
『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ 決定版』は、いつ発売されるのか?
これまで拙ブログ tangodelog の提供場所として2019年2月からココログフリーを使用してきたが、やたら広告が多くて見づらいなど、自分としての不満や申し訳なさもあり、今回からはnoteを活用して記事などをアップしていくこととする。また、過去記事も整理した上で、必要なものはnoteに移していければと考えている。
http://tangodelic2.cocolog-nifty.com/tangodelog/
ブログの更新も実質的に1年半近く止まったままだったが、そこでも2022年7月4日(没後30周年の日)に告知していたように(Facebookや旧Twitterでは生誕101周年の3月11日に告知済)、1998年4月に上梓し第3版までを重ねた拙著『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』を同じ青土社から改訂版としてリニューアルすることになり、その作業に忙殺されているのがその大きな理由である。
その新しい『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ 完全版』、当初は年内(2022年)の完成を目指していたものの、とんでもない計算違いだった。作業は膨大極まりなく、まったく終わりが見えないばかりか、最終的に3年近くがかかることになってしまった。ひとまず入稿を終えた今年(2024年)7月下旬の担当者との打ち合わせでは、なんとか年内に発売できそうとの目論見だったが、それもきびしくなり、現状の見通しでは出来上がるのは2025年の2月頃かな、という感じである。
入稿後も新たな事実が判明したり、それによって書き換えや書き足しが必要な個所が出てきたりしていて、なるべく行数が変わらないよう工夫しながらの作業が続いている。本文(膨大な注釈を含む)の初校ゲラの校正は10月17日に終了し、再校の出来上がり待ち(それも予定より半月遅れている)、3週間ほど前に受け取った巻末資料の初校ゲラの校正が終わるまであと少し、というのが現在の状況である。
とにかく分量が半端ではない。本文が初版では554ページ(目次や扉を含む)だったものが、新版では896ページ(目次などは含まない)まで増えた。ジャケ写やSpotifyなどへのリンクとなるQRコードを含む横組みの巻末資料は、Wordでレイアウトしたものを渡して、それをもとに組み直してもらっているのだが、これに予想以上に大変な作業だったようで、初校ゲラの仕上がりが予定よりもかなり遅れる結果となった。その巻末資料も、人名索引まで含めると300ページ近くになる。つまり全体で1,200ページにもなるわけで、最終的に決定はしていないが、上巻・下巻の2冊分冊での発売になる見込みである。分厚い1冊にまとめるか、2冊に分けるか、どちらが使いやすいかFacebookで問いかけてみたところ、分冊支持の声が圧倒的だった。それは確かにそうだろう。また、時期は未定だが電子書籍の形でもリリースする予定もある(価格は書籍と同じに設定される)。
第1章「ニューヨークの少年」から第9章「タンゴ:ゼロ・アワー」まで、章立ては初版と変わらないが、第8章「バンドネオン協奏曲」と第9章が特に大幅に長くなったこともあり、上巻が第1章から第7章「世界を舞台に」まで、下巻が第8・9章と巻末資料、という分け方になりそうである。分冊にした場合、通常はどうしても上巻の方が売れるのだが、今回は資料目的でとりあえず下巻を購入される方が少なくないかもしれない。
巻末資料は次の内容で構成されている。
「アストル・ピアソラ・ディスコグラフィー」189点+編集盤18点+映像作品8点
「本文で紹介しているYouTube動画」17点+α
「ピアソラが公式録音しなかった自作曲の他の演奏家による初演などの録音一覧」アルバム/シングルの紹介109点+映像3点
「ピアソラが公式に録音しなかったピアソラ作品一覧」
「作曲または録音した全曲目索引」
「アストル・ピアソラ・フィルモグラフィー 1935-1992」86点
「人名・団体名索引」1,440件、欧文表記付
まだ作られていない人名索引(50ページほどになる予定)を除いた巻末資料は230ページほどある。これにあとがきや図版(写真)のページ(20ページを予定)も含めると、やはり全体で1,200ページになる計算である。
QRコードによる音源へのアクセス環境が整備されている点は、この新版の大きな特徴のひとつと考えているが、映画やライヴ映像などの動画へのリンクは、特にYouTubeにあるものは公式チャンネルなど公的なものを除いて権利関係が不透明なため、商業出版の立場からもQRコードの掲載は見送らざるを得なかった(内容について文章では触れているが)。
以上、とりあえず現状をまとめてみたが、また進捗状況についてお知らせできればと考えている。