【enst】仁兎なずながRa*bitsの『助っ人』だった理由を考えてみる
モーメント返礼祭で仁兎なずなが自分のことを『助っ人』と称したことで(私が勝手に)受けたショックを、ここまでずっとずっと抱えて生きてきた。だけど、時が進んで大学に進学し、今もなお助っ人な姿を見ていく中でそれには仁兎なずななりの理由やけじめがあるんじゃないかと思った。やっと、返礼祭での助っ人発言に自分なりの踏ん切りをつけることができた。そのことについて、復帰イベ(ハイタッチ)のストーリーについて考える前にまとめておきたい。
(モーメント返礼祭ストーリーより)
※仁兎なずなに関するストーリーのネタバレを多く含みます※
仁兎なずながアイドルになった理由
まず、彼がアイドルになった原点や夢ノ咲学院に入学した理由について振り返ってみる。この部分は、返礼祭以前と返礼祭のストーリーで設定が微妙に変わってるようにも見えるっちゃ見える。そう捉えられてもおかしくない。
以前は、聖歌隊でたくさん練習した歌という特技を活かすために夢ノ咲学院にきたんだ(ズ!キャラスト『声を聞かせて』)って言ってた。
一方返礼祭のストーリーの中では、周囲から褒められる可愛い容姿だけが取り柄で勧められるまま近所にあった夢ノ咲学院に進学した(モーメント返礼祭プロローグ)、っていうふうに言ってた。
この点について思うことはたくさんあるけれども、あるけれども、まぁ本音は後者のほうだったのかなぁ、でも歌は聖歌隊の頃から好きだったんだろうなぁと思うだけにとどめておく。
で、私自身が個人的に注目したのはズ!スカウトの☆5演出のセリフ。
『おれは誰かを笑顔にするためにアイドルを目指したんだ』(こんなんだった気がする)
なずながアイドルになりたい!と思う根本的な動機は、自分ではなくどちらかというと誰かに向いている気がする。ソロ曲『に~ちゃん応援団』でも自分の歌で誰かを元気に、笑顔にするっていうところが軸になっているので、アイドル仁兎なずなは誰かのために存在するといってもいいのでは。私はそういうふうに解釈することにした。
ここからはズ!のなずなをメインの軸において、そんな誰かの笑顔のためにアイドルを目指した彼が、今までどんなふうにアイドルを全うしてきたのかつらつらとまとめていく。主観がたくさん含まれているのであしからず。
(あとで確認したらマリオネットでも『誰かを笑顔にするために、おれたちはアイドルになったんじゃなかったのか?』って言ってたから、やっぱりなずなのアイドル像はこれなんだと思う。ズ!!のメインストでも言ってた)
Valkyrieの仁兎なずな
夢ノ咲学院に入学したなずなのはじまりはValkyrieだった。今と打って変わって無口で無愛想だったなずなを見出し、綺麗にして、ステージの上で輝かせる斎宮宗との出会い。二人でアイドルをやっていた頃の夢ノ咲学院は廃れた状況にあって、そんな中ひたむきに全力で毎日アイドルであるための努力を惜しまないValkyrieはきっと異質だった。そんな状況を嘆きつつも自分たちはあんな怠けたアイドルもどきなんかじゃない、と自分たちの努力が報われることを信じて頑張り続けた。その先に、頂点の景色があった。
このときはとにかく必死だったんだと思う。Valkyrieの、宗のやりかたやアイドルを芸術として高める考え方は、もしかするとなずながなりたかったアイドル像とは違ったかもしれない。それでも、周囲の雰囲気に飲みこまれることなくほんもののアイドルとしてステージに立ち続けるため毎日頑張っていたんじゃないかなと思う。
まわりの何も考えていないやつらとは違うんだ。
自分たちは本気でアイドルになりたいんだ。
っていう強い気持ちが感じられる。
(余談:なんとなくこのへんでなずなが語ってること、ズ!!のメインストで燐音が話してることとちょっと似てる気がする。ちょっとね。思考を放棄した哀れな人間たちを嘆いてる感じ。)
(さらに余談:哲学の用語にダス・マン(Das man)というのがあって、ここでなずなや燐音が嘆いてるのはダス・マン的な存在となった人たちやその人たちによってつくられてしまった夢ノ咲学院やESという社会なのかなぁという気がしたりしなかったり)
そんな夢ノ咲学院の頂点に君臨したValkyrieだったけれども、時が経って生徒会の革命をはじめいろんな大きな出来事が起こっていく。そんな中でなずなは声変わりを迎えた。アイドルになりたいと思ったきっかけ(だったかもしれない)の歌声を、なずなはなくしてしまった。ステージ上で歌を披露することもできず、普段から話すことを止めた。誕生日プレゼントをくれたみかに、ありがとう、と咄嗟に言えないくらい声を出さなくなった。
操り人形のように言われたとおりに動いて、笑って、おれは生きてないみたいだ、と思うくらい自分をなくしていった。
きっとなんでアイドルになりたいのか、なんて忘れてしまってやりたいことを自由にできなくなってしまった。
だけどValkyrieのために何かできないかって、屋上でずっと歌の練習をしていた。それを披露することはできたけど、宗とみかとなずなの3人のValkyrieの最初で最後の生歌のステージになった。
だけどこれをたまたま聴いて、感動のあまりぐちゃぐちゃに泣いて、本気でアイドルになりたいと決意した子たちがいる。
それが友也と創。のちのRa*bitsメンバー。
Ra*bitsの仁兎なずな
Valkyrieの最後のステージのあと、3年生となり放送委員会としても活動するようになった仁兎なずなのもとに手を差し伸べたのが日々樹渉。
ここで友也を紹介されて、友也・創・光と共に新たなユニットRa*bitsを組んでいくことになる。
日々樹渉はこのときに仁兎なずなに伝えたのは宗のことだった。渉にとって宗は対等に会話ができるかけがえのない友人のひとり。だから、宗がこのまま作品を出せなくなるのは寂しかった。それに、傷ついた友人をどうにか元気にしたいと思ってたんじゃないかな。それで、なずなに宗はあなたが暗い顔をしたまま埃をかぶっていくことを望まない、たとえ笑顔の仮面でも宗も笑顔と希望を取り戻すかも(要約)、と言う。
その言葉を受けて、ぼんやりと流されるままに生きていくんだろうと思っていたなずながもう一度アイドルとして歩き出す。宗やみかを、自分の笑顔で笑顔にしたい。このときのなずなにとって、アイドルを続けるための、これ以上の動機はなかったんじゃないだろうかと思う。
それから少しずつRa*bitsの仁兎なずなとして生きていく(ようにみえる)んだけど、まず最初になずなが『助っ人』となるステージがある。このときはまだRa*bitsに正式に加入するということを具体的に考えてはいなかったのかなと思う。
友也・創・光の最初のステージ(A1)。渉から友也を紹介された直後、右も左もわからないアイドルの卵たち。お金がない中ユニット衣装を着て、初心者なりに頑張る3人の姿を目の当たりにしたなずなはこの子たちを立派に育てようと決意したんだろうな。なずなはよくプロデューサー側にも興味がある、という話をしていて、その興味がいつ頃からあるのかはっきりとはわからないけど、このとき確実に『人を育てる側』になろうと思ったんだろうな、って。
弱肉強食の夢ノ咲学院の中で、放っておいたらすぐに消えちゃいそうな弱い子兎。その子たちを、自分が持っているすべてを惜しみなく与えて立派なアイドルにしてやろう。そんな感じ。
他者実現が軸にある仁兎なずなと『助っ人』
以上を踏まえて、特に夢ノ咲学院ですごす最後の1年間、なずながアイドルでいるのは
*Valkyrieの2人を笑顔にする
*Ra*bitsの1年生3人を立派に育てる
この二つが大きな目的だったんじゃないかなと思う。
つまり、他者実現なのかなって。
アイドルになるきっかけはきっと人それぞれだと思う。自分が輝くことでみんなを輝かせたいとか、自分を存分に表現したいとか、たくさんの人に歌やパフォーマンスや笑顔を届けたいとか。
そんななかでなずなは、誰かのために自分ができることを頑張るという雰囲気が強いなと思う。
ちなみにナズナの花言葉はあなたに私のすべてを捧げます。
夢ノ咲学院で3年生となったなずなは、いわば弱者が弱者のままにならないように必死に駆けずり回ったようにみえる。
ValkyrieでもRa*bitsでも、生徒会の力に及ばず弱者側を経験したから。
(ここで詳しくは語らないけど、Valkyrieの最後のステージが友也と創の決意に繋がり、Ra*bitsのはじめてのS2のステージがTrickstarの革命に繋がった部分に仁兎なずなのキャラクターとしての立ち位置が感じられるよね。アイドルの、どんな姿も一生懸命なら誰かの心を動かす力になる。ズ!!のなずな3話でもそれが語られてたね。)
Ra*bitsのために練習メニュー考えたり、リーダーとして実技面でも精神面でもメンバーを引っ張ってたし、不器用ながらもValkyrieの力になれないかっていつも頑張ってたし(七夕祭のfine VS Valkyrieで司会交代したときのValkyrieヨイショめちゃくちゃ大好き。彼なりの愛情表現だよなぁ)、あとは放送委員長としても今まで生徒会管轄で自由にできなかった部分を精力的に変えていった。お昼の放送でいろんな曲流すとかして。
時には寝不足でふにゃふにゃしてて、それくらい身を削って、でも誰かのために頑張ることができる。自己評価はちょっと低めななずなだけど、そこまでして誰かを笑顔にするために頑張れるのは彼のひとつの才能だとも思う。
そんなふうに、夢ノ咲学院の最後の1年間でなずなが私たちに見せてくれたのは、アイドルという姿を通して他者実現のために頑張る姿だった。
私には、これこそが返礼祭でもなお『助っ人』という言葉を使った一つの理由かなと思えた。
仁兎なずなにとって、アイドルは、Ra*bitsは、他者実現の場所だった。
だから、スタフェスではアイドルを続けられるかどうか危機的状況にあったValkyrieを助けたいと願ったし、Ra*bitsのメンバーが3人だけで最高のパフォーマンスができるということを知ることができたのは何よりも嬉しかった。
そして返礼祭。
どうしてもRa*bitsよりValkyrie!みたいな姿が描かれたり、突然アイドル引退するとか言ったり(一時的に、とか言ってますが確かに『引退』という言葉を使っています、Ra*bits一旦抜ける、とも言ってます)、相変わらずRa*bits仁兎なずなというよりRa*bitsの助っ人仁兎なずななんだ、ってショック受けたりして私はとても大変だった。おもに情緒が。
担降りした人のブログを読んで、分かる……って泣きながら共感もした。
正直、モーメント返礼祭前、千夜一夜のストーリーを読んでから仁兎なずなは何となく大学進学するんじゃないか、教師として夢ノ咲学院に戻ってくるんじゃないかって思ってたからその点については納得してた。(ズ!!でまたいろいろアレしたのでそれはまた落ち着いたらハイタッチストを軸にした記事で改めて気持ちをまとめたいです。)
だけどどうしても。
返礼祭、最後の最後まで仁兎なずなが、自分の言葉で、『助っ人』って言ったのはショックで。
でも、このときなずなにとってアイドルという立場が『他者実現』の場所だったなら、自分自身がRa*bitsと並んで歩けなくても(=助っ人という立場だったとしても)、彼らが立派にアイドルとして輝く姿を見ることができてきっとものすごく嬉しかったと思うし、かつて人形みたいだった自分の存在意義を少し理解できたんじゃないかって思うし、何より彼らが『に~ちゃんも一緒に!』と手を繋いでくれる居場所は幸せそのものだったのかも、と最近やっとそういう考えに至った。
仁兎なずなが追っている『二兎』とは何なのか
仁兎なずなのキャラクターデザインとして『二兎追うものは一兎も得ず』ということわざがモデルになってるっていうのはなんとなく分かるよね。
私はその『二兎』っていうのは『Ra*bits』と『Valkyrie』の間でどっちつかずでいることだと思ってた。
確かにそれはあると思う。
というかそれこそがメインの『二兎』なんだと思う。
なずなにとってはValkyrieもRa*bitsも同じくらい大切で、自分のすべてだった。どっちか選ぶことなんでできなくて、強いて言えば『より大変な方を』とValkyrieを選ぶことも多かった。
だけど、大学進学を決意して、ズ!!で大学の勉強が楽しい、進学して良かった、って言っているのをみるうちに、これは他者実現を目指すアイドル仁兎なずなの姿とは違って、自己実現を目指す大学生の仁兎なずなだということに気付いた。
人形のように過ごした過去を乗り越えて、Ra*bitsで人を育てるというところに自分自身の価値を見出して、さらに今度は自分自身の個人的な夢を持ってそれを追いかけ始めたんじゃないかって。
だから、復帰するときにはきっと、アイドルという立場で自己実現も達成できるときなんじゃないかって。
そういう、他者実現と自己実現という二兎もあるんじゃないかって。
ただの妄想だけど。
私はそう思う。
私の個人的な思いとしては、なずながRa*bitsやアイドルに『戻ること』が彼にとって負担になってはいけないと思ってた。教師や保父さんや報道関係に興味がある、と言った彼がそういう夢を具体的に持って追うときに、障害になって欲しくなかった。
それでも、いろんな夢を見出していた中でRa*bitsを、アイドルを自らの選択で積極的に選ぶのなら。
喜んで応援したい。
復帰を迎えて
正直あのイベントストーリーだけでは何も解決してないと思う。というかもうずっと前から何も解決してない。
大学進学すると決めたなずなとRa*bitsの葛藤とか、いったんアイドル活動はお休み、と言ったことが第三者からそんなに大事じゃなかったというふうに言われた(リンク)こととか、それから復帰までの心境変化やファンとの約束とか、いろいろ言いたことある。
それらは全部ゲームシステム上の都合、という一言で片付くかもしれない。
だけど、私は私なりに仁兎なずなというアイドルにずっと向き合ってきた。納得できないことたくさんあるけど、それでもやっぱりアイドルの彼も大学生の彼も大好きだったから。
彼の言葉を借りれば私は『潔癖症』なんだと思う(笑うところ)。
でも復帰したことは本当に嬉しいし、大学の勉強も頑張る、とみゅーじっくのコミュで言ってたのでまだまだ二つの立場で頑張るんだと思う。そんな在り方こそが『仁兎』なずなだと思う。し、やっとRa*bitsになれたので、ある意味で自己実現のためにアイドルと大学生という二つの道を同時に歩み始めたんじゃないかなと思う。そんな欲張りさんがすきだよ。
それで、アイドルだけではない大学生という生き方を示しつつ、アイドルとしても見てる人に踏み出す勇気を与えたり沢山の笑顔をくれる。
そんな不器用で一生懸命な背中を眺めるだけで、私たちは元気になれる。
なずなのボイス変更のためのメンテナンスがなされて、実感と共に復帰を演出してくれたのは運営側の細やかな配慮と愛だと思う。
というかそもそも、ストーリーの中で多くのユニットやファンがRa*bitsのために、なずなの復帰ライブのために出資したのはそういうことだと思うよなずな。
見返りとか損得勘定とかそういうのも多少あるのかも、知れないけど。それ以上の、君たちへのたくさんの愛と感謝だよ。きっと君たちは自分が思ってる以上に愛されてるんだよ。
いつかわかる日がきたらいいなぁと外野から密かに思うのです。
まとめ
読み返したら文章散らばりまくりで何言いたいのか全然わからなくなってた。
要は、『なずなにとって夢ノ咲学院で過ごした最後の1年間は他者実現に徹していたから、ずっとRa*bitsの助っ人だったのではないか』ということ。
もちろんただの主観だし、不十分な解釈だと思う。
だけど私自身はそういうふうに思うことでひとつなずなのことを『納得』できたような気がした。
当然、ハイタッチストを受けて思ったこと考えたこともたくさんあるので、それはまたゆっくりゆっくり咀嚼して解釈して、私はこう思う、と何か自分の中に意見をはっきり持てたときに文章にしたいと思う。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
意見感想等自由に言ってもらって構いません。
そしてさいごに。
今までもこれからも、ずっとなずなのことを応援します。
好きなところ嫌いなところどっちもあるけど、そこに魅力を感じるし、生き方がめちゃくちゃカッコいいと思う。
いつも笑顔をありがとう。復帰後もよろしくね。