創作童話「ゆめのたまご」
これは生前の国のお話です。なんでも生まれる前の赤ちゃんは、空の国に住んでいるそうです。これは、うちにきた赤ちゃんが私に教えてくれた話です。
ある冬のさなかのことでした。雪が鳥の羽のように空から降っていました。雲の上では、女の子が雲でできている建物の窓辺に座っていました。
女の子の名前は、たまごちゃんといいました。たまごちゃんは、針仕事の最中に雲の下を見下ろしました。その拍子に、針を指にさしてしまったので、指から血のしずくが一滴雲の中へしたたりおちました。そのまっ白い雲のなかへ真っ赤な液体が落ちていく様子を見て、たまごちゃんはこう思いました。(私も雲の下へ行ってみたいなあ)
それから一年がたったときでした。空の国のパパさまがたまごちゃんを部屋に呼び、いいました。
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