、どんな子供に未来を託し、そして死んでいくのだろうかと。
もし当時の体の大きさを保っているなら、今の地球の人口ほどの数がいたなら、もう地球そのものの環境はもたないだろう。それでも、SF映画にあったように体を小さくさせるような何かしらの技術でも発明しているだろうか。
そんなこんなで、ジュラ紀についての想像は次から次へと湧いてきて、尽きることがないのだ。