MN杯 優勝デッキアーカイブ
はじめに
miTSu noirことミツです。
このnote記事はこれまでのMN杯で優勝してきたデッキを文字通り記録、ならびに軽く解説・考察を入れるものです。筆者の認識の齟齬により誤記、誤情報など含まれる場合があります。ご容赦ください。
なお、文章はすべて常体(だ・である調)で書かせていただきます。
第1回 【光火t自然 アポロヌス・ドラゲリオン】
使用者は「阪本健太」選手。
カードプールは17弾環境、MN殿堂カードはなし。
【エンペラー・キリコ】ならびに【バグナボーン】を下しての優勝。
ベースは通常ルールの【アポロヌス】。
光火t自然と書いてはいるが、メインパーツは準火単。そこに光のSTカードを12枚投入した形。
《バルケリオス・ドラゴン》《ボルバルザーク・エクス》と、実質0マナで着地できる火のドラゴンを計8枚採用。《バルケリオス》を活かすため、という点もあってか、進化元となる軽量ドラゴンは通常ルール同様すべて火文明。《エクス》はSA2打点であるため、《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》の横に立ててSTブロッカーをケアできる。《アポロヌス》が引けなくとも、大量展開したドラゴンで一斉攻撃する動きが取れる。
生半可なビートには、大量のSTで受けきった上での《永遠のリュウセイ・カイザー》によるロックが待っている。《コッコ・ルピア》の軽減を用いれば、2ターン目に着地させて蓋をするという動きも視野に入る。さらにコントロールがいたとしてもハンデスに反応して飛んでくる。
攻守兼ね備えた優秀なデッキであり、納得の優勝といえる。
第2回 【光火自然 アポロヌス・ドラゲリオン】
使用者は第1回と同じく「阪本健太」選手。2連覇となった。
カードプールは17弾環境。
《ボルバルザーク・エクス》《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》がLMN殿堂入り。
《永遠のリュウセイ・カイザー》がMNO殿堂入り。
《エンペラー・キリコ》がMNP殿堂入り。
【ギフト・サンマイダー】に2-1、【ドラゴンフレンド・カチュア】に2-0で優勝。
前回の構築を順当にリペアした形。
コスト軽減役として《ルピア・ラピア》、《永遠》に代わるハンデス対策に《翔竜提督ザークピッチ》が入った。《光神龍ベティス》の枠が《武装竜鬼アカギガルムス》に代わっているが、《バルケリオス》のG・ゼロに関与する点や《スベンガリィ・クロウラー》を焼ける3000火力など、《ベティス》とはまた異なる強みを持っている。
第3回 【光水闇自然t火 超次元デストラーデ】
使用者は「トスカーナ」選手。
カードプールは18弾環境。
《センチネル・ドラゴン》《ヘリオライズ・ドラゴン》が新たにLMN殿堂入り。
《ボルバルザーク・エクス》が新たにMNO殿堂入り。
【アポロヌス・ドラゲリオン】と【アヴァラルドターボ】を下して優勝。
ベースとなる通常ルールのデッキは筆者が知る限り存在しない。
《龍聖大河・L・デストラーデ》の連鎖付与を利用し、間に《予言者ヨーデル・ワイス》《カモン・ピッピー》《次元流の豪力》とそれらから着地する6コストのサイキックを挟むことで盤面を埋め尽くす。
《デストラーデ》サーチの役割を果たすのは《ヒラメキ・プログラム》。自盾が5つ以上あれば0マナで召喚できる《賢察するエンシェント・ホーン》と組み合わせることで、初手になくとも1ターン目に《デストラーデ》が着地する。
サブプランは《星龍王ガイアール・オウドラゴン》。見ようによっては、スタートチャージ10でワンキルデッキとして猛威を振るった【超次元星龍王】の流れを汲むともいえるか。
フィニッシャーの《ギガボルバ》は《DNA・スパーク》のみならず《ボルメテウス・ホワイト・フレア》や《光神龍ベティス》のトリガーも封じる。
弱点は、単体でスピードアタッカーを持っているカードや進化獣がいないため、瞬発力に欠けること。1ターン目に使う手札は《デストラーデ》1枚なので《アポカリプス・デイ》などの単発全体除去からの立て直しは容易であるが、18弾収録の《アクア・インテリジェンス 3rd G》を相手にすると、デッキ全体のコストの低さもあり毎ターン盤面をすべて流される、軽いロック状態に陥る。10マナ溜めて《星龍王》リンクまで持ち込めればいいが、それまでに殴り切られてしまえば終了となる。【メンチ斬ルゾウ】は間に《インテリジェンス》を挟んでも3ターンでフィニッシュが可能であるため天敵か。
そういったメタカードには脆弱であるが、しかしスタートチャージ5というルールとその環境を読み切った鮮やかな優勝であった。
第4回 【光水自然 ターボゼニス】
使用者は「阪本健太」選手。3度目の優勝を果たし、王座奪還と相成った。
カードプールは18弾環境、新規MN殿堂入りはなし。
【THE FINAL・ボルメテウス】に2-1、【サムライ連ドラ】に2-0、【メンチ斬ルゾウ】に2-0で優勝。
ベースとなる通常ルールのデッキは【ターボゼニス】。
《爆進イントゥ・ザ・ワイルド》《ダンシング・フィーバー》から《「智」の頂 レディオ・ローゼス》に繋ぐことを目指す。マナに落ちたアンノウンは《偽りの名 ハングリー・エレガンス》で利用可能。
防御役は継続的にシールドを追加できる《デストラーデ》。STとしては定番の《DNA》のほか、《ホーガン・ブラスター》《天運ゼニスクラッチ》《アクア・スペルブルー》といった踏み倒しカードが搭載されている。
【アポロヌス】や【デストラーデシュート】といった展開系デッキに対しては、《偽りの名 イージス》が解答として用意されている。自獣を巻き込んだり相手にドローさせたりとデメリットはあるものの、こちらも《エレガンス》のマナ召喚に対応している点は見逃せない。デッキバウンスであるため再利用されにくいのも利点。
《ローゼス》は2ターン目に着地しながらも5枚ランダムハンデス+5枚ドローという圧倒的なリソース差を生み出す。スタートチャージ5ではフィニッシュに直結しにくいドローはマナブーストに比べ軽視される傾向にあるため、これはほとんどのケースで実質《ロスト・ソウル》内蔵クリーチャーとして機能する。そこから次ターンに《「祝」の頂 ウェディング》を飛ばす、というのは通常ルールの【ターボゼニス】の鉄板である一方で、スタートチャージ5においてはあまりにも凶悪であった。(大会後アンケートでは《ウェディング》の規制を望む声もあった)
第1回~第3回まで、並べたクリーチャーを利用してフィニッシュを目指すデッキが優勝を重ねていたために、見事なストレートパンチを食らった気分である。
第5回 【光火自然t水 バルガライゾウ】
使用者は主催「miTSu noir」。これまでの優勝者2名が不在の中の優勝。
カードプールは19弾環境。
《予言者ヨーデル・ワイス》がLMN殿堂入り。
《爆進イントゥ・ザ・ワイルド》《勝利宣言 鬼丸「覇」》《「智」の頂 レディオ・ローゼス》がMNO殿堂入り。
《ヘリオライズ・ドラゴン》がLMN殿堂解除。
【大地・アマテラス】と【ABYTHENビートダウン】に2-0で優勝。なお、2回戦はbye。
ベースとなる通常ルールのデッキは【バルガライゾウ】。
《龍仙ロマネスク》《ザ・ワイルド》《ダンシング・フィーバー》から重量級ドラゴンに繋ぐことを目指す。通常ルールにおける《メンデルスゾーン》《竜の呼び声》《エコ・アイニー》といったドラゴン基盤の高速ターボという強みはないため、他のワンショット系同様2ターンでの制圧を狙うことになる。
主要な踏み倒し先である《サファイア》はLMN殿堂、《永遠リュウ》《鬼丸「覇」》はMNO殿堂。加えて優秀なマナ加速である《ザ・ワイルド》もMNO殿堂と、MN殿堂の煽りをそれなりに受けている。
フィニッシャーの減少を補うため、《ガンリキ・インディゴ・カイザー》《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》《光神龍スペル・デル・フィン》《偽りの王 ナンバーナイン》といった対策・ロック系の能力を持つドラゴンを優先的に採用。《デル・フィン》と《ナンバーナイン》が各1なのは単純にカード資産の問題ではあるが、一応《霊騎ラディア》に一掃されないという利点がある。《偽りの王 ヴィルヘルム》はマナに触る能力があまり刺さらないのではと考えたことに加え、盤面処理なら《真実の王 ヴィオラ・ソナタ》がいたため不採用。《偽りの王 モーツァルト》は6コストマナ加速カードから繋がらない11コストであることを嫌った。
《永遠リュウ》に代わるSA付与役として《剛撃竜騎ヴィレム海舟》を採用。2枚しか入れていないため、サムライである《ライゾウ》を確定サーチできるのも強み。
また、6コストマナ加速から繋がりつつ相手の動きを止め《ライゾウ》を引き込めるカードとして《レディオ・ローゼス》を投入した。使う機会はなかった。
《ヴィオラ》は盤面除去、《ライゾウ》《ロマネスク》で墓地へ送ったドラゴンの再利用のほか、《無双龍聖イージスブースト》と組んでの耐久も狙える。《黒神龍オドル・ニードル》と異なりパワー3500未満の小型クリーチャーによる波状攻撃には突破されてしまうが、《アポロヌス》のワンショットを止められるブロッカーであることは何よりも強み。
第6回 【光闇火自然t水 イカズチ・カチュア】
使用者は「ギャレット」選手。
カードプールは19弾環境。
《超天星バルガライゾウ》がLMN殿堂入り。
【ドラゴングッドスタッフ】に2-1、【激沸騰・サンマイダー】に2-0、【アガサ・ヘブンズ・ゲート】に2-1で優勝。
ベースとなる通常ルールのデッキはそのまま【イカズチカチュア】。特に19弾実装以後見られていた、《真実の王 ワーグナー》のアタックトリガーで《神歌の星域》を唱え、《聖霊王イカズチ》を着地させる形。
フィニッシュルートは17弾環境で流行していた《復活の祈祷師ザビ・ミラ》+《死海竜ガロウズ・デビルドラゴン》ではなく、《邪眼皇ロマノフⅠ世》と《邪眼皇アレクサンドルⅢ世》で超次元呪文を乱射し、《シャチホコ・GOLDEN・ドラゴン》を揃える形。
通常ルールでは《ドンドン吸い込むナウ》で半殺しにされ《勝利のガイアール・カイザー》の登場で完全に死滅した【カチュア】であるが、除去を撃つ暇があるなら自分の動きを通したいスタートチャージ5環境では1ターン目にポン置きしても除去されることが少ない。後攻1ターン目に使え、かつメインムーブに関与できる除去といえば、せいぜい《機械提督デリンダー》搭載型【オーケストラ】の《勝利ガイアール》か【弾幕ロマノフ】の《偶発と弾幕の要塞》くらいなものである。
《イカズチ》の進化元は《無頼妖精ワイルド・リリィ》と《神門の精霊エールフリート》。《ワイリリ》はともかく《エールフリート》を見ることになるとは思わなかったが、《ワーグナー》型はその性質上《星域》を手札に握る必要があるため、呪文サーチ持ちエンジェル・コマンドを採用するのは極めて合理的な選択といえる。状況に応じてSA付与手段の《キリモミ・スラッシュ》を引っ張ってこれる点、ブロッカーもあるので最悪相手のブン周りに対して壁になれる点も強みか。
フィニッシュ用の超次元呪文として採用されているのは《超次元シャチホコ・ホール》ならびに《超次元ガード・ホール》。一見《ボルメテウス・ブラック・ドラゴン》や先程も挙げた「ザビミラ死海竜」を使わない、俗に言う「救済」での採用のようだが、そうとも言えない側面がある。キーカードである《幻想妖精カチュア》が引けなかった時には《シャチホコホール》から《ホワイト・TENMTH・カイザー》を出し呪文サルベージと耐性付与で《GOLDEN》完成を狙うというサブルートも担えるのである。
…ギャレット氏本人は【ケンゲキオージャ】メタを兼ねた《時空の幸運ファイブスター/天運の覚醒者ライトニング・ファイブスター》をお守りに気合で《カチュア》を引いていたとのことだが、それはこの際聞かなかったことにする。
MN杯初の「特定のコンボパーツの組み合わせを要求するデッキ」の優勝であるが、《カチュア》の環境的な通りのよさ、フィニッシャー《GOLDEN》のサブルートとしての価値など、徹底的な研究の成果が垣間見えた。納得の優勝である。
第7回 【光闇火t水自然 M・R・C・ロマノフ】
使用者は「龍滅兵器メカ・デル・ソル」選手。
カードプールは20弾環境。
《超次元シャチホコ・ホール》《偽りの羅刹 アガサ・エルキュール》がLMN殿堂入り。
《神歌の星域》がMNO殿堂入り。
【メーテル墓地ソース】に2-1、【アガサ天門】と【ゼニス天門】に2-0で優勝。
ベースとなる通常ルールのデッキは【MRC】。
いわゆるチャージャー型が元になっており、メインデッキのクリーチャーは《煉獄邪神M・R・C・ロマノフ》《魔光蟲ヴィルジニア卿》《特攻人形ジェニー》の僅か9枚。《ヴォルグ・サンダー》の出力を大幅に引き上げている。
その《ヴォルグ》を出す超次元呪文は、《超次元リバイヴ・ホール》《超次元ミカド・ホール》《超次元ライデン・ホール》を3-4-3、計10枚。《MRC》をサーチする《クルセイド・チャージャー》も入っており、再現性は極めて高い。
本来の【MRC】にはみられないカードもある。中でも特徴的なのは《コアクアンのおつかい》と《超次元ホワイトグリーン・ホール》。その色から通常ルールではまずお目にかかれない組み合わせである。
この構築において《おつかい》で回収できないカードは《おつかい》自身と墓地から踏み倒せればいい《魔弾ベター・トゥモロー》の計7枚だけであり、墓地に落ちたとしても《MRC》のコスト軽減に利用できる。
《ホワグリ》から出るサイキックは通常ルール構築でも採用される《時空の戦猫シンカイヤヌス/時空の戦猫ヤヌスグレンオー》《時空の霊魔シュヴァル》に加え《勝利のプリンプリン》が採用されている。《勝利プリン》と《ホワグリ》の相性は語るべくもないが、《MRC》攻撃時に《リバイヴ》《ミカド》を撃てば《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》まで辿り着く。
デッキ全体としては、いわゆるチャージャー型をベースにしつつ、《ベタートゥモロー》や《唯我独尊》で殺傷力を高めると共に、《ホワグリ》《プリン》パッケージで耐久力を、《おつかい》でリソース面を引き上げている。
現在の通常ルール環境においては【墓地ソース】メタの《サイバー・N・ワールド》が跋扈しているため、継続的に墓地肥やしが可能なクリーチャー型が主流となっているが、スタ5環境においては《埋葬虫ベリアル・ワーム》などでちまちま墓地肥やししていては到底間に合わない。最速2ターンのビートダウンプランを取るためには《ヴォルグ》の高速墓地肥やしが必須となるのである。
加えてその恐ろしさはレンジを自在に切り替えられる点である。2ターンで駆け抜けるワンショットに留まらず、《地獄門デス・ゲート》や《勝利のガイアール・カイザー》の除去と《特攻ジェニー》のハンデスを携えコントロールプランを可能としている。この二面性は通常ルールの【MRC】も有するところだが、スタ5でもそれを保ったまま優勝に漕ぎつけられるデッキとして成立せしめた腕は目を見張るものがある。
第8回 【光水闇 プラチナム・ヘブンズ・ゲート】
使用者は「山河」選手。
カードプールは20弾環境。
《ヴォルグ・サンダー》がMNP殿堂入り。
【ミケランジェロ祝門】、【ドラゴン・ボーン】、【エナジーホール祝門】、【RSFKワンショット】を破っての優勝。
ベースとなる通常ルールのデッキは【プラチナムロードリエス】。
当大会においてはこのデッキを便宜上「天門」と銘打ってはいるが、コンセプトとして近いのはどちらかといえば【ダイヤモンドリエス】である。《知識の精霊ロードリエス》下でG・ゼロ条件を満たした《巡霊者ウェビウス》《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》《五元の精霊プラチナム》を連打して一気に横展開。相手プレイヤーを攻撃できない小型ブロッカーは、《白騎士の開眼者ウッズ》や《復活の祈祷師ザビ・ミラ》で攻撃制限を解除する。
理想ムーブとなるのは1ターン目《超次元マザー・ホール》からの《ロードリエス》+《激相撲! ツッパリキシ》。これにより、「エンジェル・コマンド1体以上」「呪文を唱える」「自分のカードで5文明を揃える」というG・ゼロ条件を一度に満たせる。そこから次のターンには7マナから《ウッズ》への進化が可能となり、そのまま殴り倒すこともできる。ブロッカー戦略による防御力はそのままに、短いキルターンを両立させた、優秀なデッキといえるだろう。
カラーリング自体は概ね光と水にまとまっている(唐突な《ロマネスク》とかはない)のだが、水単色が《おつかい》4枚に絞られていることをはじめ、端々にスタートチャージ5を意識したチューンが施されている。
通常ルールの【プラチナムロードリエス】との最大の差異は《ブレイン・チャージャー》の有無と《復活の祈祷師ザビ・ミラ》の採用であろう。
そもそも【プラチナムロードリエス】は、《ウッズ》で一気に殴りかかるにせよ《聖霊王アルファリオン》で確実に仕留めるにせよ、6マナ《マザホ》から始まるワンショットが基本である。本来ならそこまでに挟まるマナ加速をスキップできるという意味で、【ザンゲキダクマバルガロウ】や【シロガシラ・ジュカイ】に近い、スタートチャージ5と相性のいいデッキであるといえる。
《ザビ・ミラ》に関しては、6→8ルートが可能なマナ加速が《魂の大番長「四つ牙」》しか入っていないため基本的には3ターン目以降の着地になるものと思われる。超次元に《死海竜》の姿はないが、各2投された《時空の霊魔シュヴァル》《時空のガガ・シリウス》でエンジェル・コマンドの数を稼ぎ、《アルファリオン》のG・ゼロを発動させるというルートだ。一見すると《ザビ・ミラ》のみならず《アルファリオン》も引き込まなければならないぶん要求値が高そうだが、コンセプトどおりG・ゼロを連鎖させれば同時に山札を一気に掘り進むことができることに加え、そもそも《アルファリオン》自体は《ロードリエス》《プラチナム》《大河聖霊エル・ドラード》でG・ゼロ条件を満たせるため、特に問題にはならないだろう。
仮に《ヤヌス》《死海竜》を採用する場合、フィニッシュにしか使えないカードが超次元を4枠も占めてしまうことが欠点か。コンセプトの《激相撲》、強力な《シュヴァル》《勝利プリン》も入れると残る調整枠は僅か1枚分。少なくとも《アルファリオン》との併用は困難となるほか、《死海竜》のサイキック・セルは《マザホ》との相性もさほど良いとは思えない。
総合的評価として、デッキ選択からチューニングに至るまで、極めて合理的に突き詰められたデッキであり、見事に感嘆させられることとなった。
第9回 【火抜き4c ライオネル夏のトリガー祭(獅子頂龍トリガービート)】
使用者は「SLS」選手。
カードプールは21弾環境。
《ホーガン・ブラスター》がMNO殿堂入り。
【天門入りビッグマナ】に2-1、【石碑ビートダウン】に2-0、【ランデスシーザー】に2-1で優勝。
ベースとなる通常ルールのデッキは筆者が知る限り存在しない。強いて言うならそのまま【トリガービート】。
基本的には《デストラーデ》のシールド追加でST獣を装填し、相手の攻撃をひたすら耐えしのぐ。フルクリーチャー構築、かつ《ヨーデル》の採用や2~9まで散らされたコストから、第3回の【超次元デストラーデ】同様の連鎖ギミックを取り入れていることがわかる。
ST獣のチョイスは非常に特徴的。メジャーなのは盤面を埋めない選ばせ破壊除去の《炸裂の影デス・サークル》と、様々なサイキックに化ける《死海秘宝ザビ・デモナ》くらい。だが、1枚1枚を見ていくと、それらすべてが絶妙な需要に応じて吟味され選び抜かれたものであることがわかる。
まず《開運うれぴーマネッキー》は、《牽制の使徒カルエス》と並ぶ最軽量の受けST獣であることを活かし、単に余った2マナで出てきて《ザビ・ミラ》の破壊コストに計上できるのみならず、《デストラーデ》下で山札上にいればST獣から確実に連鎖しアンブロッカブルの追撃をも阻む。
《ラブリー・ハート》は、バトルによる破壊を実質無効化し、疑似革命3でSTブロッカー化するという、非常に優秀なスペックを持つ。《獅子頂龍 ライオネル》の能力によりシールドが減るため、能力追加条件は満たしやすいだろう。
《栄光の翼 バロンアルデ》と《イージスブースト》はどちらも相手プレイヤーを攻撃できないため【トリガービート】として見ると不適格なようだが、これらは確実に受けになりつつ盤面に残ってマナを伸ばせるST獣であり、フィニッシャー着地のために重要な役割を持つ。
こうした防御カードで耐えた上で送り出すのは、《獅子頂龍 ライオネル》。暴発する上に破壊以外の除去にも対応する強力なエスケープ能力で、ST獣でさらに盤面を強化しつつ圧を掛けていく。さらに《獅子頂龍》が立っている時は《デストラーデ》《ヨーデル》がST化するという豪華仕様。《フェアリー・ミラクル》や《ロマネスク》が採用されていないため少々着地は遅いが、それでも有り余るポテンシャルを垣間見せる。
膠着した盤面を打開する役を担うのが第二のフィニッシャー《ザビ・ミラ》。《バロンアルデ》《イージスブースト》の攻撃制限解除役でもある。呼び出し先にはお馴染み《死海竜》が採用され、場に触れない《獅子頂龍》の弱点を攻撃時2体バウンスで綺麗に補完する。《ガガ・シリウス》なしで採用されている《シュヴァル》だが、除去耐性持ちの《獅子頂龍》がさりげなくエンジェル・コマンド・ドラゴンであるため、《ザビ・ミラ》と合わせてきっちり覚醒条件を満たす。
こうした戦略を支える立役者は《秋麗妖精リップル》だろう。基本的にはサイバー・コマンドの《デストラーデ》、エンジェル・コマンド・ドラゴンの《獅子頂龍》をサーチしつつ、状況に応じてデーモン・コマンドの《ザビ・ミラ》を引っ張ってくる。序盤でマナに置いたり《バロンアルデ》《イージスブースト》でマナに落ちたりしてもマナ爆誕で出てこれるのが偉く、最後には《ザビ・ミラ》の破壊コストにもなって無駄がない。
デッキ全体が非常に高い水準でまとまっており、その構築力には目を見張るものがある。堅牢な防御性能と確実なフィニッシュ力とを兼ね備えた、歴代優勝デッキとはまた違う形での攻防一体デッキであるといえよう。
第10回 【[5c] カチュア】
使用者は「デュエマは頭脳の格闘技!」選手。
カードプールは21弾環境。
《英知と追撃の宝剣》《偽りの王 ヴィルヘルム》がMNO殿堂入り。
《勝利のリュウセイ・カイザー》がMNP殿堂入り。
なお、今回より、開催後レポートに合わせる形でカラーリング表記を変更する。
【ギフトクロスオーバー】【イモータルRMG】に2-0、【光臨ゾロスター】に2-1で優勝。
【カチュア】の優勝としては二度目になるが、大きく趣を変え、ビッグマナ・グッドスタッフコントロール的な性質を帯びる。方向性としてはむしろ第4回の【ターボゼニス】に近いか。
往々にして《カチュア》1枚に依存しがちな【カチュアシュート】の一種ではあるものの、デッキ全体の平均カードパワーを高めるという形で弱点を埋めている。
1ターン目の初動となるのは《ヨーデル》《超次元シャイニー・ホール》《超次元ボルシャック・ホール》によるサイキック展開、《ガチンコ・ジョーカー》の2ハンデス、《ロマネスク》《ザワイルド》のブースト。そこから2ターン目・3ターン目にフィニッシャーを投げつける、という側面ではいかにもスタートチャージ5「らしい」デッキといえよう。
《カチュア》の踏み倒し先に据えられているのは、マナ加速を行いつつデメリットの自己ランデスを軽減できる《ロマネスク》、ちょうどO殿入りしたばかりのランデス・除去・マナブースト獣《ヴィルヘルム》、そしてドロー・ハンデス・火力によりリソース差を大幅に広げる《極仙龍バイオレンス・サンダー》の3体。
真っ先に出したいのは《ヴィルヘルム》だろう。1枚制限になりつつも、《カチュア》のタップスキルで確実に踏み倒すことができる。こちらが盾落ちしていたり手札に来ていても《ロマネスク》によるブーストに切り替えればいい、という柔軟さも魅力。
この《ロマネスク》は上述したとおりマナ加速によるサブプランも兼ねており、デッキ全体の安定性確保に一役買っている。
もう1体の踏み倒し先《バイオレンス・サンダー》は2ターン目以降の着地となるだろう。進化元になるのは多色獣またはドラゴンという幅広さ。敵獣をタップしつつ多色獣を出せる《シャニホ》、cipで自身をアンタップキラー化する《勝利のガイアール・カイザー》、cipによる敵獣タップが可能で受けにもなるブロッカー《浄域の精霊ウルソフィア》のいずれかを介せば、シールドを殴らずにアタックトリガーを利用できる。それ以外にも、手出し《ロマネスク》から6→10で繋いで2ターン目に着地、という王道の流れも用意されている。
《カチュア》用のコンボパーツである《キリモミ・スラッシュ》も、いざとなれば《ヨーデル》《「四つ牙」》を即時3打点で走らせたり、《シャニホ》から《プリン》を出しつつ残り1マナでSA化することで2体のブロッカーを停め最後の一撃をねじ込んだりと、瞬発力の底上げという形で貢献できる。
《カチュア》からの踏み倒しを考慮しないフィニッシャーとしては、メインデッキに《ローゼス》《ウェディング》。6→10で全ハンデス・5枚ドローを行う《ローゼス》もさることながら、《ヴィルヘルム》や《バイオレンス・サンダー》で制圧したところに飛来して確実な勝利を収める《ウェディング》も、その強さを余すところなく発揮できる。
超次元には《豪遊! セイント・シャン・メリー》。《シャニホ》《ボルホ》で《光器シャンデリア》と《アルプスの使徒メリーアン》をばらまき、《ヨーデル》《シャニホ》から《光器セイント・アヴェ・マリア》を呼び出すことでP'S覚醒リンク。警戒付きシールド追加持ち超巨大ブロッカーであり、ついでのように除去耐性まで有する。
こうして見てみると、フィニッシャーとはいうがどれも仕事は主に「制圧」である。先述したように【ターボゼニス】寄り、もっと近いデッキとしては通常ルールの【ヴィルヘルムコントロール】を思わせる、むしろコントロールの系譜に属するデッキなのだといえるだろう。
この方向性は優勝プレイヤーが通常ルールで使用しているという型の【カチュア】にも共通する。それをスタートチャージ5に落とし込み、初参加で優勝まで漕ぎつけたその実力には、ただただ驚嘆させられるばかりである。
第11回 【[闇抜き4c] 極楽解析】
使用者は「SLS」選手。
カードプールは22弾環境。
《幻想妖精カチュア》がLMN殿堂入り。
《龍仙ロマネスク》がMNO殿堂入り。
《神歌の星域》《超次元シャチホコ・ホール》がMN殿堂解除。
【進化設計図】、【アガサ天門リペア】、【チェインレックスワンショット】を下しての優勝。
構築思想は【ドラゴンフレンド・カチュア】に近い。
コスト8以下のコマンド・ドラゴンを踏み倒す《龍素解析》を、先置き《ガロウズ・極楽・カイザー》や踏み倒した《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で連射するのがコンセプト。
踏み倒し先の大当たりは《不敗のダイハード・リュウセイ》で、cipを使い終わった《サイクリカ》に疑似アタックトリガーでのシールド焼却を付与できる。
cipオールタップ&自軍SA化の《閃光のメテオライト・リュウセイ》との組み合わせも見逃せない。やってることがほとんど【白刃鬼】。
最速での具体的なワンショット・プランの例は以下の通り。
1ターン目、《極楽》を召喚。
2ターン目、《解析》を発動。《極楽》の能力も起動し、2枚目の《解析》を山札から唱える。
これにより《ダイハード》とSA付与持ちドラゴンが捲れれば、《ダイハード》効果の最大3枚焼却と、2打点×3体によるワンショットが成立する。
このブン回りでなくとも、2ターン目の《解析》《サイクリカ》《ダイハード》、3ターン目にSAドラゴンでも一気に盾を割り切れる。
《解析》に依存している点は《スペルブック・チャージャー》で補っている。チャージャー付きなのが非常に強く、2ターン目には《永遠》《悠久》《ダイハード》ら8マナ圏の置物に届く。
受け札としては、定番の《DNA》《ホワグリ》に加え、自ターン中の手打ちで《龍覇 グレンモルト》+《銀河大剣 ガイハート》を足止めできる《調和と繁栄の罠》を採用している。《サイクリカ》と好相性であり、《スペルブック》で持ってくる対象としても評価点。
ついでに《仰天無双 鬼セブン「勝」》にも触れるが、《鬼セブン》でST化して受けになるのはオールタッパーの《メテオライト》、敗北回避の《ダイハード》だけでなく、墓地から呪文を発動できる《サイクリカ》も当たりに数えられる。《解析》から《メテオライト》《ダイハード》にもアクセス可能であるため、《鬼セブン》のバリューはかなり高い。
通常環境では【刃鬼】や【フレンドカチュア】に数枚挿される《解析》であるが、それがコンセプトとして成立させられるのは、極めてスタートチャージ5的であるとともに、《フレンドカチュア》が規制されているMN杯ならではであるといえるだろう。
第12回 【[光水闇]軸 サイクリカコントロール】
使用者は「阪本健太」選手。
カードプールは23弾環境。
直近の〈ミノバトCUP ~スタートチャージ5~ #1〉では【エグザイルジャッキー】が優勝、【MRCロマノフ】が準優勝。
【アガサ天門リペア】に2-1、【Q.E.D.オボロセカンド】に2-0、【ドラゴンフレンド・カチュアリペア】に2-1で優勝。
阪本健太選手の優勝は第4回以来の4度目になる。
純正の【サイクリカコントロール】というよりも、【ターボゼニス】との折衷型というべき構築。
マナ加速はMNO殿堂の《爆進イントゥ・ザ・ワイルド》《龍仙ロマネスク》と4枚使用可能な《ダンシング・フィーバー》の計6枚で、《偽りの王 ナンバーナイン》《「智」の頂 レディオ・ローゼス》《「祝」の頂 ウェディング》に繋ぐ。このうち《ザ・ワイルド》はマナ加速として使った後もデッキの核である《龍素記号Sr スペルサイクリカ》でマナ送り呪文として活用できる。
ゼニス関連カードとして特徴的なのは1枚積みされた《天頂秘伝ゼニス・レクイエム》だろう。ブロッカーを踏み越えて《ウェディング》のワールド・ブレイカーを確実に叩き込める。
【サイクリカコントロール】のメインパーツである《超次元ガロウズ・ホール》と《ガチンコ・ジョーカー》ももちろん採用されている。《ジョーカー》のハンデス連打で動きを止めつつ、《ガロホ》で《サイクリカ》と交互に回収し合い《死海竜ガロウズ・デビルドラゴン》リンクを狙う。《超次元エナジー・ホール》は《ガロウズ・セブ・カイザー》の呼び出し役のカサ増しであろう。
防御面に関しては、DP殿堂の《超次元ホワイトグリーン・ホール》に定番の《DNA・スパーク》、除去札として運用できる《支配のオラクルジュエル》、さらにブロッカーの《浄域の精霊ウルソフィア》が投入されている。過去の《ウルソフィア》採用優勝デッキとしては第10回の【カチュア】がいるが、あちらは《極仙龍バイオレンス・サンダー》の進化元という側面がある。今度の登用は《ウルソフィア》の防御札としてのグッドスタッフ性能の高さを窺わせるものである。
総じて、【サイクリカコントロール】というアーキタイプを土台に、さらにグッドスタッフ的性質を高めた構築であり、《サイクリカ》の懐の深さと純コントロールの活躍可能性を知らしめてくれるデッキだといえる。
第13回 【[5c] ドミティウス】
使用者は主催者「ウシミツドキ」。
カードプールはLEGEND OF PLAY'S 2024環境。
《ガチンコ・ジョーカー》がMNP殿堂入り。
《ダンシング・フィーバー》がMNO殿堂入り。
【シロガシラ・ジュカイ】に2-1、【ガロウズ・サイクリカ】と【ドラゴンフレンド・カチュア】に2-0で優勝。
主催者の優勝は第5回以来二度目となる。
新弾カード、《邪帝類五龍目 ドミティウス》を軸としたワンショットデッキ。
手札・マナ・墓地からとにかく《ドミティウス》を出し、《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》のSA付与で殴り倒すのがデッキコンセプトとなる。盤面に5色揃えば《終末の時計 ザ・クロック》などのST獣を封じられるため、踏み倒し先には多色獣を多く据えた。
展開手段は、順当にマナを伸ばして手出しを見据える《奇跡の面 ボアロジー》《ロマネスク》のほか、《飛散する斧 プロメテウス》+《母なる大地》のマナ経由ルート、《無頼魔獣ギガヴォル》+《魔龍バベルギヌス》の墓地経由ルートを用意。《大地》は防御STになり、《ギヌス》は《ドミティウス》を再度回せる。《ギガヴォル》は山札からの探索であるため、ある程度(だいたい3割弱)の確率で《ドミティウス》のサーチとして活躍する。
もう1枚のフィニッシャーは、多色獣を砕いてシールド焼却に変換する陳宮こと《魔魂葬のサードニクス》。自軍に《キリュー》の破壊時マナ送りを付与してやれば、爆発的にマナを伸ばしつつ《プロメテウス》のマナ回収で再利用できるため無駄がない。
《エクス》が1枚制限となっている点は《デストラーデ》で補う。というか枠埋め的に入れたらちゃんと補えた。連鎖で《キリュー》のcip起動前に《サードニクス》を呼び出せたり、逆に《キリュー》に連鎖したり、《サードニクス》の弾を補充したりといった連鎖付与の側面のみならず、ST《大地》でシールドを回復して猛攻を受け止める、単に増えたシールドでワンショットを狂わせるといった八面六臂の活躍を見せた。
超次元は《超次元バイス・ホール》偽装。特に理由はなかったので《ザビ・デモナ》や《豪力》の呼び出し先で固めるべきだろう。
大会中では使わなかった(気付けなかった)が、《プロメテウス》《大地》で比較的容易にマナに触れるため、フィニッシャーとして《聖霊王アルカディアス》《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》を運用できる。《ボアロジー》と《ギガヴォル》がビーストフォークであるため《大勇者「ふたつ牙」》も一応使えるが、こちらはあまり使い所がない。11→14のジャンプアップを行って《ドミティウス》+《キリュー》でワンショットを狙うくらいか。
第14回 【[水火自然]軸 ドラゴンフレンド・カチュア】
使用者は「K.」選手。
カードプールはLEGEND OF PLAY'S2024環境。
《予言者ヨーデル・ワイス》、《偽りの羅刹 アガサ・エルキュール》がLMN殿堂解除。
《ヴォルグ・サンダー》がMNP殿堂解除。
《龍聖大河・L・デストラーデ》、《邪帝類五龍目 ドミティウス》がMNO殿堂入り。
《予言者ヨーデル・ワイス》&《魂の大番長「四つ牙」》、《ヘブンズ・ゲート》&《偽りの羅刹 アガサ・エルキュール》、《ヴォルグ・サンダー》&《煉獄邪神M・R・C・ロマノフ》がMNコンビ殿堂に指定。
【ヒラメキゴスペル】に2-0、【石碑M・A・S】に2-1、【ヴィルヘルムコントロール】に1-2で優勝。
【ドラゴンフレンド・カチュア】としては4度目の、「K.」選手としては3度目の参加による優勝である。
第14回時点で、キーカード《ドラゴンフレンド・カチュア》がLMN殿堂、主要踏み倒し先である《エクス》《永遠リュウ》がそれぞれMNO殿堂に指定されており、フルパワーには程遠い。
注目すべきはそのMN殿堂に対応したチューンアップである。
キーカードの《ドラフレ》は7マナから1枚で概ね5打点を形成可能であり、1ターン目に準備を行いつつ2ターン目にワンショットを試みる、というムーブが基本の動きとなる。
この構築では、1ターン目の初動として、サーチ札の《番長大号令》《未来設計図》、手札を一気に入れ替えつつ打点として場に残る《オボロカゲロウ》に加え、刺さる対象が非常に多いメタクリーチャー《エンテイ》、《勝利リュウセイ》を失ってもなお高い汎用性を誇る《リュウセイ・ホール》が採用されている。《リュウホ》に関しては、《ドラフレ》の踏み倒し先である《ガイアール・ゼロ》でも超次元にアクセス可能な点も評価されたか。
踏み倒し先は《ガイゼロ》《永遠リュウ》のほか、《鬼セブン》《メテオライト》《ダイハード》。2枚採用された《解析》も合わせ、第11回で優勝を果たした【極楽解析】の影響が見てとれる。
《鬼セブン》は《ドラフレ》自身とその踏み倒し先の大半をST化するため、初動としても上々な1枚。相手はワンショットを行おうとしても、《鬼セブン》をどかせなければ《メテオライト》のオールタップと《ダイハード》の敗北回避に怯えることとなる。これら2種8枚がシールドに1枚も入っていなかったとしても《ドラフレ》からカウンターで踏み倒されることもある。ついでに自前で暴発能力まで備えているため、攻め手としても非常に優秀。
攻撃面では《ダイハード》のシールド焼却が凶悪。【極楽解析】でもそうだが、【ドラフレ】では足りない6打点目以降を補えるため相性はさらに良い。マナの都合から《疾封怒闘 キューブリック》の裏目がほぼないのも追い風。
2枚制限のカードを主軸としたデッキがここまで活躍するとは、主催者としては正直予想外であった。指定した第2回大会当時には存在すらしていなかったクリーチャーを踏み倒し先に据えられる、というカードプールの変化もあるだろうが、サーチの層を厚くし《エクス》プランを切った構築、そもそも【ドラフレ】を知り尽くし乗りこなす使い手の腕前など、様々な要因が噛み合っての優勝であろう。
第15回 【5cコントロール([水自然]軸 ザ=デッドマングッドスタッフ)】
使用者は「ヨッシー」選手。
カードプールは24弾環境。
《センチネル・ドラゴン》がLMN殿堂解除。
【星域ライゾウ】、【ボルフェウス・ヘヴン】、【ミステリー・キューブ入りグッドスタッフ】を下しての優勝。
《龍覇 ザ=デッドマン》を軸にしたドラゴン軸のグッドスタッフ。
《フェアリー・ミラクル》《ブラッサム・シャワー》《フェアリー・シャワー》でマナを伸ばしつつ、大型ドラゴンやゼニスを投入して制圧していく。
モードでマナ回収を行う《一極両得 マクノカ&ヌクノカ》ではなく探索による不確定マナ回収である《ブラッサム》をあえて採用したのは、マナ加速とマナ回収を同時に行える性質によると思われる。本格的にマナに触るのは《始原塊 ジュダイナ》のマナ召喚や《侵攻する神秘 ニガ=アブシューム》龍解時・《「戦慄」の頂 ベートーベン》召喚時のマナ回収で事足りる。マナ回収呪文というよりも、基本的にはマナ加速の9枚目以降として運用しつつ、《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》をマナに落として即回収しうる呪文としての採用だろう。
メインギミックは《デッドマン》と《始原塊 ジュダイナ》のコンボ。
スタ5では《デッドマン》のコスト軽減が常時発動するため、例えば1ターン目《ミラクル》、2ターン目《デッドマン》と繋げば、3ターン目に《龍世界 ドラゴ大王》と《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》を同時召喚できる。そこに《ジュダイナ》を挟めば、召喚先をマナから供給可能なうえ、ダイレクトアタックを阻害する《古代王 ザウルピオ》の龍解まで見据えられる。
《デッドマン》をサーチする手段はないが、そもそもマナ加速を中心としたビッグマナの性質をもつため、別に引けなくとも重量級での制圧が狙え、その前に殴ってくる相手には《デッドブラッキオ》とトリガー《反撃のサイレント・スパーク》でカウンターが可能となる。
《デッドマン》の呼び出し先は《ジュダイナ》のほかに《アブシューム》《恐龍界樹 ジュダイオウ》《邪帝斧 ボアロアックス》。
《アブシューム》は龍解時にドラゴンを回収できるので、《邪帝類強欲目 カリグラーティ》の5枚ドローと合わせ、《デッドマン》のコスト軽減先や《デッドブラッキオ》を手札に確保できる。
《ジュダイオウ》は雑に立てられる小型相手の足止め。これで《「戦慄」》の攻撃誘導まで耐久し、最終的にはQ・ブレイカーと軽い攻撃封じ持ちの《恐・古代王 サウザールピオ》に龍解、反撃に出られる。
《ボアロ》の運用は龍解が前提だが、9~11コスの超大型が多数投入されているこのデッキでなら難しくはないだろう。むしろ、確実に場にあるであろう《ザウルピオ》と《アブシューム》、他のドラゴンにより、《我臥牙 ヴェロキボアロス》の踏み倒し能力が活きない可能性が高い。
《デッドマン》の能力上、採用可能なドラグハートは限られる。《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》も《デッドマン》とはアンチシナジーである。他の候補となるのは、《恐・龍覇 サソリスレイジ》ブラフとなる《龍魂城閣 レッドゥル》《龍魂教会 ホワイティ》あたりか。
大型獣の核となるのは《「戦慄」》。ドラゴンのみならず無色獣も回収できるため、非ドラゴンゼニスの《「智」の頂 レディオ・ローゼス》《「祝」の頂 ウェディング》が採用されている。
特徴的なのは《カリグラーティ》だろう。先にも述べたが、《デッドマン》と《デッドブラッキオ》の存在から、ドラゴン軸にしては手札が重要となるデッキである。登場時に5枚ドローしつつ盤面に5打点が残る《カリグラーティ》は、堅実にアドバンテージを稼ぎながら一気にリーサルを突き付ける。相手の《デッドブラッキオ》対策になるのも強み。
平均コストの高さにもかかわらず、定番フィニッシャー《勝利宣言 鬼丸「覇」》は不採用。かわりに《光神龍 スペル・デル・フィン》《偽りの王 ナンバーナイン》の呪文ロック、《大王》《VAN》《界王類絶対目 ワルド=ブラッキオ》のクリーチャーロック、《「戦慄」》《偽りの王 モーツァルト》の攻撃阻害で安全に詰めていくフィニッシュルートが見てとれる。雑に刻んでもありとあらゆるデッキから飛んでくる《デッドブラッキオ》に咎められかねない環境において、この慎重さは確実に武器となる。
総じて、大味になりがちなドラゴンデッキでありながら、緻密な構築とシナジーの噛み合わせによって環境に合わせた戦術を繰り出す、【ビッグマナ】の新たな機軸を提示したデッキであるといえよう。
第16回 【[光抜き4c] モルトシューゲイザー】
使用者は「業欲のマントラゾロスター」選手。
カードプールは24弾環境。
《龍の呼び声》《龍覇 ザ=デッドマン》《超天星バルガライゾウ》がMNO殿堂入り。
《フェアリー・ミラクル》がMNP殿堂入り。
【ヘルボロフGOLDEN】【龍素開放】【アポロ】にそれぞれ2-0でのストレート優勝。
直近のミノバト公認に続き、こちらでも【シューゲイザー】系列デッキが活躍した。
メタクリの展開で相手の動きを止め、《龍覇 グレンモルト》+《銀河大剣 ガイハート》や、《神聖麒 シューゲイザー》+《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》+《逆転王女プリン》で詰めていく。
《停滞の影タイム・トリッパー》は、先手でも後手でも相手のマナカーブを致命的なレベルで阻害する強力なメタ獣。実質3マナで着地可能な《勝利のリュウセイ・カイザー》であり、先攻で出せれば《龍覇 M・A・S》《蒼狼の始祖アマテラス》といった6コス初動、《月光電人オボロカゲロウ》+《アクア・エリート》の2+4、《コッコ・ルピア》+《ヘリオライズ・ドラゴン》の3+3を足止め可能。後攻でも《ドラゴンフレンド・カチュア》や《アクア・インテリジェンス 3rd G》といった強力な7コス獣の着地を阻害でき、実質的なランデスとして大幅な減速をもたらすのはまず間違いない。《龍鳥の面 ピーア》のマナ加速によるソリティアをメインギミックとする【ピーアザウラーエンジン】に至ってはこれ1枚で半ば機能停止する。
《ウソと盗みのエンターテイナー》は今や定番となった踏み倒しメタ。《天災超邪 クロスファイア 2nd》《バルケリオス・ドラゴン》といったG・ゼロ獣はもちろん、踏み倒し呪文《ヘブンズ・ゲート》《ウェディング・ゲート》、S・バック《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》まで咎める。カウンター封じのフィニッシャー的性質も併せ持つ強力なカードであるため、こちらも4投は納得だろう。
これらメタカードを引き込むべく、《月光電人オボロカゲロウ》と《未来設計図》が各4採用。《オボロカゲロウ》は《ガイハート》の龍解条件にも一役買い、《未来設計図》はSTで返しの攻め手を探しにいける。《エンターテイナー》と合わせて2+4、《トリッパー》と組むと多色カードをマナに逃がせる2+3になるのも美しい。
フィニッシャー《シューゲイザー》と《グレンモルト》は、どちらも強力なアタッカーでありつつ、このデッキ全体の拡張性を引き上げることにも繋がっている。
まず《シューゲイザー》は、タイタントリガーで手札かマナから5以下獣を踏み倒せる7コス獣。《キリュー》《逆転プリン》で一気に5点を作るワンショットコンボのみならず、上に挙げた2種のメタ獣や、リソースカード《飛散する斧 プロメテウス》を適宜踏み倒すことでイニシアチブをとることができ、このデッキの司令塔ともいえる。効果を発揮するカードに《龍覇 イメン=ブーゴ》+《邪帝斧 ボアロアックス》があるが、マナの用意が難しいスタ5において、《オボロ》で整えられる手札からも踏み倒しが効くのは間違いなく利点だろう。
一方の《グレンモルト》は《ガイハート》とのセットが主。他の1体と併せて《熱血星龍 ガイギンガ》に龍解させ、実質アンタッチャブル込で殴りにいく。ST《終末の時計 ザ・クロック》《逆転プリン》、場に残ったメタクリや《プロメテウス》《オボロ》が龍解剤となるため、相手からすればcipを使い切ったクリーチャーですら脅威。状況に応じて《将龍剣 ガイアール》《無敵剣 プロト・ギガハート》で役割を切り替えられるのも厄介極まりない。
同時期のミノバト公認で活躍したのが《龍聖大河・L・デストラーデ》《高飛車姫プリン》を採用した【超次元デストラーデ】との折衷型に近い防御寄せ【デストラーデシューゲイザー】であった分、こちらはデッキコンセプト時点から攻めっ気が強くみてとれた。
かくして24弾環境を締めくくった2種の【シューゲイザー】だが、この後さらに形を変えて【メタシューゲイザー】、さらにその基盤を受け継いだ【メタガイギンガ】へと発展していくこととなる。
系列デッキの活躍に期待が持てる、強力なアーキタイプの始まりであった。
第17回 【[火自然] チェイン・ミスキュー】
使用者は「テンセ」選手。
カードプールは25弾環境。
《予言者ヨーデル・ワイス》&《魂の大番長「四つ牙」》のMNコンビ殿堂解除。
《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》のLMN殿堂解除。
詳細な分析は今後追記。
第18回 【[闇火自然] ほぼ1枚ずつ(準ハイランダー)】
使用者は「逆襲のシャア」選手。
カードプールは第25弾環境。
《幻影 ミスキュー》《ミステリー・キューブ》がMNO殿堂入り。
詳細な分析は今後追記。
第19回 【[水闇火] メタシューゲイザー】
使用者は「業欲のマントラゾロスター」選手。
カードプールは第26弾環境。
詳細な分析は今後追記。
第20回 【[水闇自然] ゴッド】
使用者は「ジャオウガマックスクライ」選手。
カードプールは第26弾環境。
詳細な分析は今後追記。
第21回
カードプールはPLAY'S CHRONICLE PACK環境。
《ミラクルとミステリーの扉》がMNO殿堂入り。
以下2名が同率優勝となった。詳細な分析は今後追記。
【[水闇自然] ギフトニューゲイズ】
使用者は「チーゴのみ」選手。
【[自然] ギョギョラスベイベー】
使用者は「オウドゥンヌ@AY」選手。
第22回 【[光水] 天門】
使用者は「ちーず刑期」選手。
カードプールはPLAY'S CHRONICLE PACK環境後期。
《ニコル・ボーラス》がMNP殿堂入り。
【キリモミ・ヤマアラシTHE FINAL】に2-0、【メカオーゼロフェニ】と【ギフトニューゲイズ】にそれぞれ2-1で優勝。
《神聖の精霊アルカ・キッド/聖霊王アルカディアス》を軸に、《聖霊王アルファリオン》をフィニッシャーに据えた、いわゆる【アルカキッド天門】である。
これまでに結果を残してきた【アガサ天門】や【プラチナム天門】と比べ、当時環境における【ヘブンズ・ゲート】の王道に近い構築といえる。
メインギミックは《ヘブンズ・ゲート》からの《アルカキッド》+《龍聖霊ウィズダムフェウス》。《アルカキッド》のcipで生成した《ホーリー・スパーク》を《ウィズダムフェウス》で詠唱し、《アルファリオン》の踏み倒しを狙う。
《アルカキッド》自身が5コストであるため、《天門》《ウィズダムフェウス》を経由しなくとも、1ターン目《アルカキッド》→2ターン目《ホリスパ》手打ちから《アルカディアス》進化でも遅すぎるということはない。例えば【星龍王】程度なら、手札に抱えていた超次元呪文が死に札になりつつ盤面のセルを潰されるため、機能を停止させられるだろう。
《アルカキッド》自体の最大出力はトリガー《凶殺皇 デス・ハンズ》も止める《聖霊王アルファディオス》。しかし、今の環境には《アルファディオス》で止められない全体除去である《オリオティス・ジャッジ》があること、《アルカキッド》抜きでも自前のG・ゼロで着地可能であることから、《アルファリオン》が優先されたものと思われる。
初動のドローソースに採用されているのは《コアクアンのおつかい》。昨今の【天門】はよりドロー総数の多い《巨大設計図》や《ジャスティス・プラン》が優先されることも多いが、《巨大》は《アルカキッド》を、《ジャスプラ》は《天門》を拾えず、《アルファリオン》着地コンボに寄与しない。【アルカキッド天門】において《おつかい》は最適なドローソースであるといえるだろう。
そこにくっつくメタカードとして、《剛厳の使徒シュライバー》が2枚。直近の環境では《フェアリー・ギフト》が久々に猛威を振るっており、そこに待ったをかける形になる。同条件で着地可能な《停滞の影タイム・トリッパー》と比べ、刺さる相手が限定され自分の《おつかい》も被害を受ける一方で、この環境で最も警戒すべき《ギフト》+《神聖貴 ニューゲイズ》→《銀河大剣 ガイハート》《真聖教会 エンドレス・ヘブン》の5マナ必殺ムーブを咎められるのが何よりも強み。自分への被害に関しては、《おつかい》以外に《シュライバー》に引っかかる呪文がないことから、そもそも2ターンもの時間をかけて手札補充していては勝てないという割り切りも窺える。
《音感の精霊龍 エメラルーダ》の存在もあってか、S・トリガーは少々多めの12枚。特に《ウィズダムフェウス》で撃てるスパーク呪文が7枚採用されており、いざとなればカウンターでトリガーした《天門》がオールタッパーに化ける。
定番の除去持ちスパーク呪文である《アルカディア・スパーク》は非採用。疑似革命2で盾を増やす《ホワイト・ウィッシュ(DNA・スパーク)》、モード効果でドローが可能な《反撃のサイレント・スパーク》はいずれも継戦能力に長けており、【天門】の耐久デッキとしての性質を強く意識した構築であるといえる。
《天門》の踏み倒し先は概ね一般的なものが多いが、《時間龍 ロッキンスター》と《護英雄 シール・ド・レイユ》の2枚に関しては注目すべきだろう。
《ロッキンスター》はエスケープ持ちの革命軍で、革命2により《アルカディアス》相当の呪文ロックを行える。いざとなれば《音感の精霊龍 エメラルーダ》の盾回収で強引に革命2に突入し、自身のエスケープをタテに雑殴りするプランも想定可能だろう。
《シールドレイユ》はスタ5環境にしては非常に珍しいマナ武装5持ち。【薫風武装】の《理英雄 デカルトQ》、【ピーアザウラーエンジン】の《牙英雄 オトマ=クット》のサイクルに属する。《ウソと盗みのエンターテイナー》や《早撃人形マグナム》をcipの自己除去耐性付与でかわしつつ放つ2面盾送りこそ魅力的だが、同サイクルに比べると決定力に欠けるため染色系デッキでも見なかった。耐久デッキの側面を帯びる純正【天門】だからこそ、光マナが5枚溜まるのを待ち除去札としての運用が見込めるようになる。
《ロッキンスター》と《シールドレイユ》に共通するのは、《天門》抜きでの手打ちが可能なコスト帯であり、なおかつそれぞれの能力で1ターン以上生き残るのが概ね確約されていること。《アルファリオン》のG・ゼロを視野に入れる【天門】で、除去耐性持ちのエンジェル・コマンドは少なからず魅力的であろう。少なくとも、いわゆるオシャレ枠ではなく、れっきとした採用理由をもって投入された2種4枚であることは確実である。
今回優勝した選手は直近の公認大会において《制御の翼 オリオティス》入りの【ミラクルとミステリーの扉】という一見正気を疑うようなデッキを握っており、その「明確なパワーを持ったコンセプトに、環境を読んだメタカードを投入することで戦略の拡張を図る」スタイルは【天門】でも健在であった。その結果が、《ニューゲイズ》全盛期環境において【天門】が天下を奪った第22回である。
しかも次弾実装の《歴戦の精霊龍 カイザルバーラ》や《龍聖霊 マギア・デル・フィン》といった強化パーツが控えているのが非常に恐ろしい。デッキ・選手共に、今後のさらなる活躍に期待したい。
第23回 【[水火自然] ドラゴンフレンド・カチュア】
使用者は「K.」選手。第14回以来、二度目の優勝となる。
カードプールは第27弾環境。
LMN殿堂廃止。
《ドラゴンフレンド・カチュア》がMNO殿堂入り。
《銀河大剣 ガイハート》&《神聖貴 ニューゲイズ》がMNコンビ殿堂入り。
《永遠のリュウセイ・カイザー》がMNO殿堂解除。
《幻想妖精カチュア》がLMN殿堂解除。
【バロム】、【トリファリオン】、【ドラッケン】、【アダムスキー】を下しての優勝。
同選手が調整を続けていた【ドラフレ】。新弾カードの採用はなし。
《ドラゴンフレンド・カチュア》から8以下ドラゴン/ハンターを展開してワンショットを行うのがコンセプトだが、当大会では《ドラフレ》自体が長らく2枚制限、さらに今回からは1枚制限。《永遠リュウ》が殿堂解除されたとはいえ、逆風の中の優勝であったことに変わりはないだろう。
前回優勝時は、1ターン目からサブプランとして運用可能な《仰天無双 鬼セブン「勝」》と《ガイアール・ゼロ》、それに3枚目以降の《ドラフレ》として《龍素解析》が投入されていた。
今回は《永遠リュウ》の無制限化に伴い《ガイゼロ》が抜け、また《ドラフレ》の実質枚数確保には確定サーチの《クリスタル・メモリー》が宛がわれている。
《永遠リュウ》は《ドラフレ》の踏み倒し先であるのみならず、今でも早期着地できれば小型メインのデッキを全封できる。多くのデッキに《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》が搭載可能となったとはいえ、それで1ターン使わせられれば御の字とも考えられる。
6→8ムーブには《超次元リュウセイ・ホール》が貢献する。主な出し先は《アクア・アタック <BAGOOON・パンツァー>》か。単純に次に使うカードや《デブラ》を探しに行ける2打点で、《ドラフレ》ワンショットにも貢献する。他には《制御の翼 オリオティス》を焼ける《ブーストグレンオー》、《絶対絶命 ガロウズ・ゴクドラゴン》を足止めできる《流星のフォーエバー・カイザー》なども採用されている。
《クリメモ》は《ドラフレ》サーチはもちろん、1枚積みを適宜引っ張って対応する銀の弾丸戦法、STで撃ってもS・バック持ちの《デブラ》と、状況に応じて様々なカードを引き込みにいけるのが魅力。《ドンドン吸い込むナウ》と同じ4コスなので定番サーチ札《月光電人オボロカゲロウ》とくっつくのも強みといえるだろう。
《永遠リュウ》以外の《ドラフレ》踏み倒し先も見ていく。
《仰天無双 鬼セブン「勝」》は様々な役割を帯びる。本体スペックは自盾の7以上獣へのST付与と攻撃時の暴発であり、《ドラフレ》を出したり《ドラフレ》から出てきて打点増強を行ったりと能動的な使い方のほか、相手の攻撃に対し《不敗のダイハード・リュウセイ》や《閃光のメテオライト・リュウセイ》をSTで直接、もしくは《ドラフレ》経由で着地させることでそのターンをしのぐ防御札としての使い道がある。また、《ドラフレ》からの打点増強先としては一見運ゲーで使いづらそうだが、《デブラ》のS・バックも起動可能であるため、《永遠》か《メテオライト》が立っていれば除去を行いながらリーサルに届く打点を作れる。1ターン目から出せるのも十分強み。
前回優勝時に入っていなかったMNO殿堂カード《ボルバルザーク・エクス》も今回は採用。8枚体制になった無条件SA付与により《リュウホ》経由6→8《ドラフレ》で出した《エクス》の価値が向上したこと、同じくMNO殿堂の《ホーガン・ブラスター》もまた採用されたことが理由と思われる。
《ホーブラ》は優勝者が通常ルール版【ドラフレ】でも採用しているカードで、そちらでは青単色マナ基盤かつST《ドラフレ》《ダイハード》《メテオライト》で1ターン稼げる受け札、および1ターン早く《ドラフレ》や《永遠》を着地させられる早出し札としての役割を帯びているという。
こちらではマナ基盤としての役割こそ薄いものの、残る2つは十分に採用理由となるだろう。特にスタ5では1ターン目から《ホーブラ》が撃てるため、準備ができていないうちに《永遠》や《ダイハード》が出るだけでも相手の計算は大いに狂う。そうでなくとも、手打ち前提なら《リュウホ》や各種サーチがめくれても及第点。完全に腐るのは《キリモミ・ヤマアラシ》くらい。
この《ヤマアラシ》は《ホーブラ》とアンチシナジーでこそあるが、一方で《ドラフレ》《ダイハード》を《永遠》《メテオライト》に頼らずSA化させたり、《鬼セブン「勝」》の暴発を即座に扱えたりと強みも多い。優勝者当人のポストによれば実際に《ヤマアラシ》で勝ちを拾った試合があるとのことで、縁の下の力持ち的性質が強く見られたといえよう。
他の1枚積み枠は《ウソと盗みのエンターテイナー》と《別格の超人》。
《エンターテイナー》は新弾の《奇天烈 シャッフ》以上に幅広いデッキに刺さる優秀なメタカードで、《オボロ》にくっついて相手のST獣・革命0トリガー獣を咎め、攻撃を止められても返しの逆転を封じる。
《別格》は召喚ロック持ち。《ドラフレ》の能力上デッキ全体が高コストで固められるためGJの勝率は高め。【レッドゾーン】や【ザ・ユニバース・ゲート】に対しては、侵略元や《神滅翔天ポッポ・ジュヴィラ》などの着地を許さず完封勝利も可能だろう。《クリメモ》の7コス枠なのも強力。
第1回での【アポロヌス・ドラゲリオン】【エンペラー・キリコ】での暴れっぷりにより長らく1枚制限であった《永遠のリュウセイ・カイザー》、その殿堂解除に華を添える優勝。
この一か月前のミノバト#6でも【ミラミスキューブ】の溢れる中で【ドラフレ】がベスト8に食い込んでいたが、今度は《ドラゴンフレンド・カチュア》を相棒と定めるプレイヤーの手により、さらにその名を轟かせる結果となった。
この次、第24回MN杯とミノバト#7は11月17日・18日の連続開催となる。果たして【ドラフレ】はどのような軌跡を描くのか、注目せざるを得ない。
随時更新予定